フェイクドキュメンタリーQの気になったところ:Q3

Q3「遺品」



「Q3」概要

・動画公開日2021/09/12
カメラマンと数人の男女(30代後半~40代ぐらい?)
山道を歩く場面から始まる。カメラマンは山を登りなれていないのか、疲労している様子。
・女性のナレーションで「この山でカメラマンの友人ナオトさんが十数年前に薬の過剰摂取で自ら命を絶った」と説明している。続いて「遺体は発見されたが、所持していた荷物は見つからなかったそうだ」と説明が入り、タイトルが表示される。
・食事シーン。ナレーションで「彼らは毎年供養と同窓会を兼ね、ナオトさんの命日に登山を行っている」と説明している。
・遺体の発見場所に到着する一同。ナレーションでは「ナオトさんが心の病気で、亡くなる前に"幽霊が見える"と周りに話していた」と説明している。
・ナオトさんの亡くなった場所に献花。掃除を行う一同。
・男性の一人が、離れた場所でカバンを見つける。ナレーションで「遺体と発見されなかったナオトさんの私物である」と説明が入る。カバンの中には本や眼鏡、カメラなどが入っている。
・ナレーションで「遺族に確認してもらうためにカバンを持ち帰ったこと」「デジカメのデータを確認し、ナオトさんのものであると証明されたこと」が説明される。
・その後、復元したカメラ内のすべてのデータをナレーション付きで紹介していく。

復元されたデータの内容

(動画の5:25から全部で17枚
「破損したデータを復元したため、画像に大きなノイズがある」という説明

1~3枚目

バーベキュー?飲み会?の画像
3枚目にはナオトさんの姿がある。

4~8枚目
ナオトさんが亡くなったと思われる山の写真
5枚目は上下が逆になっている写真。
9枚目
ナオトさんらしき人物の後ろ姿が写っている。
リュックサックを背負っている。
10~15枚目
再び山の中の写真。どんどん道のない方へ進んでいる?
11枚目は献花した付近に似ている?
14枚目はブレたような写真になっている。

16枚目
道路?(白線のようなものが見える)
右側のノイズは建物?にも見える。山の中の写真ではないようだ。

17枚目
黒い影のようなものが写っている。時間帯は日中?

気になった所と考察

慰霊に来ている人たちの関係性

「十数年前に山の中で命を絶ったナオトさん」デジカメの画像の飲み会の様子から、大学のサークルの友人だった可能性が高い?(慰霊のメンバーの年齢も合っている)。また(動画の4:26)にて「確かに山登りの時とか(カメラを)持って来てたかも」という発言があることから、登山関係のサークルであると思われる(デジカメの画像には屋外で撮影されたものもある)。
毎年、ナオトさんの命日に慰霊のために登山をしているので、趣味としての登山は続けているのだろうか。カメラマンだけ息が上がっているのは、登山関係ではない知り合いの可能性がある?または、登山に今回初めて参加した?

カバンの中身

眼鏡・・・「ナオトさんのものに似ている」というコメント
(地天)下方守護と絵が描かれた紙・・・どこかのお寺の名前が描いてある。絵は地天か。
(下方守護=仏教を守護する12の天尊のうち下方の大地を守護する地母。地天)
銀河鉄道の夜の文庫本・・・表紙から新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)
モザイクがかかった何か・・・(動画の4:32)より薬のシートに見える(命を絶つために過剰摂取した薬?)
タオル・・・
土とかカビで汚れてる?
カメラ・・・外見の特徴的に「コニカ RevioⅡ(2000年10月発売開始)」

この映像はいつ撮影されたのか

(動画の0:24)で登場する祠?に供えられている酒瓶には「陶陶酒」と描かれており、この瓶の形状・ラベルから「陶陶酒銭形印」と分かる。
「陶陶酒銭形印」は2017年2月に新発売となっているため、カメラの発売開始時期や「十数年前に命を絶った」という情報から、2018~2020年の映像だと推測する。

違和感、事実と食い違う点

この動画にはいくつか違和感を覚える点がある

「十数年前の遺物が当時は発見されなかったのに、映像内で亡くなった所からすぐの場所であっさり見つかった」
・・・警察の捜索で見つからなかったものが、ちょうどカメラが回っている場面で都合よく見つかるだろうか?

