解脱するのはまだ早いです。〜弟子入り日記その2〜

今日は師匠のお供で田川にあるいいかねPalette(https://palette.jp.net)さんにお邪魔した。

いいかねパレットさんは廃校をリノベーションして、宿泊業や飲食業、レンタル音楽スペースやスペース運営などいろんな事業を手がけている。

いいかねPalette代表の樋口さんと師匠が今日は会う約束をしていて、そこにお供させてもらった。どうやら向こうにも弟子がいるらしい。師匠同士のトークも気になるが、弟子同士の初顔合わせということもあり内心ワクワクしていた。

目的地までの道中、師匠の愛車を洗車した。弟子としての初仕事、車の外側はもちろん車内も綺麗に掃除した。ガソリンスタンドには車用の大きな掃除機があることを初めて知った。師匠は運転が割と荒い。考え事をしながら運転するからか、多忙で疲労ピークの中運転するからか、これまで何度か車をダメにしている。いまの車は3代目?のはず。いまのところ2年もっているらしい。なんとか無事故でこの先もいてくれ。そう思いながら車をフキフキしていた。

到着前に「あのパチンコ屋の駐車場にある店面白そうやない」と言われ、いかにも地元の人が行きそうな定食屋でちゃんぽんを食べた。

「兄弟ですか?」と聞いてきたお店のおっちゃんは、酒を飲みながらニコニコ皿を洗っていた。厨房のおばちゃんもお客が来て注文が重なっても、マイペースを守って作っている。パチンコの合間に来たであろう老夫婦は、奥さんが「焼きそばに紅生姜をちょこっと入れてちょうだい」と可愛らしくお願いしていた。カートを押しながら入ってきた80歳くらいのおばあちゃんは耳が遠いからか、お店の人と会話があまり成立していなかった。しかし、親切なお店の人が作りすぎて余っていた高菜めしを出し、無言でむしゃむしゃ食べていた。お店の人も、お客さんも本当に自由だった。

師匠は「こうした定食屋こそ誰しもが平等に扱われるセーフティーネットだと思う」と言っていた。
確かに、老いも若いも同じカウンターで客も自由であれば店員も自由だった。高齢の人に特別優しくするでもないけど、人として親切にケアしてあげる。そんな空気があった。高齢者とかどうやって生活しているんだろうと思っていたが、こうした普通の飲食店でも、そこに人が集って手を取り合っている姿があるんだ、これがある種の地方のリアルなんだと知った。

ようやく目的地のいいかねPaletteに到着。まず、施設内を走り回っている子供とすれ違った。結構子供向けのスペースがあるのかなと一瞬思ったが、そんなことはない。奥に進むと、フリースペースでは大人がミーティングしていたり、音楽スペースではバンドが練習をしていたり。そこにはいろんな人が集まり、いろんなことが行われていた。多様性があり、多様性を許容する場づくりがされているんだなと感じた。

代表の樋口さんは、多様性をあえて作ってそこでの化学反応を楽しんでいる人だった。「ここではルールは特にありません。スタッフ・ゲスト・住民などいろんな人が混ざり合う中で、勝手に新しいことを始めたりしていたら面白いじゃないですか」と偶然生まれる産物を面白がって観察している、そうした化学反応が起こりそうな仕掛けを作って楽しむ、実験大好きな人なんだなと会話の端々に感じた。

師匠同士は考え方が非常に似ていて、お互いに共感の嵐だった。話が盛り上がる中で、樋口さんが「近いうちに悟りを開きたい」という話になり、師匠も「めっちゃわかるっす」と激しく同意していた。弟子からすると「なんでやねん」と訳がわからなかったが、師匠いわく

病気の体験 ×  人より優れた思考体力 = 解脱したい欲求

らしい。
自分の人生観にインパクトを与える原体験がある人で、人よりも思考体力がある=何でなんでと真理を突き詰めて考えられる力が備わっていると、やがては「どうして人は生きているのか、自分がこの世にいるのは何故なのか」という深い問いに辿り着くらしい。樋口さんもこれには共感していた。なるほどなと思った。

実は、こうした悟りをひらいて解脱した人が菊池さんの奥さんという話で盛り上がった。師匠の奥さんはもはや神様クラスだった笑

他にも、樋口さんが「自分の体はモルモットだと思っていてコントローラーを使って自分の体を操作している感覚がある」という話をしてくれたが、これは自分を客観的に俯瞰してみる感覚のことを言っていたのだと思う。少し違うかもしれないが、師匠もよく「考え事をしていて、リトル菊池が何人か出てきて議論させる」という話をするのだが、その感覚に似ているんじゃないかと思った。2人とも自分を自分で客観的に見る思考をしているのが似ているなと感じた。

楽しみにしていた弟子同士の顔合わせ。相手は地銀出身の年は1個上の元ラガーマン。「なんで弟子入りなんてしたの?!」という変わったキャリアの方だったが、師匠との掛け合いが慣れていて、弟子歴のキャリア差を感じた。お弟子さんの話はあまり聞けなかったが、今度弟子同士で会う約束をしたからその時の楽しみに取っておく。

非常に濃ゆい1日だったが、思考と実験の繰り返しで、それぞれの精度を上げていくのがいいんだろうなというのが今日の学びだった。

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