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観戦記: 2024 J2 第4節 清水 vs 大分

今回も、現地観戦したホーム清水対大分戦について振り返りをしたいと思います。

清水の2-0完勝!

ホーム大分戦、清水は素晴らしいパフォーマンスでした。まずはハイライトを見てみましょう。

ホームで2-0の快勝でした。大分に対して点差以上の内容の違いを示せた試合だったと思います。以下のスタッツをみても明らかですね。シュート数で相手を大きく上回りました。ちなみに第3節までは全試合シュート数で負けていたのでこの試合がいかに内容が良かったかがわかります。

清水 vs 大分のスタッツ

さらに前半は、大分のシュート数を2本、枠内シュートを0と完璧なディフェンスができていたと思います。ゴール期待値でも、前半は0.08、後半の70分過ぎまでは0.2以下で抑えるということができました。

清水 vs 大分のゴール期待値推移

秋葉監督の試合後コメントを聞いても、清水がいかに狙い通りのサッカーをできたのかがわかりますね。

前節1-4で敗戦したあと、本当に強い勝ち方を見せてくれました。選手たちのリバウンドメンタリティー、躍動感など、素晴らしいものがあったと思います。この強い勝ち方を残りの34試合でも同じようにできるかどうかが大事です。(中略)すべてがかみ合った、われわれが目指す姿と言えるような試合ができたと思っています。

大分戦試合後 秋葉監督

清水のスタメンから見る狙いとは?


下記が大分戦の清水のスターティングメンバーです。控えには、沖、高橋、北爪、白崎、矢島、松崎、千葉が入りました。千葉は初ベンチ入りですね。

大分戦の清水のスターティングメンバー

前節から、高橋→ジェラ北爪→吉田松崎→ブラガのスタメン変更を行いました。宮本以外右サイドの選手を入れ替えた形ですね。ここには大分対策も含めた明確な狙いがありました。
特に右サイドに吉田選手を持ってきたこと。これは予想していなかったので驚きましたが、非常に理に適ったものでした。一つ目の狙いは、大分の司令塔である左サイド野村選手封じ。もう一つはブラガとのバランスですね。
前半の平均ポジションでブラガが最も前だったことに対して、吉田はハーフラインよりも後ろ目の位置でした。北爪選手と異なり、あえて上がらずに、ブラガのスペースを生み出しながら、カウンターにも備えていたということになります。おそらく松崎が出た場合のバランスも良いので、原選手が不在の場合吉田選手を右SBで起用する機会は今後増えそうですね。

清水の得点シーンを振り返ろう

この日の清水の2得点は、今季の攻撃戦術として、ボランチとサイドバックが点を取るという狙い通りの形であったことからも、素晴らしい得点だったと思います。特に1点目は、前線からのゲーゲンプレス、PA内に多くの選手が侵入するなど、今季の狙い通りの非常に良い形でした。2点目はとにかく山原選手のゴラッソ。ただその裏には2人の選手の気の利いた動きがありました。

前半26分宮本選手のゴール

清水でのリーグ戦では初ゴールとなる本当に嬉しいゴールになりました。宮本選手はインタビューで昨年の終盤からシュート練習を始めたと言っていましたので、本当にその努力が実を結んだゴールになりましたね。
このゴールシーン、良いところが本当に詰まっていました。

手前のシーンが切れていますが、これもはじまりはゲーゲンプレスでした。吉田→ブラガ→乾でカットされたところを、ブラガと乾がすぐにゲーゲンプレス。乾がパスカットして、乾→宮本→乾→ブラガでダイレクトで繋ぎ、ブラガがボックス内の細かいところを巧みにドリブル突破。倒れながら粘り強くクロス、跳ね返りを北川が反応し、相手DFのクリアを宮本が拾って右足でポストに当たったシュートがゴール。まさに、前線からの守備の意識や、ボランチの攻撃意識という今季の狙いが実った形のゴールになりました。

