観戦記: 2024 J2 第15節 清水 vs 鹿児島
GWからの連戦としては最後の試合になったホーム鹿児島戦のレビューを書こうと思います。
快晴のホームで4-0の快勝
まずはハイライトを見てみましょう。(このサムネイルがカーモン・ベイビー・アメリカな件はおいておいて)
連戦最後のホームゲーム。初対戦となる鹿児島に対して、4-0という快勝でリーグ戦7連勝となりました。この試合も得点者は、中村・北川・住吉・西原と異なるメンバーによるもの。中村は清水に移籍後初ゴール。北川は8点目で得点ランキングトップに。住吉は2点目で嬉しいホーム初ゴール。西原も2点目、またしても非凡な才能を見せつけるゴールでした。
翌日に、前節2位長崎が5位岡山と引き分け。3位横浜FCは熊本に引き分け、4位いわきは7位山口に負けと上位陣はすべて勝ち点を落としました。清水はその中で4-0と得失点差も稼いでの勝利。2位長崎とは勝ち点7点差、大きく順位が入れ替わり2位になった仙台とは勝ち点11点差、J2優勝・J1昇格に向けてこれ以上にない結果となりました。
この鹿児島戦の試合全体のスタッツはこちらになります。
最大の注目は、鹿児島のゴール期待値が「0.1」という点。枠内シュートも1本に押さえて、危ないシーンを作らせませんでした。攻めては500本以上のパスを通し、シュートも枠内10本と、4得点に比較するとゴール期待値は高くはありませんが、試合をコントロールしました。
前節のA群馬戦では、CKだけでも9本ありながらノーゴールだったのですが、課題であったセットプレーから3得点を奪うという形になりました。
チームとしてもセットプレーは課題として捉えていたようで、この期間中に念入りに確認をしたのだと思います。また中村選手も口にしていたように「何がなんでも触る」というメンタル面での指示も効果があったということでしょう。
またこれまでの試合は、後半に少し運動量が落ちて、相手のペースになることも多かったのですが、この試合は以下のゴール期待値の推移のように、むしろ後半に、早めの選手交代で、さらにゲームを優勢に進めることができました。
このように「勝ちながら修正する」ができている今季のエスパルス。素晴らしいですね。
ではこの試合を前後半に分けてみていきましょう。
前半戦のポイント
清水のシステムは変則的な4-4-2。対する鹿児島も変則的な4-2-3-1
開始直後のFKから矢島→中村での見事な先制点
鹿児島が左サイド中心に面白い攻撃を展開
清水はブラジルコンビが攻撃にリズムを生み出す
山原の超絶FKと泉澤の超絶セーブ
直後のCKから矢島→中村→北川での追加点
両チームのスタメンとシステム
両チームのシステム・スタメンは以下の通りでした。
清水は「乾不在時最有力オプション」の4-4-2。前節はボランチで活躍した矢島選手を今回は左SHで起用。矢島のポリバレントな強みを活かす形です。また右SBには、前節左WBを務めた吉田を起用。右SBには、原選手のスタメンを予想していましたが、ブラガ選手との相性や、途中で原選手を投入することによるオプションの広がりを含めた起用かもしれないですね。しかし日本代表クラスの原選手をベンチにおいておけるのは贅沢ですね。
対する鹿児島は4-2-3-1。こちらも前節はターンオーバー気味でしたのでスタメンの中で5人の選手を入れ替えました。元清水の井林選手はキャプテンマークを巻いて、藤本選手もワントップで先発となりました。
この2チーム、基本系は上記なのですが、攻撃時はかなり可変になるのでこれについては、後程触れたいと思います。
前半開始直後の先制点
前半キックオフ直後、ブラガのドリブル突破によって右サイドでFKを獲得。矢島の質とスピードのあるキックから、ニアサイドで合わせた中村のヘッドがゴールに吸い込まれ、前半1分という、今季の中でも最速の形で先制点。
