「米津玄師/Lemon」は喉を乾かせる天才。 ヒットチャート研究考察 第1回
理系バンドDENSHI JISION所長のヨシダシゲルと申します。
今回から『ヒットチャート研究考察』と題してヒットチャートを賑わす楽曲を研究・考察する企画をスタートさせます!
楽曲をもっと知ることで、みなさんがその曲をより楽しめるようなコンテンツを目指して配信します。なるべく音楽の専門用語を少なく使用するようにして、音楽リスナーがより広く楽しめるコンテンツにするようにしたいと思っています。それではどうぞよろしくお願いいたします!
楽曲構成データから見る「Lemon/米津玄師」
本企画、第1回目にとりあげる楽曲は、2018年、大人気となった米津玄師さんの「Lemon」です。聴いたことの無い方はまずは以下のYoutubeからご覧ください。
BPM(曲の速さ) : 174
主キー: G#m
展開: A(イントロ)→A→B→C(サビ)→間奏→A→B→C(サビ)→D→C(サビ)→アウトロ
曲の長さ: 4:16
サビまでの秒数: 60秒
ジャンル: J-POP (※iTunesより引用)
歌始まりのマイナー感のあるメロディが特徴的な楽曲です。
展開としては一般的なJ-POPの王道パターンと言って良いのではないでしょうか。サビまでの秒数も約1分とあまり待たせることのない、日本人のリスナーにとって丁度良い長さと言えるでしょう。
米津玄師は「境界線」を表現する天才
僕が米津玄師さんに感じる最も素晴らしいと思う部分は、
ビジュアル、楽曲、サウンド、アートワークなど全て含めた「アーティスト性の統一感」です。
統一されたイメージのなかで、米津玄師というアーティストは、「境界線」を表現する天才だと感じます。
大人でもあり、こどもでもあり、
暗くもあり、明るくもあり、
女性的でもあり、男性的でもある
この掴みどころがない中性的なミステリアスさに多くの人(特に将来に思い悩む若者)は心を惹きつけられるのではないでしょうか。
その証拠に男性歌手でありながら歌詞の一人称には「わたし」、二人称に「あなた」を多用しています。(Lemonもそうです)
またLemonのMVの中で米津さんは男性でありながら、女性物のハイヒールを履いています。
更に楽曲のコード進行にもマイナー調とメジャー調を行き来する仕組みや、浮遊感を出す仕組みが巧妙に組み込まれています。
このミステリアスで掴みどころがない米津玄師さんのアーティスト像に、リスナーは喉がカラカラに乾き、もっと知りたい!と欲しがってしまうのです。
詳しいコード進行についてはこの記事と主旨が異なるので、もし気になる方は「lemon コード分析」などで検索してもっと調べてみてください。たくさんの方がこの曲を分析されています。
上記のような楽曲、ビジュアル・・・様々な面からの統一された質の高いプロデュースワークに僕はいつも感心させられます。
Billboard CHART INSIGHTのデータから見る「Lemon」
※Billboard Japan チャート・インサイト(2019年1/12付)より引用
つづいてBillboard Japan チャート・インサイトを活用して、Lemonがリリースされてからのランキングの推移をみていきましょう。
リリース日は
2018年2月12日(先行配信)
2018年3月14日(CD発売)
となっており、ダウンロードの順位はリリースされてから2018年は10位以下まで落ちることがない驚異的な人気です。年末の紅白歌合戦での歌唱曲であったこともあり、2019年もこの勢いは収まりそうにありません。
2018年3月頃、期間限定でストリーミングも配信されていたようです。
ラジオでのオンエアは7月頃落ち着くも、9月に入るとまた数を増やしました。圧倒的なロングヒットとなっています。
Lemonがタイアップ曲となったドラマ「アンナチュラル」の最終回が2018年の3/16でしたので、放送終了後も人気が衰えないのは、まさに楽曲自体に魅力があるからと言えるでしょう。
サウンドも圧倒的に良い「Lemon」
僕がはじめてこの曲を聴いたとき即座に感じたのは「音良過ぎッッ!!!」でした。それもそのはず、Lemonの楽曲のマスタリングを担当したのはテッド・ジェンセンという世界的に有名なエンジニアさんです。
引用元:https://sterling-sound.com/
知らない方も多いかと思いますが、ビリー・ジョエル、マドンナ、グリーンデイ、Coldplay・・・等、世界的なアーティストのマスタリングも手がけている巨匠です。
このような上質なサウンドが多くの日本人の耳に届いていることがなんだか嬉しいですね!
まとめ-ヒットは必然だった-
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今回の記事を読んで、もう1度「Lemon」を聴いていただけるとまた発見があるのではないでしょうか。
楽曲構成としては王道のJ-POP路線を抑えながらも、アレンジ面ではHipHopからの影響を感じさせるサンプリング的なアプローチを入れるなどチャレンジも忘れない素晴らしい楽曲だと感じました。
歌詞では見事な境界線を表現しており、そして最終調整であるマスタリングも完璧。万事が揃ったヒットは必然といえる楽曲でしょう。
いやぁ正直見習いたいですね・・・。これからもヒットチャートを分析して僕も頑張ります!
この記事を書いた人のバンド→ DENSHI JISION
この記事を書いた人のアカウント→ Twitter
サポートいただいたお気持ちは活動やnoteでのコンテンツの質向上に充てさせていただきます。どうぞ応援よろしくお願いいたします。