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DERIGINOがやりたいこと

先日、ラボ同期の杉野とDERIGINOなる組織を立ち上げました。

なぜ急にそんなものをスタートしたのか?
DERIGINOが目指す未来について共有したいと思います。

背景…高まる脳科学ビジネスへの期待

現在、ブレインテック・ニューロテックと呼ばれる「脳科学ビジネス」に大きな期待が集まっています。

脳科学ビジネスの市場規模は5兆円規模とも言われています。
Appleがイヤホン型脳波計を開発しているという話も記憶に新しいですね。

アメリカや中国をはじめ、巨額の資金が脳科学ビジネスや研究に注がれています。毎日のようにこれまでに知られていなかった現象が報告され、存在しなかったテクノロジーが開発されています。

数十年後には私たちの生活は一変し、誰もが脳デバイスを身につけ今よりも便利な生活を送っているのかもしれません。
その革命は、AIやインターネットが生まれた時、あるいは農耕や言語が生まれた時のようなインパクトを私たちにもたらすかもしれません。
それほど刺激的な時代を、これからの数十年で私たちは経験するはずです。

しかし、科学技術の進歩は常に誤った進化と背中合わせです。
物理学の発展は原爆の開発につながりました。インターネットの発明は芸能人への誹謗中傷を可視化し問題となっています。
脳科学の発展も同様に、適切に進めなければ人類の幸福を妨げることになりかねません。

誤った脳科学ビジネスの弊害

実は既に、脳科学ビジネスは誤った方向に進みつつあります。

例えば最近話題の「岸田首相の脳波を測定してみたらヤバかった」という文春の記事に関して。

ARAYAの金井さんがこのように反応し話題になりました。

これは極端な例ですが、脳波を使えばその人の人となりが分かるとか、思考が読み取れるとか、そのようなことは現状ほとんど全くできません。

また、最近公開されたムーンショットによるエビデンスブックによれば、脳波ではリラックスしているかどうかでさえ明確には分かりません(RQ9, p18)。

脳波は世間のイメージに反して、分からないことの方が圧倒的に多いのです(だからこそ研究対象としてとてもやりがいがあって面白いのですが)。

脳波の可能性と限界を正しく広める

そのような中で、適切に脳科学ビジネスが発展するためにはどうすればいいのでしょうか。

そのためには、研究者や有識者だけでなく、一般のビジネスマンや主婦、さらには中学生や高校生でも、誰もが脳波に親しみを持って理解している状態を作らなければならないだろうと考えています。

知識がない人を騙すことは簡単ですが、適切な知識や理解を身につけることで、誤ったビジネスに騙されることを防ぐことができます。
それがひいては、間違った脳科学ビジネスが広まることを防ぐことにもつながるはずです。

DERIGINOがやりたいことはここにあります。
脳波の正しい知識や理解を大衆にも広めたいのです。

脳波の楽しさ、神秘を知ってほしい

ここまで堅苦しい話をしてきましたが、「脳波を広めたい」理由はもう一つあります。
というか、正直に言うとこっちが本音なのかもしれません。
それは「脳波はめっちゃ面白い!」ということです。

何より脳波は面白く、神秘的です。

自分の脳波を測ることは、自分の知らなかった一面に気づくことでもあります。
自分の考えている以上に自分の脳波は日夜変化しているし、他の誰とも一緒ではない。

そのことを感じると、自分が誰と比べて優れているとか劣っているとか、(論文がなかなかアクセプトされないとか…)そういうことも割とどうでも良くなってきます。

巻物のようにずっと続く脳波の波形を眺めていると「この瞬間に何があったんだろう?」「ここで前頭葉と頭頂葉の脳波がシンクロしてる!」などという気づきが止まらなくなり時間を忘れます。

それはまるで化石を発掘しているような感覚でもあり、自分自身のニューロンと会話しているような感覚でもあります。

その時間が好きすぎて、自分の脳波をプリントしたTシャツを作ってしまったぐらいです。

脳波Tシャツを着て富士登山したときの写真

だからこそ、脳波を人を騙すビジネスの道具にして欲しくないし、その面白さや神秘に多くの人に触れてほしいと思います。

これもDERIGINOがやりたいことです。

脳波の可能性を追求する

途中「脳波ではリラックスしているかどうかすらよく分からない」ということを書きました。
では脳波では何もできないのかと言うと、私はそうは思いません。

ただ、現状では実社会応用するには分からないことが多すぎる、と思っています。
まだまだ脳波に関する科学の理解は未熟です。

なので、数百億のニューロンが生み出す脳波というあまりにも複雑な信号を、人類はまだ使いこなせていません。

そのためには、正しい脳波の理解、斬新な発想、さまざまなものが求められています。

そこでDERIGINOでは、脳波の社会実装を見据えた基礎研究を志向します。

慶應大の牛場先生が、長い期間を脳波と運動のリハビリテーション研究に注ぎ、その成果を今株式会社LIFESCAPESとして社会実装しています。
そのように真摯に研究成果を積み上げ、本当に意味のある脳波の実社会応用を目指します。

おわりに

慶應大、牛山潤一研究室(先ほどの牛場潤一先生とは別人です笑)に入り7年が経過しました。小学校よりも長い期間を過ごしたと思うと不思議な気分です。
この7年間で、脳波とは、ヒトとは、研究とは、さまざまなことを学びました。そろそろ論文という成果が出て恩返しできると思うのですが…もう少し時間がかかりそうです。

牛山研で全く同じタイミングで所属したのが、同期の杉野です。
杉野は元体操選手であり、スポーツにおける才能とは何か?といったことを主たる興味として研究を進めています。
その意味で(認知を主たる興味としている)私とは全く異なるバックグラウンドを持っています。

にも関わらず気づけば意気投合し、DERIGINOなる謎のユニットを立ち上げるに至りました。
杉野は運動のプロフェッショナルでもあり、社会人経験もあり、僕が持っていない多くのものを持っています。
今回の立ち上げも、僕一人では確実にスタートできていませんでした。
そのような仲間に出会えたことに感謝しています。

そして、DERIGINOの活動に興味を持ってくださる方がいたら、ぜひフランクに話しましょう。飲み会でもZoomでも歓迎です。
会社という体裁ではないので雇用とかそういうことは現状ありませんが、何か一緒に進められることがあれば嬉しく思います。そうでなくても、問題意識や興味を共有できれば、10年後や20年後のつながりになるかもしれません。

脳波ワークショップ開催

最後に、来たる2023年8月19日(土)、渋谷にて「脳波ワークショップ」を開催します。
ワークショップでは「自分の脳波計測」「簡単な脳波レクチャー」「自分の脳波でオリジナルグッズデザイン」を体験できます。
グッズはTシャツやマグカップ等を1つ制作できます(追加料金(詳細未定)をいただければ複数のグッズを制作できます)。
価格はグッズ費込みの5000円です。

正直、場所代や手間賃を考慮するとほぼ儲けはありませんが、皆さんとお会いできることの方が楽しみです。
興味のある方は
@DERIGINO_pressのツイッターDMまでご連絡ください。

2024年度募集はこちらから↓

脳波ワークショップ参加者募集中

2024年度、脳波ワークショップを開催しております。
興味のある方は以下の記事をご覧ください。

【脳を知り、自分を知る】脳波ワークショップ2024







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