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セレッソ大阪2024 〜前半戦〜

 先日、近所の公園で知り合いのセレサポ(セレッソ大阪のサポーター)とたまたま会った。今はお互いにスタジアムから足が遠のいてしまっているけど、20年以上セレッソ大阪を応援し続け、今でもDAZNで毎試合欠かさず視聴している。その人と会うのは4月のアウェイ名古屋戦の日の午前中以来だった。


 今シーズンのセレッソは開幕前から「目標は優勝」と公言していた。「目標は優勝」と公言することは過去にも何度かあったけど、これまで目標を達成することは出来なかった。

クラブ創設30周年にタイトルを

 昨シーズンのセレッソはリーグ終盤戦で大失速しラスト8試合で1勝1分6敗、8試合で1得点しか取れないという散々な状態だった。後方からボールを繋いで前線まで運びたいが運べず、ミスから相手にボールを奪われて失点するというのを繰り返し、何も解決しないままシーズンを終えていた。
 そんなこともあり今シーズンの開幕前の目標設定に対して期待はしつつも、達成出来るかについては懐疑的なサポーターも多かった。自分も知り合いのセレサポもそのうちの1人だった。


 しかし今シーズンの開幕戦は、昨シーズン終盤の失速が嘘のような試合内容だった。川崎から加入した左サイドバック登里がボランチのような変則的な立ち位置を取ってDFラインからのパス回しの受け手となり、ボールを前線に運べないという昨シーズンの課題を解決した。インサイドハーフの香川と奥埜が高い位置を取りレオ セアラのサポートをすることで、攻撃に厚みを持たせた。この戦術的な特徴について「マンチェスターシティのよう」と表現するメディアもあった。
 開幕の2試合こそ引き分けで終わったが、そこからは連勝を重ね開幕から8試合を終えた段階で5勝3分と無敗をキープし、ついに首位に立った。ただ、勝利した試合が全て快勝だったかというと決してそうではなく、相手に押し込まれる時間帯を耐えて少ないチャンスを活かして勝つ試合もあった。自分たちのペースの試合運びは出来なくても粘り勝つ強さみたいなものを感じた。
 昨年のセレッソはリードされてから追いつき逆転することが出来ない(逆転勝利数ゼロ)という課題があったのだが、開幕からの8試合は全ての試合で先制点を取り相手にリードを与えることが一度もなかった。自分たちの苦手なシチュエーションになることなく乗り越えることができた。

4年ぶりの単独首位の順位表。
もちろんスクショした。

 そんな中で迎えたのが第9節の名古屋戦、その日の午前中に知り合いのセレサポと話していた。

でんそん「セレッソ強いですね」

セレサポ「強いなぁ。負ける気せぇへんなぁ」

でんそん「夏には毎熊が海外移籍しそうですし、怪我人や調子落とす選手も出ると思いますが、そこを乗れ超えられたら優勝もあるかもですね」

セレサポ「いや、今日の名古屋戦も分からんで。相性悪いし」

でんそん「確かに今は上手く行きすぎてるので、先制されたり負けたりした後にズルズル行かずに立て直せるかってところは気になりますね」


 こんな会話をした後の名古屋戦、セレッソは今シーズン初めて先制点を許す。「ここからどう立て直すか?」なんてことを考えたのも束の間、失点の2分後には相手陣地での積極的なプレッシングから同点弾を挙げた。相手にリードされるという苦手なシチュエーションをいとも簡単に跳ね返した。個人的には今シーズンのここまでの中で「今シーズンのセレッソは強い」と一番強く感じた瞬間だった。
 しかし試合終盤に失点し1-2で初黒星を喫した。試合を通じて自分たちのペースで決して悲観的な内容ではなかった。試合終了後に挨拶に来た選手に対して、アウェイゴール裏のサポーターは「We Are CEREZO」のチャントで鼓舞していた。「下を向く必要はない」というメッセージに聞こえた。

 その次の横浜FM戦はレオ セアラの2得点で2-2のドロー。続く札幌戦でも勝ち切れず雲行きが怪しくなってくる。セレッソの特徴的な形でのビルドアップへの相手の対策が進んだことや、サイドをゴリゴリ突破していたカピシャーバの負傷離脱もあり、8戦負けなしを継続していた頃の勢いを失ってしまった。