後半28分山原選手のゴール

続いて追加点。月間あるいは年間ベストゴールといってもいい、思わず大迫botが取り上げてしまうような素晴らしいゴールでした。

こちらは山原の個人技、スーパープレーなんですが、バイタルエリアにスペースを作った、2人の気の利いた動きがありました。一人は交代で入ったばかりの白崎選手。山原が左サイドでドリブルで持ち上がる際に、あえてスピードダウンして、バイタルエリアを指さしています。つまり、自分がそのスペースを埋めるよりも、あえて上がらないことでそのスペースを残した気の利いたプレーでした。そして北川選手。山原が左足で切り返し、ドリブルで中に入った瞬間に相手センターバックを引き連れて裏抜けのスプリント。
この二人のファインプレーで、空いたバイタルエリアのスペースに山原選手が進出し、右足を一閃。この日大当たりの濱田選手の左手の前でバウンドする絶妙なシュートでネットを突き刺しました。

後半25分権田選手のスーパーセーブ

得点と同等以上の価値がありましたので、こちらで取り上げさせてください。それは山原選手のゴールが生まれる3分前の権田選手のスーパーセーブ。ここで決められていたら同点で難しい試合になっていたと思いますので、まさに山原選手の追加点と同じレベルの値千金のセーブでした。

相手の意表を突いたショートコーナーでのワンツーから、弓場選手のピンポイントのクロス。これに藤原選手がキーパー真正面のドフリーでヘディングを合わせるシーン。おそらく10回に9回は決まるシーンでしょう。藤原選手のヘディングも完璧だった。でも権田選手はあきらめずに、最後までボールを見て、藤原選手にできる限り近寄り、身体でできる限りの面を作ります。最終的には胸のあたりでセーブ。これは非常に高度な技術が要求されるスーパーセーブでした。
ちなみに後半20分の山原→北川→乾での決定的チャンスを乾選手がトラップミスして不意にしたシーンは、この権田選手のスーパーセーブや山原選手のゴールがなければ、痛恨になるところでした。

清水の守備は何を改善できたのか?

それでは守備面の改善点についてみていきましょう。4失点を喫した長崎戦と比較すると、清水の守備は見違えるほどよくなったのはどうしてなのでしょうか。長崎戦では守備面の課題として、ディフェンス時の当たりの強さ最終ラインのケアについてあげました。そこも含めてきちんと改善をすることができていたように思います。現地で観戦していてもハーフタイムの後に以下のような投稿をしました。それぞれポイントを書いてみます。

守備の改善①: 前線からのプレス

この日清水の前線からのプレスは本当に素晴らしかったです。何度も、3人以上の選手が連動したプレスのシーンがありました。特にカルリと乾がまずはファーストディフェンダーとして相手にアタックすることを合図に、ボランチ、時にはCBまでもが連動して、次のパスの出し手にプレスをかけていく。それで奪ったシーンがたくさんありました。前半の平均ボール奪取位置は45mと非常に高かったですね。
例えば前半19分のシーン。前線からゲーゲンプレスを発動。ブラガへのパスを奪われると思った瞬間に、乾が長い距離をかけてプレス。その後、宮本、ジェラが連続的にプレスをかけて、ジェラがボールを奪取。大分は前がかりになっていたので、アタッキングサードに大分の選手が3人に対して、清水の選手が5人いる状態。数的優位を使って、カルリが持ち込んで相手にディフレクションしたボールは、濱田選手の右手から左手に切り替えて、ボールを掻き出すというスーパーセーブで防がれましたがゴールになってもおかしくありませんでした。それ以外にも3選手以上がプレスに絡むケースが多く、見ていて本当に気持ちの良いプレスでした。

