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雀鬼・桜井章一

プロボクサーの村田諒太が対談していた相手として、YouTubeで知ったのが麻雀の鬼、桜井章一だった。勝負師の鑑とも言える彼の独特な世界観に惹かれ、著書を2冊買った。

彼は一言で言えば「代打ち」だ。経営者同士の賭け事から、裏社会の紛争解決手段まで代理として勝負を引き受ける。負けたら終わりの世界で20年間無敗だったという。

そういう世界なので、イカサマも横行する(バレたら終わり)。彼がイカサマを常套手段としていたのかは知らないが、麻雀の腕の磨き方を知った時には驚いた。

電車に乗っている時、停車駅ごとにどんな人物が乗ってくるのかを予想して当てるというのだ。最初はもちろん当たらないが、繰り返すうちに性別、年齢、背格好など正答率を上げていったという。

他にもYouTubeで合気道のような技を見たが、かけられる方は皆驚嘆するばかり。ただ、合気や中国拳法の発勁などではないという。あくまで自然にそうなるでしょ? という感じで、説明を聞いても意味が分からない。しかし、彼の中ではおそらくすべて麻雀にまで繋がっている力の流れなのだろう。

そんな「雀鬼」の一家言をいくつか紹介してみる。



明日のことを考えすぎるな

背中に日本刀を突きつけられ「勝ったら殺す」と脅されながら、麻雀を打ったこともあるという桜井氏は、そんな時も我関せずだという。

現代人は「明日」のことを気にしすぎだという。「もし○○だったら」と決めつけ、死期はまだ来ていないというのに恐怖の世界でのたうちまわり、自殺を選んでしまうことすらある。

明日のことは分からない… それが分かっているはずなのに現代人は必死で知りたがる。それもほとんどは悪い方へ悪い方へと向かう。

彼は「甘んじて受ければいい」という。殺されることはないと。
それは持って生まれた化け物じみた胆力のある彼だから言えることだ… と断ずるのはあまりにも容易い。「甘んじて受ければいい」と知っておくだけでも、ひとつ境地に近づけるかもしれない。


固定給の意味は

多くの人が、仕事の業績に関わらず、会社からもらえる一定の金額を「固定給」だと思い込んでいる、と桜井氏。

彼に言わせればそれはまったく違う。
固定給とは会社が社員を「固定」するための金のことだという。簡単に言えば「私の言う通りにしなさいよ」と人を縛りつけるための金だと。

会社が右にぶれれば、君に右にぶれてもらうために、「カラスは白い」と言ったら「カラスは白いです」と言わせるために会社は固定給を君に支払っていると考えると分かりやすいよ、と教えてくれる。

彼は大学の工学部を出て、みんなと同じように就職した。が、最初に会った上役を見て、こんなヤツの下で働けるかと入社を辞退。結局、人間的魅力を感じた人間の下で働いたが、そこでは給料をもらわなかったという。固定されたくないからだ。

そして無給で働いていると、なんでも言えるという。そのせいでぶれたことがなかったというが、そこでオレは「え、生活は?」と思ってしまった。が、明日の心配をしない彼にとっては知るところではないらしい。

会社に勤めるのが悪いとは言わない。が、「利害を優先しない行動」を自然と取れるようにしてほしいと彼は言う。

たとえば会社でも「儲かる仕事」は人に譲り、「儲からない仕事」を率先する。すると、損得ばかりを考えていた頃よりも、遥かに多くの物事が見えてくるようになる。やがては仕事の成果も出て、周りからの信頼も厚くなっていくんじゃないかと言うのだ。

誰に何を教わるでもなく、はなからイケてる経営者脳が備わっていた。



ちょっと凡人には真似し難い部分も多いが、いざ腹をくくらねばならないという時には、案外劇薬として奏功しそうではありそうだ。




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