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住電HSTケーブル編 みんなで届ける

滋賀県甲良町にある住電HSTケーブル滋賀物流センターは、建設用電線・ケーブル(3品種と呼ばれるCV、IV、CVVが6割)の配送センターです。
こちらの記事では、受注した建設用電線・ケーブルがどのように加工され、運ばれるのかをレポートします。


入り口に下がっているのは鳥除けです

倉庫を探検してみよう

倉庫の中を歩いていたら、頭上にミラーボールのようなものが浮かんでいました。パーティー好きの社員さんがいるのかしらと思いきや、こちらはオリジナルの360度ミラー!

半球型の鏡で死角までぐるりと確認でき、安全に移動できます。見学に来たお客さんが「うちの会社にも欲しい!」と絶賛したという、隠れた優れものです。

それぞれの在庫のある場所を「ロケ」と呼び、在庫管理用の地図に記してあります。ケーブルを切り出す必要がある際には、専用の小型マシンが指定の場所まで案内してくれるので迷うこともありません。

整然と並ぶドラムにロケ番号が振られているのです

ドラム天国

倉庫の中と外にドラムに巻いたケーブルたちが保管されています。
ピカピカのケーブルがぎゅむっと隙間なく巻かれた様子は、ついそっと触れたくなるような蠱惑的(こわくてき)魅力にあふれています。

中には大人の身長を超えるほど大きなドラムもあります。
ドラムも細かく分けると100種類以上あり、「Sドラム」と呼ばれるものは、丈夫にするため合板3枚が重ね合わされていて、重いケーブルによく使われています。

電線を巻く・切る

さて、ここからご紹介するのは加工工程です。
325スケア(SQ、断面積が325平方ミリメートル)の低圧CVTケーブル、いわゆる「太物(ふともの)」を切断する様子を見せて頂きました。

保管場所から巨大な鉄ドラムが運び込まれ、2人がかりで切断機にセットします。

ケーブルとドラムの総重量で指定の長さまで巻かれると、自動的に切断されます。今回は150メートルです。

切ったケーブルの断面を保護するためにキャップをかぶせ、長旅にも耐えられるようケーブルをドラムに固定すると完成。次の配送工程へと送られます。

ほかにも、短いケーブルや細いケーブルをドラムなしで巻く「束まき」や巻いたケーブルを丈夫なクレープ紙で包む「紙巻」があります。

切断を体験!

今回は特別に、私も低圧CVケーブルの切断作業をちょっとだけ体験させていただきました!うふふ、電線アンバサダーの役得でございます。
まずは、切断する在庫が受注の指定通りになっているか端末でピピッと確認します。

自動切断機までドラムを転がし、マシンにセットしたら…

ケーブルの端をマシンにセットします。
ボタンをポチッと押して!

ケーブルが指定の長さで巻き取られ、切断もバッチリです。

ケーブルをテープで束ね、伝票を貼っておくまで淀みなく進みます。

あっという間に準備完了です。すごい!
経験のある人だけでなく、どんな人も任された仕事を行えるよう、至るところに技術が活きています。仕事を円滑にするための自動化技術と人同士のコミュニケーションが共存しているのです。

司令塔にインタビュー

切断や巻き取りといった加工業務の取りまとめを行うOA室で司令塔として働く山本さんにお話を伺いました。

山本さん

「毎日たくさんの加工業務があるので、時間や作業内容のバランスを見ながらこまめにシフト管理をしています。
先ほどご覧いただいたように、私たちの仕事はチームワークが欠かせません。こまめに声掛けをして、業務に直接関係のない趣味の話題でも互いに話しかけやすい関係を作っています。最近はドラマの話が多いですかね。会話ではよく聞き役に回っています。」

荷積みは職人技の結晶

こうして加工されたケーブルをトラックに積むのが「荷積み」です。
配送の仕上げとなるのがこの業務です。

長い距離を旅するケーブルたちが荷台で転がったりしないよう、荷台に角材や合板を挟み込んだり、ワイヤで固定したりといった熟練の技が生かされています。

隙間なく並べられたドラムを、リフトで荷台の幅ぴったりに運ぶ高い技術は、まさに職人芸です。
この技は、リフトを操作する人が一番スムーズに働けるよう、積み上げてきたチームワークによって一番いい形で発揮されるのです。
こうして準備された電線・ケーブルたちは、ドライバーさんの運転で現場まで届けられます。

2024年問題

ここまで見てきた電線・ケーブルの運送をはじめとして、私たちの暮らしと運送業界は繋がり合っています。
そんな自動車運転業務(トラック・バス・タクシー)運送業界をめぐり、いま働き方の変化が起こっています。
2024年の4月より施行される働き方改革関連法案により、物流業界を支える長距離ドライバーの時間外労働上限が年960時間になるのです。
これは、慢性化する長時間労働をなくし、介護や育児を抱える人の仕事との両立や、高齢化するドライバーにとってもより働きやすい環境を作ることなどが目的です。

変化と同時に生まれた新たな課題は「2024年問題」と呼ばれ、ドライバーの時間外労働によって発生する人件費の引き上げなどが懸念されています。

今回取材した滋賀センターでは、ドライバーさんのチェックインをウェブで行い、待機時間をモニターで監視することで荷待ち時間を減らしたり、日々の受注時間の前倒しや納期について、荷主の理解を得られるよう働きかけたりと、より多くの働き手と協力し合うための体制作りを進めています。

街にエネルギーを巡らせる電線と、街をつなぎ、物や思いを運ぶ物流業界。
私たちの暮らしは互いに結びつきながら成立しています。
私が愛でている電線も、電線業界に限らず多くの業界、働き手と関わり合っていることを感じる取材でした。

社会のなかでそれぞれの人が望むあり方で生きるため、様々なことが変化するタイミングであると感じます。
物流業界との関わり方において、私自身は消費者の立場でありながら、他者の働き方を尊重するためにまずは私の意識から変えていくべきだと知りました。

皆さま、お忙しいところご協力いただきありがとうございました!


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