守備の改善②: 保田選手のケア

大分戦の展望でも要注意人物として挙げた19歳のボランチ保田選手。ここにボールを出させないために、北川選手・乾選手がほぼ完ぺきなマークをしていました。北川が相手CBにプレスをかける際には乾が、乾が前にでたら北川がと保田選手のパスコースを切ることを徹底して、保田選手のパス数を、前半はなんと7回におさえることに成功しました。これまで保田選手は前後半で平均すると40以上のパスがありましたので、この7回がいかに少ないかわかります。唯一前半36分にマークが外れてフリーになった保田選手に素晴らしいロングパスを通されますが、その際に乾選手が「しまった」という感じで首を振っていましたので、保田選手のケアはチームとしての決めごとだったように思います。
後半乾が疲れて少しマークが空いたのでタッチ数は増えましたが、それでも以下のパスソナーの通り、全体で24回と、相手のゲームメイカーに仕事をあまりさせませんでした。(それでも後半ボールを持った時には素晴らしいプレーをしていましたが)

清水戦の大分のパスソナー

これにより、藤原選手・安藤選手の平均パス距離が伸びていること、野村選手を除く前線の選手のボールタッチが極端に少なくなっていること、つまり大分の攻撃を分断できていることがわかります。清水のプレスが効いて、両センターバックからの苦し紛れのロングボールが多かったということでしょう。

守備の改善③: 最終ラインの裏のケア

長崎戦で前半2失点のきっかけとなった最終ラインの裏のケアについても、大分戦では改善されていました。その中心となったのは蓮川選手。試合後に「この試合は割り切って守備にフォーカスした」と話していた通り、蓮川の裏へのカバーリングの意識は素晴らしかったです。相手が蹴ることを想定して、少し早くリトリートして下がる。相手よりも早くボールに触り、はっきりしたプレーでボールをけり出す、など徹底していました。
象徴的だったのが前半23分のシーン。相手の安藤選手が山原と蓮川の間の裏にボールを出すのですが、二人がいち早く戻り、対応しています。また前半30分にも、蓮川選手が裏のボールをうまく処理しています。山原選手も試合後に裏のケアについてはこう語っています。

--前節と比較した守備面での手ごたえについて。
前節やられた背後のケアというのは、最終ラインを含めて意識的に取り組んでいました。前線の選手も背後に蹴らせないように、強くプレッシングに行ってくれていました。今日は前から行く部分も後ろで守る部分も統一されていたと思うので、双方良かったのではないかと思っています。

大分戦後 山原選手

守備の改善④: 局面でのデュエル

最後に、局面でのデュエル。つまりは守備時の当たりの強さの部分です。ここが長崎戦の最大の課題であり、かつこの試合で最も改善した点だと思います。
前半立ち上がりから、吉田選手が激しいチャージをします。ファールになりましたが、このプレーがこの試合の清水のディフェンスの見本になったと思います。その直後にも、ジェラが、相手選手に激しく身体を入れてゴールキックにします。これらにより今日の清水はしっかり当たりに行くというメッセージになりました。その後も、ジェラは空中戦で、伊佐選手相手にほぼ全勝の圧倒的な強さを示しましたし、吉田選手も野村選手をサイドに追い込んでボールを奪うなど、デュエルで高い勝率を誇りました。
それ以外にも、カルリ・中村・乾も全速力でプレスに行くなど、チーム全体として非常に良かったと思います。

攻撃の改善①: バランスの良い組み立て

攻撃についても2つだけ触れてみます。こちらが大分戦のパスソナーになります。

大分戦の清水のパスソナー

乾・カルリ・中村・宮本といった中盤の選手が非常にバランスよくボールを触っていることがわかります。またパスの矢印も偏ることなく、複数の選手間でのパス交換が見られますね。ブラガのタッチ数が少ないように思えますが、DAZN中継でのアタッキングサイドの侵入率でいうと、左サイドが32%に対して、右サイドは46%であり、右からの攻撃回数の方が多かったことから、ブラガもアタッキングサイドでは良く絡んでいることがわかります。ちなみに中央は22%ということで少なく、長崎戦の反省から無理な中央突破は控えていることもわかります。
こちらが前々節の長崎戦のパスソナーです。

長崎戦の清水のパスソナー

ボールタッチが乾に偏っている2人のセンターバックのタッチ数が多く、CB間でのパスが多い全体的に右サイドでの矢印が目立つカルリのタッチ数が少ない。など大きな違いがあることがわかります。
今回の大分戦のようなパスソナーが、清水のやりたいサッカーを表していると思うので、今後も注目していきたいです。

