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ホン雑記 Vol.30「嫁日記」

今日は珍しく筆が進まない。
困った。

そんなことをボヤいていると嫁が、
「○っ○のこと書いとけばいいじゃん。3行ぐらいにはなるよ」と言う。

○っ○のところは嫁の名だ。そう、43歳にもなって1人称が「私」ではなく自分の名前だ。
男女ともに嫌悪感のたぎる人もいるだろう。
だが、ちょっと待ってほしい。

これはむしろ逆なのである。
どうやら、自分を「私」と言うほうが居住まいが悪いようで(男が外で「私」と言うのに似ているか)、むしろ自分の女性性を認識するのが大の苦手であるからこそのこの呼び方なのだ。

逆なの。ぶりっ子ではないの。むしろ匂い消しなの。
化粧もしないし、結婚式とかにもまるで興味がない。かと言って男勝りなわけでもないし、中性的でもない。とても女性的なところもある。

まぁ、そんな感じのヤツだ。

で、「3行って。一応最低800文字ぐらいは目指してんだよ」と言ったら、
「そのぐらいに伸ばせばいいじゃん」と返ってきたので、体力と精神力を奪われながら自分の部屋に戻ってきて今これを書いているのだが、ちょっと800文字いけそうなので引き伸ばしてみようかと思う。


と、言ってもそんなに書くこともないのだが、1番の特徴は幼さだろうか。オレも大概ピーターパンシンドロームを患っているが、嫁はオレよりさらに症状がヒドい。

多分そういったわけで、ウチには子供がいない。だいぶ考えたこともあったが、どっちも子供では子育ては無理だろうと思ったのだ。
その反面、誰より良き父と母になっただろうとも勝手に思っている。

子育てが無理だろう、というよりは環が完結していると思っているのかもしれない。
2人とも、あまり常識にとらわれるタイプではないところが多々ある。
付き合って16年ほど経ってから籍をいれたが、オレは結婚してもしなくてもどっちでもよかったし、その間嫁は1度も結婚の話を持ち出したことがない。別に遠慮しているわけではない。

オレにとって嫁はある意味、母であり、娘であり、妹であり、無二の親友でもある。
ここ最近、「孫ですよー」と言ってくるので嫁にとっても大方そんなところなんだろう。


オレもこの歳になって、自分の人生から片足を抜いて自分の人生を見つめられるようになってきた。

すると、1人の人間が1人の人間とひとつ所に暮らすのが当たり前、という状況はとても有り難きことのように思える。
子供もいない、別に籍はどっちでもよかった、財布も別、相手のやりたいことの一切を否定しない…… なのに一緒にいる。


結婚をしてもしなくても良かったというオレが、ここんとこ数カ月、毎日のように「結婚してくれてありがとう」と言っている。思わず口を衝いて出る。

この縁が続いているのも、すべては嫁の忍耐力のお陰だ。
それ以外にはない。



控え目にしていたが、そろそろステノ(ステルスノロケ)が見抜かれそうなのでこのへんにしておこう。

貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございます。




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