鹿児島の大島監督も、試合前のインタビューで「早い時間で失点をされない」ことを重要事項に掲げていましたし、でしnoteの展望でも、早い時間の得点が鍵になると書いていましたので、清水にとっては理想的な、鹿児島にとっては想定外の展開となりました。
得点のシーンですが、まずは矢島選手のキックの質が高かったと思います。ちょうど栃木戦のゴールと同じような、インフロントでの鋭くカーブするボール。そして中村のヘディングの良さは「当て勘」の良いヘディングが素晴らしかったですね。勝利の声でも「亮太朗は当てるのが上手い」と矢島選手も話していました。
清水は攻撃時3トップにして左起点で組み立て
清水は、基本系は4-4-2でありながら、攻撃時は2-4-1-3のような陣形になり、面白い攻撃をしていました。
前半3分のシーンをとりあげます。守備時に鹿児島は下図の通り、4-4-2で3ラインでブロックを組んでいました。それに対して清水は、北川を真ん中に左にカルリ、右にブラガで3枚が相手の最終ラインと中盤のラインの間にポジションを取ります。左MFの矢島は中に絞ったポジションを取り、そのスペースには山原が高い位置を取ります。
その中で、宮本から横パスを受けた中村が、中央にいる矢島とパス交換をして、左サイドの高い位置にフリーになっていた山原にサイドチェンジ。(この試合、中村は周りが良く見えており、綺麗なサイドチェンジのパスが多く見られましたね)フリーで受けた山原がドリブルで左サイドを持ち上がります。
ここで最初に素晴らしいオフザボールの動きをしたのが矢島選手です。
中村とのパス交換の後、中盤をスプリントして駆け上がり、一気に最終ラインまで押し上げます。これによって鹿児島の中盤のラインが釣られて下がり、ちょうど最終ラインと重なるような形になります。
そこで北川は山原のフォローに左サイドに行きますが、またここで面白い動きをしたのがカルリです。山原のドリブル突破を見て、それと全く逆の方向に下がりボールを受けに来ます。11番の五領と6番の渡邉は山原に引きつられて下がっていたので、カルリは完全にフリーになります。
そこを見逃さずに山原がフリーのカルリにバックパスを出します。
これをみて大外からPAのファーサイドに走り込んできたのが宮本。鹿児島の選手はこの宮本の動きに誰も気づきません。その宮本にカルリが正確なクロスを上げます。ドフリーでしたが宮本のシュートはゴール方向に飛びませんでしたが、清水の複数の選手たちが連動した素晴らしい攻撃になりました。
前半11分にも同じように左サイドから良い攻撃。今度は住吉から山原に縦パス。この時は前のプレーで北川がポストプレーをして下がっていたので、カルリが中央に。そして(本当にポジショニングが素晴らしい)矢島が左トップの位置に上がり、また左サイドのポケットの位置を取ります。
そこに山原からボールを出して、矢島がキープ。矢島が山原に戻して、ファーの位置に走り込んだ吉田にパス。吉田の折り返しは相手DFに引っ掛かりましたが、前半3分と同じような形。関わる人は違いますが攻撃の型は同じで、清水は再現性可能な攻撃をしていたことがよくわかります。
その後も清水が左サイドのカルリ、矢島、山原を中心にボールを保持しながら、ペースを握る展開になります。また時折見せるブラガの中に切り込むドリブルも効果的でした。
但し、鹿児島も高い集中力で決定機は作らせませんでした。
鹿児島はクロス中心に攻撃を仕掛ける
鹿児島は徐々に清水の攻撃そしてアイスタの雰囲気にも慣れてきたのか、前半の25分以降は徐々に押し返し、左右から質の高いクロスを供給します。特に面白い動きをしていたのが、3番の外山選手。まさに偽SBとして、攻撃時はインサイドの高い位置をとり、時には真ん中のトップの位置まで上がります。中でも18番のドリブラー福田選手と絡んだ際の攻撃は迫力満点で、ブラガと吉田の守る清水の右サイドを何度か突破しかけていました。