 停滞感が生まれてきた中迎えたのが、アウェイ大阪ダービー。勝てば勝点3より大きなものを得られる一戦。逆に負ければ一敗以上のショックのある一戦。1/38以上の重みのある一戦を、あまり良くないチーム状態で迎えることになってしまった。
 両サポーターの熱量も普段の試合とは異なる一戦。試合の入り方は決して悪くなかったが、自陣でのパスミスから先制点を許してしまう。そこからはカウンター狙いのガンバの術中にハマり、ボールロストからピンチを招くシーンを連発した。最後まで決定機を作ることも出来ず、0-1で敗戦を喫した。それだけでなく、今シーズンのセレッソを支える両サイドバックの毎熊と登里が試合中に負傷退場。ショックの大きい敗戦となった。

前半戦で唯一現地観戦したダービーは完敗

 運の悪いことに、このタイミングで神戸・町田との上位陣との連戦となった。神戸にはホームで4失点、町田には試合終了後盤に失点を喫して敗戦。6戦勝ちなしの3連敗となってしまう。


 登里と毎熊の離脱後は、今シーズンCBとして出場していた船木が左サイドバックを、ルーキー奥田が右サイドバックを務め、開幕当初からの変則的な立ち位置を取るビルドアップを継続していた。
 強いチームの条件として「メンバーが変わっても同じサッカーが出来る」というのがあるが、特徴的なやり方と特定の選手への依存度の高さから今年のセレッソはその域に達しておらず、苦しい状況に陥ってしまった。
 この状況を打破するため、第15節のアウェイ福岡戦から4-2-3-1としビルドアップの時にも基本的にはダブルボランチが中央に、サイドバックはサイドにポジションをとるシンプルな戦い方にシフトする。セットプレーから早い時間帯で2得点を挙げると、相手選手の退場もあり最終的には3-0というスコアで久々の勝点3を手にする。


 そこからリーグ戦は2試合引分が続き、ルヴァン杯での敗退が決まったタイミングで知り合いのセレサポとたまたま会って話すことになった。

でんそん「開幕当初の勢い無くなっちゃいましたね。怪我人も多いですし。」

セレサポ「ルヴァン杯もあかんかったな」

でんそん「4月に会った時は、優勝出来ると思ってたんですけどね」

セレサポ「優勝とか意識しだしたらあかんで」

でんそん「"アレ"って言わなだめですね。」

セレサポ「エジノも微妙やなぁ。上手い選手なのは間違いないけど。」

でんそん「ブエノですね。フィット出来てない感じはありますね。」

セレサポ「レオ セアラ頼みやな」

でんそん「怪我とか中東移籍とかあったらエラいことですね」


 レオ セアラの脅威的な決定力、海外移籍が決まった毎熊の後継者奥田のゴラッソ、リードした終盤に5バックとする得意の逃げ切りパターンのおかげもあり、福岡戦からのリーグ戦は4勝3分と負けなしを継続している。「7戦負けなし」というのが意外に感じるくらい負けてもおかしくない試合の連続だったが、何とか勝点を拾い続けるうちに上位陣との差も縮まってきた。4月のような浮き足だった感覚はないけど、5月のような悲観的な状況でもない。 
 リーグ後半戦の初戦となった第20節鳥栖戦からは4-4-2を採用し、試合内容も安定してきているように思える。ここ数年のセレッソは4-4-2での堅守速攻型で安定した結果は残しながらもトップ3や優勝争いまでは届かず、4-3-3でのポゼッション型を目指すなど試行錯誤を繰り返している。昨シーズンの終盤戦は今シーズンに繋がると信じて結果が伴わなくても4-3-3にトライした。今シーズンの序盤戦は実を結んだが、慣れ親しんだ4-4-2にシフトした。「結局元に戻した」のではなく「4-3-3の成功体験や失敗体験を経て一段階レベルの上がった4-4-2」と胸を張って言えるものにしてほしい。


 ここから本気で優勝を狙うためには夏の移籍市場での成功が必須だろう。補強ポイントとしてまず考えられるのは、開幕前から層の薄さが懸念されていたサイドバック。登里が長期離脱しているので、本職が船木と奥田しかいない。体力的な消耗も激しいポジションなので、夏場に向けてバックアッパーの存在は必須。毎熊の海外移籍はフロントも想定していたと思うので、ある程度目星はついていると予想。
 次はCF。レオ セアラへの依存が大き過ぎるので、レオ セアラの相方またはレオ セアラを安心して途中交代させられるようなサブの選手が必要。開幕前は、藤尾の復帰報道や(広島へ移籍した)大橋の獲得報道などもあった。空き番となっている20番を背負うようなストライカーの加入に期待。
 川崎が独走していた数年前と異なり、飛び抜けて強いチームの存在しないJ1。17試合を残して首位との勝点差は8。まだまだチャンスはある。

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