杪夏の空。
オレンジと少しの群青色の空に、大きな白い入道雲。
もうすぐ秋なのに……まだまだ空は夏模様。
私は夏が好きだった。
あのじっとりとした暑さも、照りつける太陽の日差しも。
そして何より、君と見る花火が大好きだった。
でも、もう終わり。
下駄のカランコロンという寂し気な音が辺りに響く。
群青色が徐々に濃くなっていって。
寂しさを紛らわす様に林檎飴を一口齧り、私は左手にぶら下げている金魚を見た。
金魚は口をパクパクさせ、ずっと外の世界を見ていた。
あぁ、今年の夏も本当に終わる。
「ねぇ、金魚君。君の寿命はいつまでだろうね?」
なんて金魚に話しかけながら、私は下駄を寂し気に鳴らして帰って行く。
暑い、暑い。群青色に空が暮れていく。
ねぇ、
「”また来年、暑い夏の日に会いましょう。”」
……私がそう言う前に、隣を歩く君がそう言って笑うものだから。
つられて私もヘラリと笑って見せた。
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