特に際どかったのが前半36分のシーン。鹿児島の右サイドでのビルドアップで、同サイド圧縮をかける清水に対して、五領が下がって落としたボールを、渡邉がダイレクトで中央に展開。そこで何故か中央のボランチのような位置にいた外山にボールが渡ります。
そのまま中央をドリブルで持ち上がり、左サイドにはっていた福田に展開。福田が得意のドリブルでPA内にまで進入し、ダイアゴナルにニアに走り込んだ8番藤村と接触して吉田が転倒。クロスがファーまで抜けましたが、清水にとっては前半の最大のピンチでした。
前半終了間際の清水の貴重な追加点
鹿児島ペースに移るかと思った前半40分過ぎ。清水が非常に良い攻撃を見せます。山原→中村→高橋→吉田→ブラガ→吉田→高橋→住吉→山原とピッチをワイドに使って左右に揺さぶりながらスムーズにパスを回します。
ここで再三みられた山原と矢島の二人の関係で、鹿児島3、清水2の数的不利な局面を突破します。内側に切り込んだ山原は一度宮本に預けて、宮本は値中央でフリーになった北川に縦の楔を入れます。
山原にボールを跨ぎながらのパスで落としますが、そこにそれを読んだ井林がいち早く反応してタックル。少し足の裏が見えたということで、ゴール前中央の絶好の位置で清水がフリーキックを獲得します。
山原のFKは完璧な高さとスピードでゴール右上隅に飛び、入ったかと思いますが、ここは鹿児島のGK泉森がスーパーセーブ。GKの立ち位置からは、清水の北川と宮本がボールを隠していたので、見えなかったと思いますが、左手一本でボールをかきだします。
しかしそこで獲得した後半43分のCK。矢島の精度の高いキックが、ニアにいた中村が頭でフリックし、ファーで待ち構えた北川がヘディングでゴール右に決めました。
北川はこれで8点目。得点王争いのトップに立ちます。
実は後半35分の2本目のCKにおいても、左サイドから逆ではありましたが、矢島はニアの北川に合わせて、北川が頭でそらすということをやっていました。このニアで一度そらしてからファーでゴールを狙うというのは、CKの戦術として用意をしていたのだと思います。
その後も清水が試合を優位に進め、前半は1-0で終了しました。
前半の総括
前半だけのスタッツはこうなりました。
なんといっても鹿児島のシュートを0、ゴール期待値を0で押さえたのが素晴らしいですね。また攻撃としては左サイドが57%とかなり偏っていました。清水もそこまでシュート本数が多くありませんが、セットプレーで効率的にゴールが奪えたことで、試合の展開がかなり楽になりました。
後半戦のポイント
鹿児島の積極的な選手交代と清水のポジション修正
戦術「原輝綺」
カルリの超絶ミドルと住吉選手のスーパーヘッド
戦術「ドウグラス・タンキ」
西原選手の才能溢れるダメ押しゴール
鹿児島の積極的な選手交代と清水のポジション修正
ハーフタイムに鹿児島は、田中→鈴木、渡邉→野嶽の2名の選手交代を行います。田中は、藤本とポジションが重なっていたこと、渡邉は何度も右サイドで裏を取られていたことが、大島監督の目に留まっていたのだと思います。後半のスタートのメンバーは以下のようになります。
鈴木選手はもしかするとトップ下というよりは、藤本選手と2トップのイメージだったかもしれません。藤本選手との距離感は改善されたように見えました。
清水は、システム変更・選手交代はありませんでしたが、THE REALで秋葉監督が、鹿児島のプレス回避の話をしていたので、立ち位置は少し変えたのだと思います。
また前半に、清水の右サイドで、偽SBとして中で高い位置を取る外山選手の対策も含めて、前半よりもより、4-3-3に近い形で、中盤は中村が真ん中、右に宮本、左に矢島という並びにして、宮本が外山をきちんとケアする形にしていたと思います。
後半序盤も清水が鹿児島のゴールに迫ります。後半2分には、矢島・カルリ・北川が良い距離感でパス交換し、PA内に進入。北川→矢島へのラストパスはわずかに合いませんでした良い攻撃をします。後半12分にも吉田のクロスから北川がヘディングシュート。枠を外れますが、清水ペースが続きます。