「"供養と慰霊"という表現と命日に毎年行う登山」
・・・友人とはいえ、いささか重すぎるように感じる。

「十数年前のカバンが野ざらしになっているなら、劣化はもっと激しいと感じる」
・・・雨ざらしになる環境だが、紙類の状態が良いように思える。

「発見されたカバンはナオトさんのものだとされているが、カメラで撮られた画像に出てくるナオトさんに似た後ろ姿のカバンとは形状や大きさが違ってみえる」
・・・写真に写っている人物がナオトさんではない?

「ナオトさんのカメラは【デジタルカメラ】という説明があるが、カバンに入っていたカメラ【コニカ RevioⅡ】は【フィルム式】である」
・・・友人とされる人物も「データあるのかな」とデジタルカメラだと思っているような発言をしている。その後の写真もデジタルカメラで撮影したようなものである。どういうことなのだろうか。

考察

まず、前提として思うのが「ナオトさんの遺体が発見された時、警察に通報されなかったのではないか」ということだ。
遺体が発見され、薬の過剰摂取という死因まで分かっているのに、遺品が見つからないというのは考えにくい。

遺品が発見されなかったのは「遺体を発見した人物が、見つけた遺品を持ち去った」からだと考える。
また、動画内で発見された遺品のカバンの状態も十数年前から野ざらしにされていたものとは思えない。
つまり「持ち去った遺品をしばらく経ってから、再び発見場所へ放置した」のではないだろうか。

「なぜ慰霊と供養のための登山の動画を撮影したのか」という疑問については、「遺品を発見する場面をカメラにおさめ、フェイクドキュメンタリーQの製作スタッフに動画を投稿するため」という理由があると考えている。
「持ち去った遺品をしばらく経ってから見つけやすい場所に放置し、見つからなかった遺品をあたかもそこで見つけたようにみせかけた」と考えている。

そして「遺品のカメラがフィルム式であるにもかかわらず、デジタル式カメラの復元データが紹介された」という疑問も「遺品のカメラを発見し、最終的に幽霊らしき影が映った写真データを見せたかった」のではないだろうか?「ナオトさんは亡くなる直前に"幽霊の姿が見える"と話しており、ナオトさんは心の病で薬の過剰摂取で亡くなった」というストーリーを補強するため、復元したような写真をでっち上げたのだ。

「ナオトさんは自ら命を絶ったことにするために」

動画内のナレーションでも「デジカメのデータ」としていることから、フェイクドキュメンタリーQの製作スタッフは、投稿者の提供した動画や画像、情報をそのまま編集、構成しているようだ。

「ナオトさんは本当に心の病だったのか」

「遺族に中身を本当に確認してもらったのか」

「ナオトさんは未だに行方不明扱いではないのか」

「慰霊、供養」
といういささか重い表現は、もしかしたら「今もそこに眠っているナオトさんへのもの」なのかもしれない。

その他に気付いた細かい所や疑問

・(動画の0:33)に古い朽ちたような建物が映っている
・(動画の2:53)ナレーションに被っているがナレーションの声だけ消すと
女性「なんか奇遇だよね」
カメラマン「気づいたらもうこの四人だけになっちゃったけどね、来るの」
と喋っている。この部分は本当に昔はもっと大勢で登山していたのか、それとも動画用に用意したセリフなのだろうか。

まとめ

動画のメインはナオトさんの遺品であるカメラ内にあった写真のデータであるが、ナオトさんの友人のわずかな違和感に気付き、それを深く追っていくと恐ろしい真実がおぼろげに見えてくる気がした。