攻撃の改善②: 乾不在時の新システム

もう一つは山原選手の追加点によって、乾選手(と北川選手)を下げることができ、乾選手不在時のシステムを試すことができた点も収穫でした。ひとつは、4-4-2のような形。松崎と千葉の2トップ気味にして、右にカルリ、左に白崎を配置。2トップで前線の枚数を増やしつつ、攻撃の起点になれるカルリと白崎を両サイドに配置するという形でした。もう一つが終盤の3-5-2。高橋選手を3バックの中央、北爪選手を右WB、山原選手を左WBにおいて、白崎・宮本・中村を3CMFのように配置。もちろんどちらかというと試合をクロージングするためのシステムではあるものの、乾がいない時に、白崎・宮本・中村(おそらく矢島もこの役割ができる)をフラット気味並べて、2トップを置くというのは面白いと感じました。

清水の個々の選手の評価

この試合、ゴールを決めた宮本選手、山原選手を始め、全員良かったですが、何名かピックアップして、ヒートマップや個人スタッツと共にプレーを振り返りたいと思います。

吉田選手: 他チームならスタメン級

まずは吉田選手。今季初先発。本人が話していたように、右SBとしては1年振りの先発となりました。

吉田選手のヒートマップ

この日も、デュエルの強さは圧倒的でした。全体的に自陣側でのボールタッチが多く、上記で書いたように、カウンター対策も含めて、うまくバランスを取っていたことが伺いしれます。また時折タイミングよくオーバーラップをして、良いシュートやクロスも放っていました。個人的には左よりも右サイドの方が特に攻撃面ではやりやすいのだと思いました。これだけ攻守両面での活躍を見ると、彼が控えにいるということは本当に心強いですね。他のチームなら確実にスタメンをはれる選手だと思います。

ジェラ選手: 圧倒的なフィジカル

続いてジェラ選手。前節の長崎戦では、それまで良かったにも関わらずスタメン落ち。本人は悔しい想いがあったのでしょう。素晴らしいパフォーマンスでした。特に目立ったのが空中戦の強さ。守備のスタッツを見てみましょう。

大分戦のジェラの守備スタッツ

実に、クリア5回(多くはヘディング)、こぼれ球ダッシュ5回。何より素晴らしいのはあれだけ激しいプレーをしていたにも関わらず、ファールはなしという部分です。
攻撃でも、CKから濱田選手のスーパーセーブがなければゴールというシーンもありました。この空中戦の強さは武器になるはずであり、今後セットプレーの得点源としても期待できますね。

中村選手: ウルフのようなプレースタイル

続いて、サポパでも良いにおいがすると秋葉監督に言われていた中村選手。毎試合安定していますが、この試合も素晴らしい出来でした。

大分戦の中村選手のヒートマップ

どちらかというと左サイドのボランチなのですが、ボールタッチは右サイドの方が多く、ピッチを縦横無尽に走り回っていることがわかります。攻撃ではパス数40、パス成功率82.5%と組み立ての中心役を担い、守っては、主にセカンドプレスとして相手選手を追っかけまわしていました。また相手からするといやらしいのですが、手や足の使い方がうまい。ファールもそれなりに多いのですが、手や足(裏を見せずにアウトサイドでタックル)の使い方がうまくて、警告をもらわずに、相手を止めることにも長けています。髪色含めて、まさに「ウルフ」のような選手ですね。この試合はシュートはありませんでしたが、今後得点も期待できる選手だと思います。

カルリ選手: ノーゴールも心配なし

昨季15得点とチーム得点王になったカルリ―ニョス選手。でしの今年の一推し選手でもあります。これまで4試合でノーゴールと心配している人も多いかと思いますが、でし的には、何も心配いらない、時間の問題、だと思っています。こちらがカルリ―ニョス選手のヒートマップです。