後半13分に、鹿児島は五領に代えて西堂を投入。後半15分には、鹿児島は千布がペナルティエリア手前からシュート。これが最初のシュートになります。
さらに後半18分に、鹿児島は千布を山口に交代。早くも4枚目のカードを切ります。
大島監督は、これまでの清水の試合を見て、後半開始から30分までの時間帯を勝負の時間と考えていたのでしょう。できればここまで同点かあるいは最小得失点差でいければ、フレッシュな選手を先に入れて、運動量で上回り、清水からゴールを奪うという狙いがあったのだと思います。
清水はこれに対して、1枚のカードで局面を変えて見せます。
戦術「原輝綺」
後半21分、秋葉監督は最初のカードを切ります。矢島に代えて原を投入。システムを「原」システムともいえる3-4-2-1に変更します。(このシステム変更は本当にスムーズになりましたね)
秋葉監督は、原には、そのポジショニングを、完全に個人の判断に委ねていて、原はCBですが時にボランチ、時に右WGのようなポジションをとります。まさに「偽CB」ですね。
カルリの超絶ミドルとジェラのスーパーヘッド
そしてこの交代の直後の後半22分、試合はまた動きます。交代した原から、右サイドのブラガへの長い縦パス。ブラガは絶妙なトラップとターン、吉田と細かくパス交換をして、バイタルエリアに落ちた北川に楔をいれます。北川から、左サイドの山原に展開。カルリはPA内にスペースを見つけて、フリーの位置にポジショニング。山原がカルリに横パス。カルリはダイレクトで中村に落とす。中村はカルリにリターン。ここからカルリ―ニョスが巧みなトラップで相手DFをずらして、左45度のペナ角から右足のインフロントで巻いた素晴らしいシュート。カルリは、ボールをもらう前からイメージができていたのだと思います。ただ、これも前半の山原のFKと同様、良いコースに飛んでゴールかと思いましたが、またしても泉森のスーパーセーブでCKに逃れます。前半の山原FKの直後に、矢島のCKから北川の得点がありましたが、この泉森のスーパーセーブの直後のCKで、またゴールが生まれます。
矢島が交代したので、山原がキッカーに。後半24分の右からのCK。山原のキックはちょうどペナルティキックスポットに上がりますが、そこで体を折り曲げながら、高い跳躍力で、ヘディングの強い井林を頭一つ抜けた形で豪快なヘッド。非常に難しいヘディングだと思いますが、ゴール左隅の良いコースに飛んでゴール。これは住吉選手を褒めるしかないスーパーヘッドでした。
その直後に、鹿児島は藤本を下げて、ンドカ・チャールズを投入します。
その後の後半25分のシーン。清水サポの駒込チャントに乗せて、ブラジルデーでブラジルコンビが躍動します。
ンドカのバックパスがそれたところを見逃さなかったカルリ―ニョスが、相手8番の藤村に正当なチャージでボールを見事に奪取。そのまま一気に左サイドをドリブルで駆け上がります。それを見て北川航也がスプリントして、相手CBをニア側に引き連れ、裏に走り込んだブラガにきれいなパスが通ります。ブラガの最初の右足のシュートは、相手DFの岡本選手の見事なブロックに阻まれ、跳ね返りを反転してはなった左足のシュートは、キーパー泉森にセーブされました。これでゴールしたらブラジルデーに花を添える形だっただけに本当に惜しかったです。
それにしてもブラガは、この身体を倒しながらの左足のシュートが得意なのかもしれませんね。普通は難しい体制なのですがミートが上手いです。仙台戦の先制点も、栃木戦の2点目も、倒れながらの左足のシュートでした。
右利きの選手でこれができるのは大きな武器ですね。
戦術「ドウグラス・タンキ」
3点差をつけることができましたので、秋葉監督は後半27分に一気に3人の選手交代をします。北川→タンキ、ブラガ→松崎、カルリ→西原とシステムは変えずに、前線の3人をフレッシュな選手に入れ替えます。
