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ホン雑記 Vol.103「エンカウント」

今日もジョギングをしてきた。
前は「新聞配達員と同じ士気でやる」と決めていた。自分が走らなかったらどえらいことになる。
雨にも負けず、風にも負けず、雪にも、夏の暑さにも負けぬように走ろうと思っていた。1回崩れたが最後、歯磨き以下の意志に成り下がる。
そう思うと歯磨きはすごい。意志なんかない。


またここ最近、ちょっとずつ士気が高まってきた。走りに出かけるのがそんなに苦ではなく、自然たちに触れる爽快感もアップしているようだ。

今日は走っていてイモムシを見つけたので立ち止まった。どうしたもんか、最近は虫が好きになってきた。歳を食って、涙もろくなって、虫も殺せぬような人間になってきたのが王道すぎて、ちょっと尺に触る。
あ、癪に障るだった。イモムシに引っ張られすぎた。

アスファルトの小道に座り込んで、そいつの行く手を遮ってみた。というか、指に登らせようとしてみた。
あれ? 丸い虫ならいざ知らず、こんなウネウネしたの、最近まで触れなかったよな、オレ。うーん、自分の中でなんらかの精神的変革が起こっているようだ。い~ぃ感じで。

2分ぐらい戯れたが登って来てくれそうになかったので、諦めた。アスファルトの脇の草エリアまで追いやって立ち上がると、無意識に近いレベルで口を衝いて「じゃあな」と出たので、「じゃあなって」と苦笑してしまった。自分でも気づかないうちに、友情が育まれていたようだ。

別れを告げる前に一度草を千切って目の前に置いてみた。食べるなり調べるなり、なんらかのリアクションを取ると思ったからだ。華麗にスルーされた。

エサを与えようとしたこと、「じゃあな」と別れを告げたこと。今思えばそれは、「生き延びろよ」の想いが行動になったものだろう。


子供の頃、捕まえたイモムシを虫かごに入れてベランダに置いておいた。一晩経って虫かごを覗いてみると、蝶に孵っていた。
オカンとふたりして、大層テンションが上がった記憶がある。知識として知ってはいたことのはずだった。が、途轍もない瞬間に立ち会った確信があった。

その貴重な一次情報があったから、今日のイモムシが羽ばたくのを願ったのかもしれない。



嫁に今日のことを意気揚々と伝えたら、
「どんな種類かも知らないで触らないほうがいいんじゃないの? 毒あるヤツいるよ」
とたしなめられたので、大人のオレはテンションが下がった。




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