中村というやつ

中村というやつ

中村は中村でしかなく
中村であってほしく
中村でなければならない
確固たる存在理由
それが中村

中村が変わらないように監視する
で、無ければ
おれの中村はいなくなる

おい中村相変わらずだな

おう

やっぱり中村はいい
一定のリズムの呼吸
ゆれない視線
ほぼ動くことのない口
どこから声が漏れているのか

短い髪も針金のよう
なびくこともなし
そよともしない強靭な髪

そこが中村

おれが屁をしようとも
びくともしない
「わるい」と悪びれず謝る俺に

まあな

の返事

腹を壊した日でさえ
これだ

まあな

中村…
あーあ中村

中学の時のお前のあだ名が
ちゅうそん
だと聞いた日は

それこそおどろいたさ
まさかお前にあだ名があったなんて
以外中の以外

社会の授業で中尊寺
を習った時らしいな
その時つけられてしまったと

まあ　そんなことでもなければ
お前に
あだ名がつくことも
なかっただろう

だって
中村は中村でしかありえない

そんなあだ名も数日だったと

おれの中村だぜっ

まさかキャラクターものとか
好きだったりしないよな？
スヌーピーが好きとかないだろ？

えっ
兄貴が持ってた本
ちびママちゃん
ていうのが初めて読んだ　
まんが本で
それが
頭に
こびりついてる
っていうのは
あるってか

ちびままちゃんの耳に
釣り糸を垂らして
耳から
恐竜が釣れて出てきたのが
衝撃で

それ以降
本は読まないことにしてる

なんじゃそりゃ

頭の中の物が出てきて
怖かった

確かに

怖いって言ったら
おれは映画バタリアンだな
ゾンビウイルスの雨が降ってきて
みんなゾンビになるってやつ
雨だから逃げようがない
本当だと思って
ぶるぶる震えて
寝れなかったな

おい中村！
寝てんじゃないか

はー

やっぱり

中村だな
それでこそ中村

安心した

明日も
中村でいてくれよ

作家紹介プロフィール
対極の高橋　
1985年生まれ　青森県出身
手荒れで美容師を断念
2010年バックパッカーとして世界を旅する
web小説にて少しずつ作品を発表
独特な思想感が少数の人に支持されて
今日に至る
いずれは「すごい奥深い読み物大賞」を
とることを目標としている。
小説家プロダクション［大きい会］に所属
代表作「何もしたくない！！」「となりの工事現場の手袋」
「あさっての新聞広告」
雑誌　［小説古今東西新春特大号］にて
今年ブレイクする作家に8年連続で選ばれる

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