今季の清水は、この6名に乾・矢島を加えて8名が、それぞれ個性があって、高いレベルのプレーができることが、去年からの大きな底上げの一つだとお思っています。
更に後半34分に山原→北爪の最後の交代カードを切ります。メンバーは以下の形になります。
システムこそ変わりませんが、北川とタンキ、カルリと西原、ブラガと松崎の個性が異なるため、戦い方は当然変わってきます。それができるのが清水の強みであり、相手にとっては脅威になる部分ですね。
特にタンキ選手は、非常に身体が強く、前線でボールが収まる選手です。なので、ビルドアップで丁寧に繋がなくても、権田や最終ラインからのロングボールを使って、そのセカンドを拾うような攻撃がしやすくなります。また相手が前がかりになっていることもありますが、右サイドを松崎・北爪にすることで、スピードのあるカウンターを繰り出すことが可能になります。左サイドの西原は、このシステムにおいては、左WGとしてではなく、よりインサイドでフィニッシャーの役割を期待されていると思います。
西原選手の才能溢れるダメ押しゴール
そしてこのシステムの特徴が活かされた追加点が後半37分に生まれます。最終ラインの原から、縦に速いパスが松崎に入ります。いち早く、松崎の外を回ってオーバーラップをした北爪にパス。北爪はパス&ゴーで最前線に飛び出した松崎にパス。松崎はシュートでも良かったと思いますが、トラップで後ろ向きにターンしてタメを作ります。タンキがPA中央でCB2枚をひきつけ、ファー側でPA内でフリーになった西原にパス。西原はDFの間を割るシュートを放ちますが、相手に当たりボールは空中に。西原がヘディングでタンキにパスしますが、これも跳ね返されます。そのボールが西原の元に。通常の選手であれば、ここまでにシュート、ヘディングと連続的にアクションしていますので、精度が下がると思いますが、これに反応した西原は、非常に速い振りのボレーで、地面に叩きつけて、ゴール左隅にボールを突き刺します。
17歳の西原の早くもリーグ戦2得点目のゴール。今季のシーズン開幕前のTMからゴールを量産していましたが、天性の得点感覚は本物ですね。ドリブルは三笘と似ていますが、フィニッシャーという面でも三笘のような得点力を兼ね備えた選手になれるといいですね。
その後も、後半42分には左サイドでタンキが素晴らしいボールキープをして会場を沸かし、その後の流れで中央から強引なシュートを放つなど、交代選手たちが見せ場を作ります。
良い流れのまま試合は終了。清水の4-0での快勝にありました。
後半の総括
手元集計による後半のスタッツは以下の通りになりました。
前半0だっとシュート数について、鹿児島も3と増えましたが、それでも清水は9本、そして7本が枠内ということで優勢にゲームを進めたことがわかります。ゴール期待値も前半を上回りました。
また後半だけで観れば、攻撃も左右均等になっています。これは途中から北爪・松崎を投入したことが大きく影響していますね。
ボール奪取位置も、前半より上がって42m付近となりました。特に守り方で大きな変化はなかったように思いますが、常に守備時もバランスを保てていましたね。
この試合輝いていた選手
さて、試合の総括として、この試合で輝いていた選手を取り上げたいと思います。その前に全体のパスソナーです。
住吉⇔高橋間のパス交換に加えて、山原⇔矢島、中村→矢島、中村→山原/吉田のパスが多くみられることがわかりますね。特に中村が全体の中心になっており、その中でも前向きのパスが多いのが良いですね。
というわけで、でし的に輝いていた選手BEST 3を発表したいと思います。
輝いていた選手①: 中村選手
はい。まず間違いなくこの試合で最高のパフォーマンスを見せたのは中村選手です。前節の群馬戦のターンオーバーで交代出場だったため、休養が取れたことがプラスに働いたのか、試合全体を通じて素晴らしかったです。
そして驚異の個人スタッツがこちら。
