昔にかいた短文

久しぶりにあった彼女はあっけらかんとした変わらない笑顔で手を振っていた。
ただ、前とちがうのはすっかり黒くなって別人みたいだ。


「久しぶり」
「ウン、元気そうだ」

ひょろりとしてすごく黒くなった彼女は前よりも痩せて見えて、なんだか健康そうだ。
とりあえず居酒屋に行こう、という話になって2人でr迎い、腰を落ち着けると彼女は生を頼み、聞いてきた。



「あれから、何してたの」
「まあ、ぼちぼち」
「なんだそれ」
「貴方こそ、どうなんだ」
「あたしはサイパン行ってたよ」


なるほど、合点がいきました。



「何故に?」
「特に理由はないが」
「変わらないなあ」
「君も変わらないな」


そういって笑いながらぐい、とビールを飲む姿は何処かとおく見えてなんだか眩しかった。
彼女の甘い匂いも今はどこか潮の匂いがする気がする。変わらないぼくの香水はなんだか安っぽく感じ、僕の安っぽい人生が髪の毛に染み付いているような気がして、背中で髪の毛を揺らした。



「今、キスしたいって思ったろ」
「え?」

唐突に言われ、びっくりして顔を向ければ突如犬歯を剥き出して噛まれるようなキスをされた。



「…いたい」

「ははっごめん」
「本当に変わらないなあ」
「いいとこだろ」



そういってニヤリと笑って手を握ってきた僕らの関係も変わらないな、なんて目を閉じた

2019.1.6

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