人は2度死ぬ 2 「柿の話」

祖父のエピソードで一番好きな話。
祖母がしてくれた。

祖父は庭が好きで、よく手入れをしていた。
祖父母宅には周りぐるっと色んな樹木が植っていた。
花木や果樹。
特に橙になる実は立派で、
毎年鏡餅のてっぺんを飾ってた。
柿や枇杷も毎年良くなってた。
美味しかったよ。


父が中学生の頃の話。

父と同い年くらいの子ら3人が、
柿を盗もうとしていたらしい。

祖父はそれに気付き、激怒した。

「盗むな!
欲しいなら欲しいと、盗る前にわしに言え!」

祖父がその子らの荷物を取り上げ、
庭先に正座させてる場面に祖母が出くわしたらしい。
(庭先で祖父が怒号出してて何事かと外に出た)

その子らのことを祖母は知っていた。

当時の親ネットワークで
「親が面倒くさい家庭の子ら」

その場で祖父にそれをこっそり伝える。

祖父はそれに更に激怒した。

「こいつらが盗みを働いたんやぞ!?
ダメな事はダメやろうが!
わしに文句言う親がおるなら、
わしが相手するわ!ここに連れて来い!
絶対に負けんわ!」

祖父は中学生らを正座させたまま、
1時間余り(鞄を取られてるから逃げられないw)
「盗むな!欲しいならわしに言え」と叱り、

最後はカバンに詰め得るだけの量の柿を持たせた。
中学生らは泣きながら帰って行った。

その後、その面倒くさい親からのクレームについては全部祖父に任せたので、

祖母「どーなったのかわしは知らん。
うちの周り(父も含め)は、何もなかったわ」

とのこと。

中学生を泣かせるほど怒った後、
帰す時に柿をしこたまやるのが祖父らしいと思った。

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