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働かないアリに意義がある/長谷川英祐 読書感想文

「働きアリ」の中で、実は働かないアリが2割ぐらいいる。しかも1割は一生働かないやつもいるらしい。しかし働かないアリがいるからこそ、組織は共存出来るという。
進化生物学者の長谷川英祐氏が最新(2010年時点)の研究結果を分かりやすくまとめた本。

読了後まず思ったのが、ヒトで良かった。

ハチやアリは女王から働きアリ(ハチ)まですべてメスで構成されてます。
ミツバチのオスは新しい女王が交尾を行うごく短い期間だけ現れ、女王と交尾をするとすぐに死んでしまいます。
女王はその時受け取った精子を体の中で生かし続けることができ、長い一生のあいだ、ずっとその精子を卵の受精に使います。
一方オスは1ヶ月ほどの短い人生の期間中、まったく働きません。交尾のためだけに行動します。
ミツバチにとっても働かないオスは交尾期を過ぎるとただの厄介者のようで、新しく生まれた女王が充分な回数の交尾を済ますと、働きバチはまだ巣にいるオスにエサを与えなくなり、激しく攻撃して巣から追い出してしまいます。追い出されたオスはむなしく死んでいくしかありません。

アリやハチの世界では、上司もいないのに上手く組織が回ります。そこに働かない2割のやつが関係してました。この説明はめっちゃ面倒なので省きます。
最後に、この本の中で1番好きなアシナガバチの行動を紹介します。

集団をつくる生物では、身につまされるような行動がたくさん見られます。例えば、アシナガバチの女王は働きバチが巣の上で休んでいると、まるで「さっさと仕事しろ!」と言わんばかりに激しく攻撃し、エサを取りに行かせます。しかし働きバチもさるもので、巣を出ていった後、少し離れた葉っぱの裏で何もせずぼんやりと過ごしていたりします。

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