大分戦 カルリ選手のヒートマップ

後半途中から右WGでプレーしたこともあって、右サイドでボールタッチもありますが、左サイドを中心に時折中央でボールを触っていることがわかります。長崎戦からパス数も倍増し、この試合は良く組み立てに絡めていました。
攻撃でも、前半19分のミドルシュートや、前半終了間際に北川とのワンツーからのシュートなど決定的なシーンにも絡んでいました。右WGに回った後も高い個人技で相手を交わして松崎→千葉と好機を演出するなど攻撃でも貢献していました。しかし何より素晴らしいのは守備での貢献度。前半37分のカルリ→山原→蓮川で連動してボールを奪ったシーンや、後半4分のプレースバックなどかなり利いていました。攻撃的な選手なのに、守備力も高くて、献身的という、本当にチームに欠かせない選手だと思います。決定的なシュートも何本か放つことができましたので、ゴールも時間の問題でしょう。

ブラガ選手: サッカーIQの高い選手

本日初スタメンのルーカスブラガ選手。秋葉監督も驚いたように、もともとの想像とは異なる、非常に気の利く選手でした。サッカーIQが非常に高い印象で、ポジショニング、ワンタッチ目、ネガトラ時の守備など、随所に「うまい」と唸るシーンがありました。

大分戦のブラガ選手のヒートマップ

前半11分には、ゆったりボールを受けたと思ったら一瞬でスピードを上げてワンタッチで相手を置き去りにしたり、前半16分にはパスが短くて相手にボールを前で奪われるのですがネガトラが早くて相手を手で押さえてカウンター防いだりとか、宮本のゴールシーンでのゲーゲンプレスとドリブル突破、前半39分にドリブルのモーションから北川にクロスあげたりとか、後半14分にもピッチを横切るドリブルから逆サイドに展開したりとか、本当に引き出しの多い選手という印象を受けました。
身長もあるのでロングボールのターゲットにもなりますし、ドリブルは得意ですが球離れも早く、なかなか見ていて面白い選手です。
清水サポの中には、あまり評価していない方もいるようですが、大分の弓場選手の試合後のコメントの通り、相手にとっては脅威になったようですね。
守備時に足ではなく身体で行く、攻撃時にもっと積極的にシュートを打つようになると更に脅威になると思います。今後に期待ですね。

シンプルに相手がうまい。特に両サイドは脅威だった。前からプレスを掛けて両サイドがターゲットになって、収めて逆サイドまでドリブルで持っていったりするのに対して、太刀打ちできなかった。かといってブロックを構えたら、相手はクオリティーがあるし、力のある相手だなと痛感した。
(中略)
(乾選手はある程度抑えられたが)ただ、その1個奥の外国籍選手2人に自由にされてしまった

試合後 弓場選手

北川選手: もっとエゴ出してもいいはず

続いて北川選手。前線からの守備、ポストプレー、裏の抜け出し、乾選手への決定的なアシストどれも素晴らしいんですよ。ワントップとして、どうしても数的不利な状況の中でプレーを強いられるポジションとして、及第点以上の出来であることは間違いありません。

大分戦の北川選手のヒートマップ

それでも、シュート1本はもったいない。あれだけワンタッチでの絶妙なレイオフパスを見せているなら、時には裏をかいてターンをしてシュートに持ち込むなど有効だと感じています。前半18分もポストプレーは素晴らしいのですが、ここでターンして裏に抜けることができたら、GKと1対1のチャンスが作れたかもしれません。愛媛戦のようなゴールに絡むシーンをもっと見てみたいです。

千葉寛太選手: まずは上々のデビュー戦

千葉寛太選手のデビューはしびれるものがありました。身体も大きいし、ポストプレー、ボックス内で受けての反転シュート、カウンターに対するポジショニング、シュートのミートのうまさなど、日本代表の上田綺世選手のような万能型のストライカータイプの片りんを感じました。タンキ選手が合流したら、出番は少なるかもしれませんが、ルヴァンや連戦の中で確実にチャンスはあるはず。これからも是非観てみたい選手ですね。

清水の積み残し課題は?

