「映像制作との出会いは大学3年生の冬」新卒2年目 映像ディレクター 畑野 亮|社員インタビュー #2
電通クリエーティブX 広報チームです!
(社名の「X」は「クロス」と読みます。以下、クロス)
今回の社員インタビューは、前回の何 瀾さんと同じく、映像ディレクター集団「カントク」に所属する入社2年目の畑野 亮です。優秀な若手映像制作者を表彰する「JAC AWARD 2022」ディレクター個人応募部門 グランプリを受賞しました!
今回は、受賞作品「ささやかな幸せ」が生まれた舞台裏や、畑野さんのルーツ、当時の就職活動について語っていただきました。
落選からのグランプリ
- 「JAC AWARD 2022」ディレクター個人応募部門のグランプリ受賞おめでとうございます! 受賞が決定した瞬間の気持ちを教えてください。
ありがとうございます! グランプリが決まった瞬間、僕の近くに誰もいない場所で聞いていて、一人で汗をダラダラと流しながら、「まじか!」と思いました(笑)。最終審査会に残った10作品が順番に発表されたのですが、僕は2番目だったので、他社のディレクターに抜かれないか、最後の最後までドキドキしていました。
- 作品が出来上がった時点で、手応えはありましたか。
自信や手応えは全くなくて。というのも、応募作品の撮影や編集のタイミングが忙しい時期とちょうど重なってしまい、できる限り何回もやり直しはしたんですが、最後の最後は勢いで応募しました(笑)。忙しいときのほうが集中できて、精度が高まっているというか、変にこねくりまわさず、伝わりやすさを重視して作れたのが良かったかもしれません。
- ディレクター個人応募部門に応募しようと思ったきっかけを教えてください。
実は最初、ディレクター部門で応募しようと思っていました。クロスではJAC AWARDに応募する前段階で、どの企画を制作するかを決める社内選考があります。最終選考までは残ったんですが、残念ながら落選しました。
悔しい気持ちはありましたが、まだ入社2年目で制作する機会は多くないので、1作品でも制作するチャンスをもらえるならと思って、ディレクター個人応募部門に気持ちを切り替えました。ディレクター部門とは違い、すべて一人で制作する必要があり、予算が多くないので、ゼロベースで企画を考え直しました。
- 今年の課題テーマは「しあわせ?」でしたが第一印象はいかがでしたか。
正直なところ、「あーイヤ」「もうイヤだなー」って(笑)。30秒の映像で何を描いたら「しあわせ?」というテーマに答えたことになるのか、こんな感じかなというイメージが全く思いつきませんでした。
「しあわせ」であればいろいろと見せ方はあるかと思うんですけど、「?」がついてることで、方向性が広がっているような、狭められているような、とにかく頭の中が「?」でいっぱいでした。
人間らしい生活をゾンビで描く
- そういった状況で、どのように企画を考えていきましたか。
制作予算10万円で、すべて一人で制作するという条件がありました。撮影場所は自分の家とか、出演者は友達に協力してもらうとか、企画を考え始めた頃は実制作のことを考えすぎて、内容の薄い企画になってしまいました。自分でボツにしたものを含めると30案くらいは考えたと思います。
「しあわせ?」というテーマにも悩みました。幸せは人それぞれのものですが、映像に落とし込むのであれば誰でも共感できる着地点を見つける必要があります。大きく捉えすぎると薄っぺらい企画になり、独自の視点で切る込みすぎると自己満足なものになりかねない。バランスが難しく、なかなか突破口が見つかりませんでした。
先輩ディレクターに企画を見てもらっている中で、「幸せに関することわざを調べてみたら」とアドバイスをもらい、早速調べてみました。いろいろなことわざを見るうちに、それまで考えていた幸せのイメージが広がっていきました。
そうした中、仕事が忙しくて食事をゆっくり食べられない時、ゾンビものの映像を偶然見かけ、「これだ!」と具体的なアイデアにつながりました。人間らしい生活=しあわせを描くのに、ゾンビが主役というギャップが面白いと思いました。
企画コンテでは、最初に人間が登場しゾンビになっていく流れだったのですが、編集するなかでゾンビのカットを冒頭に持ってきたりと、最後の最後まで粘りました。
- 企画をカタチにしていく過程で大変だったことはありましたか。
ゾンビメイクが一番大変でした。まず、メイク道具を持ってないのでドン・キホーテにすぐ買いにいきました。ハロウィン経験豊富な同期にゾンビメイクの仕方を教わったり、YouTubeで調べたりして、自分の顔で何度も練習しました。
