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お互いに助け合う関係性を、この学校で築いてもらえれば。

学校法人 電波学園
あいちビジネス専門学校 教務科長
小栗 宏之 先生

昔話イコール説教!? 叱られたことがない学生たち。

以前と比べ学生の質が変わってきていると小栗先生は言う。
「今の子たちのほうが、真面目でおとなしいと思います。真面目というより、素直といえば良いのか。悪く言えば、世の中のことを知らない子たちが多いな、と思います。例えば、注意をした時に「叱られたことがない」という子が非常に多い。また、ちょっと授業で、自分の昔の話などをすると、全部「説教」に聞こえて、叱られているように感じるみたいです。授業アンケートにも書かれたりしますよ。授業で「あなたが社会人として働く上で、ビジネスマナーは何が必要だと思いますか?」というテーマでディスカッションした時も、自分の体験談を混ぜながら説明すると、「道徳のような授業」だと(笑)」。

ボウリング大会で、学生と一緒に。

先生たちの声掛けは、本当に良くやってくれていると思う。

あいちビジネス専門学校は、学生と教員の距離が近いと言われている。その理由は、学年や学科、クラスの区別なく、先生方が学生に声を掛ける機会が多いため、自然に距離が近くなっていくのだそうだ。小栗科長自身も、今はクラスを持っていないが、担任の時は頻繁に学生に声を掛けたと聞く。
「昔と今で変わったところと言えば、昔は何かきっかけがあったように思います。学校を「辞める」にしても、「辞めたい」にしても。今の子は、突然来なくなる。最近は、先生同士で情報を共有する、そんな余裕すらない場合もあります。なるべく先生方には、気づいたことがあれば声を掛け合って、朝の登校指導や始業と終業のSTで注意深く見てもらっています。遅刻者、早退者は、全員職員室に寄るようにして、とにかく顔を見て話ができるようにしています」。

担任時代の小栗先生。痩せていて別人のよう!?

お互いに助け合う関係性を、社会に出る前に練習できれば。

「担任の時、自分のクラスでは、追試の補習を追試じゃない学生にやってもらうこともありました(笑)。学生同士が「〇〇さん、課題教えて」、「〇〇さん、ここ大丈夫?」と言い合える関係性をつくることが狙いです。勉強が苦手な子と、面倒を見れそうな子がうまくグループを作ってくれるように、こちらから仕掛けていました。
学生たちが勉強していく中で、困った時に「ごめん、助けて」と言えるようにしてあげたい。それは、別に勉強ができる、できないという話ではなく、勉強が苦手な子は「勉強教えて」でいいと思うし、逆に勉強ができる子でも、できないことや、うまくいかないことはあるだろうし。そんな時にこういう風に言えば助けてもらえる、こんな風に言えばこっちを向いてもらえる、そんなきっかけを資格対策や行事の中で身につけてもらって。失敗したら、もう一回違う方向でアプローチする。これを学校にいる間に経験してもらえれば良いなと思っていました。そういう意味では学校行事ってすごくいいんです。学生がお互いに「これ助けてもらえないかな」、「今、手が空いているから何か手伝うことない?」とか。それで失敗してケンカした子たちも見てきましたけど、社会に出る前に学校で練習していってもらえれば」。

卒業生からのプレゼント。大切な思い出です。

これからの面倒見の良さ。いろいろな成功体験を経験させてあげたい。

「学校を辞めたいという学生がいた時、当然、学業を続けてもらえるようにいろいろ話して、説得して、卒業まで導いていくのも面倒見。ただ、自分が希望しているものと違うと思っている学生に対し、一緒に考え納得いくまで会話をし、保護者の賛同も得ながら、その子に合った道筋を見つけることも自分の考える「面倒見の良さ」だと思っています。学校では、できないことをできるようにして、それさえあれば世の中を渡っていけるという強さを身につけさせてあげないといけない。でもそれは無理な話。スーパーマンを育てることはできません。であれば、社会に出る前にいろいろな経験をさせてあげることが重要だと考えます。学校生活では、「失敗したこと」や「叱られたこと」のような経験があってもいいはずですが、それが無かったり、成功体験ですらしたことがない子がいるのも事実です。となると、これからの「面倒見の良さ」は、学校にいる間に成功体験を何らかの形で経験させてあげることかと思っています。資格を全く取れない子が、どんな資格でもいいので1つ取る。本人が「頑張った」と思える、まずはそこなのかな。小さなことでも、できたことがあれば、気づいてあげて、ほめてあげる。それが一番やってあげなければいけないこと。あとは、校長がよく言われるのですが、学生は「できないのではなく、知らない」ので、できないことを批判するより、「知らないことを教えてあげる」。その子に寄り添って、分かるように教えてあげることが大事なんじゃないかと思います」。

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