「勝って兜の緒を締めよ」という言葉がありますので、最後に課題についても触れてみたいと思います。

課題①: セットプレーの守備

ここは長崎戦からあまり改善が見られませんでした。CKの時にゾーンで守るのですが、権田のスーパーセーブで事なきを得たシーンに代表されるように、相手チームが勢いをもって突っ込んできたときにどうしてもマークが外れやすいところがあると思います。
また一番気になったのは、ショートコーナーのケア。大分は、左利きの弓場と右利きの保田の平均年齢20歳Wボランチがコーナーに立つのですが、この際に誰もマークにいかないシーンが少なくとも後半9分と、権田のセーブに繋がった後半25分で2回ありました。ショートコーナーを使われた角度をつけてほぼフリーでセンタリングを上げられるのでピンチになりやすく大変危険です。
秋葉監督は昨季はセットプレーの攻撃は市川コーチ、守備は古川GKコーチに一任する形でしたが、今年は役割を変えたのかもしれませんね。もちろん時間がかかることだとは思いますが、改善が必要な点だと思います。(セットプレーからの得点も取れていないことから、攻撃側も要改善ですが)

課題②: 交代選手での守備の連動

大分が交代選手を投入してフレッシュになったこともありますが、後半20分過ぎから、大分の猛攻を受けます。セットプレーを中心に終盤にかけてこれまで3本に押さえていたシュートを、立て続けに5本打たれ、大分のゴール期待値も0.5ポイント以上増加しています。
山原選手の追加点後に乾選手→松崎選手の交代をしていますが、保田選手のマークは外れ気味のままでした。さすがに後半43分に高橋選手と北爪選手を投入して3バックにしてからは、相手のチャンスもなくなりましたが、この20分ほどの、運動量が落ちたタイミングでの守り方については、交代カードの切り方やタイミング含めて課題が残ったと思います。

千葉戦の展望・まとめ

いかがでしたでしょうか。ホーム大分戦は2-0のスコア以上の快勝だったと思います。1試合にも関わらず目に見える形での改善が見えました。大事なことは、これを継続すること。特に良い試合の後は少し気が抜けてしまいがちなので、連戦になりますので、気を引き締めていきたいですね。
何より次は、去年一度も勝てなかった千葉。両試合共に現地観戦しましたが、国立の大観衆で勝てなかったこと、フクアリで後半終了間際に決勝ゴールを決められたことは、悔しい思い出として心に残っています。
(おそらく展望を書く時間がないので簡単に触れると)千葉はこれまで2勝2敗。4試合で11得点・8失点と、攻撃は毎試合複数得点で好調ですが、守備は前節の鹿児島相手に4失点のように課題を抱えています。シュート数も、16本、29本、21本、15本と多く、どの試合でも相手を上回っています。

千葉・清水これまでの成績

基本システムは4-2-3-1。スタメンは毎試合少しずつ変わっていますが、GKのU23代表の藤田、CBの鈴木、ボランチの田口、右WGの田中、トップの小森あたりの主軸はスタメン定着しています。さらには去年藤枝でゴールを決められた横山や、磐田の主力だったエドゥアルドもいます。更には元清水の高木俊幸選手も最近はベンチ入りしています。J1昇格の最大のライバルの1つということで選手層も厚く長崎同様、こちら側として中途半端に入ると必ずやられます。特に小森は3試合連続ゴールと絶好調。常にゴールを狙う、間違いなくJ2屈指のゴールハンターです。
強力な攻撃は、とにかく前線に人をかけてきます。ボックス内に4人、5人とどんどん入ってきます、さらにはボランチの田口のミドルは強烈です。そして鈴木を中心としたセットプレーも怖さがあります。
逆に守備はカウンターには弱い印象です。またポケットの守備が甘く、抉られてマイナスのクロスを上げられて失点というのも良くみます。サイドバックの守備があまり強くない印象です。
大分戦のように早いプレスでボールを奪い、一気に速攻に繋げるような戦いができれば勝機はあります。
千葉戦も相方といっしょに現地観戦します。今度こそ三度目の正直で、勝ち点3を奪いたいですね。アウェイですが勝ちロコをして帰りましょう!

大分戦の勝ちロコ

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