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「見えへん」面白さを伝えたい 弥栄電線・美原工場編

大阪生まれの電線メーカー

電線アンバサダーが全国の工場を取材する「電線ノート」。
今回お邪魔したのは、大阪府・堺市にある弥栄電線・美原工場です。

社屋の外観からおしゃれです

創立当時の1952年、大阪市の生野区でゴム絶縁電線製造からスタートした弥栄電線さん。

創業当時の様子

現在の堺市美原区に移転後、1970年に建てられた事務所には大理石やすりガラスが使われ、レトロな佇まいが素敵です。

大切に受け継がれてきた事務所
窓が大きく、自然光がよく入ります

住宅と電線

今年で創業71周年となる弥栄電線の住所には「木材通」とあります。
ここは昔から住宅関連の企業が集められたエリアで、現在も住宅に関連する企業が多く並んでいます。

天井の裏にはたくさんのVVFが配線されています。 撮影:岡副社長

住宅と電線と聞いても、イメージがすぐにつながらない方もいるかもしれません。弥栄電線の主力製品であるVVF(ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)は家の天井裏やビルの屋内配線など、建物の内側で使う電線です。
一般住宅をはじめ、日本を代表する有明アリーナなど、大型の建築でも弥栄電線のVVFがたくさん使われているそう。
電柱の間をつなぐ配電線のほかにも、さまざまな電線があるのです。

工場でフットサル

昨秋、美原工場の敷地内にはなんと、フットサルコートが新設されました。昼休みには多くの社員さんが集まり、活気が生まれています。
しかし、どうして工場にフットサルコートを作ったのでしょう。
フットサルコートの設置を企画した岡副社長にお話を伺いました。

岡副社長

「2002年の日韓W杯を観たのがきっかけで、学生時代からサッカーを始めました。体を動かすのが好きなので、社員の皆さんにも気軽にスポーツを楽しんでもらえたらと、フットサルコートの設置を企画しました。若手社員の皆さんにアンケートを取ったところ、バスケットボールがしたいという声もあったのでバスケットもできるようゴールもつけています。自分しか使わなかったらどうしようとも思いましたが、皆さん自主的に使ってくれています。嬉しい誤算です。」

コートでバドミントンをされていた社員の方々にもお話を伺いました。

営業部 笠原さん

「お昼休みによくバドミントンをしています。いい気分転換になりますし、他の部署の方ともコミュニケーションが取れて楽しいです。」

総務部 常藤さん

「バレーボールも人気がありますね。社員同士、働いているときとは違う一面を知ることもできます。」

営業部 宇田さん

「コートはいつでも解放されているので、お昼の後はついここへ来てしまいます。筋トレ用の器具もあり、身体を鍛えている方もいるようですね。」

大人になると、運動するハードルがぐっと上がります。毎月お金を払ってジムへ通う身からすれば、こうして会社の中に運動できるスペースがあるのはちょっと羨ましくもあります。それにしても皆さん楽しそうです。

VVFってなんですか?

弥栄電線さんのカラーVVFはなんと8色展開です!カラフル!

あらためて、VVFとは、ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形の略称です。
建物の天井や壁の裏だけでなく、天井のないスケルトン工法のお店で見えるように配線されているのもほとんどがこのVVF。グレーのものが一般的ですが、最近ではこんなに多くのカラーバリエーションで作られています。

カラフルなケーブルがつなぐもの

なぜ、こんなにカラフルなんでしょう。

弥栄電線 岡社長

「現在、電気工事に携わる働き手の使う言語は、日本語だけではありません。しかし、現場では言葉の壁を超えてうまくコミュニケーションし、計画通りの配線をする必要があります。
そこで役立っているのが、カラフルなケーブルです。ケーブルがはっきりと色分けされていることで、さまざまな人に配線の指示が分かりやすくなります。
また、カフェなどの露出配線ではインテリアに合わせた色選びで配線されたり、病院では非常用のケーブルを赤にするなど、場所によって使われる色に違いがあるのです。」
ちなみに弥栄電線さんの製造するVVFには色の違いだけでなく、アース線だけ外に出ているセパレートタイプ、一緒になったアースインタイプがあり、電気工事士さんによって好みもさまざまなのだそうです。

「電線の日」ロゴ誕生秘話

そして、「11月18日は電線の日」ロゴを作ったのも、実は岡副社長なんです!

受付のそばに掲示されています!

岡副社長
「『電線の日』ロゴが公募されているのを知ってから、何週間かずっと考えていました。電線と虹をかけるようなデザインを思いついたのは、雨上がりの虹を見たときです。そこからすぐにまとまりました。採用されて嬉しかったです。」

「見えへん」から伝えたい

岡副社長のセンスは、お仕事でも発揮されています。

製品カタログ表紙の写真も、撮影は岡副社長!

弥栄電線の製品カタログのデザインや写真撮影も、なんとご自身で行っているそう。表紙の写真に写るケーブルは、長さや断面をきれいに揃えるため、熟練の技を持つ社員さんが丁寧に切ってくれました。
写真ごとに、岡副社長の「電線の美しさを見せたい」という思いが詰まっています。

「一枚の写真を撮るために自分で満足できるラインを決め、何枚も撮りながら試行錯誤しています。
私が写真を撮り始めたのは、結婚式でプロの写真家さんが撮ってくれた写真があまりに素敵だったからです。人が生き生きしていて、写真からその日の物語が伝わるようでした。
自分でも、物語が伝わる写真を撮ることを心がけています。
VVFなら、普段は建物の内側で『見えへん』ものが、皆の生活を支えている面白さを伝えたい。ただ、ケーブルや電線の物語はなかなか伝わりにくいんですよね。構図のリズムを意識して撮ったり、ライティングを工夫したりして撮影しています。」

写真は自然光の入る倉庫でも撮られているそう。
次回はいよいよ、工場や配送業務の見学をします!

INTERVIEW DATE:  2023/3/17

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