それと、玄関にいるゾンビの顔が意外に撮れないという問題がありました。どうしても暗くなってしまうので、カメラには映らないところに人感センサーの照明をひとつ置いて乗り切りました。
- ちなみに、ゾンビ夫婦は何を食べていたんですか。
生ハムです。ゾンビが食べる生肉っぽく見えて、人間が食べれるものといえば生ハムかなと。何テイクも撮ったので、出演者の口の中が塩辛くなってしまい申し訳なかったです(笑)。
経営学から演劇、そして映像制作へ
- 畑野さんは小さい頃、どのような子どもだったんですか。
幼稚園のころは、ままごとが好きな子でしたね。スポーツが嫌いなわけではなかったんですけど、インドアな子どもでした。絵を描くのは小学校から好きで、漫画の模写をよくしていましたね。卓球をやっていた両親の影響で、小学校6年生から高校までは卓球部に所属していました。高校では、企業の方が来て課題を出してくれるマーケティングみたいな授業があって、経営に興味が湧いたので、大学は経営学部に進みました。
- 大学では演劇部に所属されていたんですよね。
そうです。高校の文化祭で舞台演劇があり、主役をやらせてもらってすごく楽しくて、大学では演劇をやろうと決めて、大学の演劇部に入りました。大学生活のすべてを演劇に注いだと言ってもいいくらいで楽しかったです。
1年生から3年生までは役者をやらせてもらっていたんですが、一度だけ脚本・演出を担当する機会があったんです。面白い仕事だなと思いつつ、就職活動が忙しくなった3年生の冬に、劇団の広報や来場者の誘導といった裏方に回り、劇団のPVを作ったのが初めての映像制作でした。
それまでは、メーカーの商品開発や広告会社の仕事に興味があったんですが、映像制作を経験したことで映像ディレクターを募集している制作会社も選択肢に入るようになりました。
- 最近はどのような仕事を担当されましたか。
昨年末は、M-1グランプリのTikTok動画50タイプの演出をさせてもらいました。その内のひとつが、「ぬりぬりまさのり」です。クリエイティブチームから「“ぬりぬりまさのり”っていうのをやりたいです」とアイデアをもらい、そこから具体的な企画・演出を一緒に考えていきました。
それと、今月から開催されている『世の中を良くする不快のデザイン展』のPVも演出を担当しました。GOOD DESIGN AWARDを主催する日本デザイン振興会さんとクロスが共催し、日常に隠れている“世の中を良くする不快なデザイン”にフォーカスを当てた企画展です。会期スタートから1週間で2300人以上の方に来館いただけているそうです。4月23日(日)まで開催しているので、ぜひたくさんの方にお越しいただけると嬉しいです。
自分の武器を見つけること
ー 今後、どんな映像ディレクターになりたいですか。
僕は昔のCMが好きで、川西 純さんや吉田 大八さんのような人間の内側にある魅力や面白い部分を描ける映像ディレクターになりたいと考えています。映像を好きになったきっかけは、林 響太朗さんが手がけたかっこいいミュージックビデオだったんですけど、自分に向いているのはコミカル系かもと、今は思っています。今回の受賞が自信につながったので、今後担当する仕事に少しでもプラスアルファを加えられるよう、全力で取り組んでいきます。
ー 最後に、就職活動中のみなさんにメッセージをお願いします。
他社の採用試験で、課題に対してアイデアを自由に書くというものがありました。どうしてもクリエーティブ系の仕事がしたくて必死だったので、アイデアを100個書いて送ったところ、通過しました。
その後の面接で、どうして通過できたのか尋ねると、「100個の中でいくつか良いアイデアがあったので合格にした」と教えてもらいました。
当時はかっこいい系の広告が好きだったのですが、評価してもらえたのはコミカル系のものばかり。それからの採用試験では、ばかばかしいアイデアをなるべく出すようにして、クロスに入社することができたというのが僕の就職活動です。
僕自身は映像系に限らず、「クリエーティブ系の仕事がしたい!」と思って就職活動をしましたが、「自分のどの部分が通用するのか分からない」というのが就職活動を通しての感想です。
本選考が始まるまでに、自分の得意分野を理解している人は強いと思います! いろいろな人にアイデアや作品を見てもらって、自分の武器を見つけて頑張ってください!
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