1ゴール1アシストに加えて、パスは背番号と同じ「71」そして成功率が驚異の93.0%です。
他の選手と比較しても、パス数71とパス成功率93.0%はどちらも2位で非常に高い数値であることがわかりますね。
ヒートマップをみても、ピッチ全体の広範囲において
輝いていた選手②: カルリ―ニョス選手
続いて、ゴールはありませんでしたが、中村を上回るパス成功率だったカルリ―ニョス選手を挙げたいです。試合前にアップされたインタビュー動画で話していましたが、ブラジルデーということで、いつも以上に強い想いでプレーをしてくれていたように感じました。攻撃面では、フィニッシュに繋がるようなラストパス・クロス、そして素晴らしいシュートとインパクトを残しましたし、守備の部分の貢献も素晴らしかったですね。
チーム全体が苦しい時に、見事なプレスバックでボールを奪ってくれたり、なかなかビルドアップできない時にトラップとターンで局面を打開したり、あとは前にスペースがあれば自分でどんどんドリブルで持ち運んでくれたり、決してゴールがなくても、彼の貢献度は計り知れません。「困ったときの預けどころ」があるという点も、特に乾が不在の場合には本当に助かってますね。
輝いていた選手③: 高橋選手
最後にあげたいのは、この試合でも決して目立っていたわけではありませんが、高橋選手です。
開幕前、TMの磐田戦を欠場するなど、怪我の影響があり、また今季初スタメンとなった長崎戦での4失点の印象から、少し出遅れた感のあった高橋選手ですが、この数試合の安定感は抜群で、本調子を取り戻してきたと思います。蓮川選手がケガで離脱する中での高橋選手の活躍は本当に大きいですね。
相棒の住吉選手が見た目もプレーも得点も派手なので、少し陰に隠れている印象はありますが、栃木戦・群馬戦・鹿児島戦共に、高橋選手のプレーは素晴らしかったと思います。
一つは守備面について。2バックでは右CB、3バックでは真ん中を務めていますが、住吉選手が前に強いタイプの選手であるため、高橋選手は最終ラインのコントロールとカバーをする役割が多いですね。ゲーム中も住吉選手に指示している姿が良く見られます。
そして最後のところで、クロスの跳ね返しだったり、身体を投げ出してのシュートブロックだったり、真ん中で鍵をしめていますね。最近相手の枠内シュートが少ないのは彼の堅守のおかげもあると思います。
もうひとつ、最近成長著しいのは、ロングパス、フィードの部分です。仙台戦でのブラガのゴールに繋がったロングフィードも記憶に新しいですが、この鹿児島戦でも、最終ラインから左のカルリ―ニョスや矢島などに対して、通したロングパスが前半に2度、後半にも1度はあったと思います。これは高橋選手にとっての新しい武器になりつつありますね。
今年31歳とベテランの年齢に差し掛かっていますが、ここ最近めきめき成長しているような印象さえあります。今後さらに期待ですね。
それ以外にも、2つのCKで見せ場を作った矢島選手、直接FKと住吉選手へのアシストとなるCKの山原選手、相変わらずの運動量の宮本選手、ゴールを奪った住吉選手、右でも左でも質の高いプレーをする吉田選手など、取り上げたい選手がたくさんいるくらい、チームとして非常に良い状態ですね。
最後に
7連勝で、15節終わった時点で勝ち点は37。2位に7点差、3位には11点差をつけるという理想的な状態になっています。
一方でまだ半分も終わっていません。そして次節は、昇格のライバル横浜FCとアウェイでの直接対決。横浜FCは今節の引き分けで4位に後退していますが、上位対決、6ポイントマッチといえるでしょう。
色々なところから、清水の連敗を止めるとしたら「横浜FC」という声も聞こえてきます。是非この試合に勝って、清水の快進撃は本物だと示したいですね。また展望を書きたいと思います。
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