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学生は可能性のかたまり。「絶対になれる」と思うからお互いに信頼関係が築ける。

学校法人 電波学園
名古屋外語・ホテル・ブライダル専門学校 国際エアライン科
伊東 沙織 先生

学生のリーダーみたいに、一緒にひとつのものを創り上げていく。

この学校の先生になったきっかけは?
「妹がこの学校に在学していたんです。英語やパフォーマンスを指導できる教員を募集している話をある先生がされた時に、妹が「うちにそういう姉がいます」と即答したのがご縁の始まりです。1年半、ここで妹と一緒に過ごしました(笑)。おかげ様で妹は夢が叶って、現在はグランドスタッフとして働いています。
正直、教員になるって考えたことも無かったので、奉職した当初は本当に自分に教員ができるのか未知でした。実際にやってみると、ものすごく難しい仕事で、例えば、学生に伝えたいことが伝えられていなかったり、別の捉え方を学生がしてしまったり…。知識があっても授業やクラス運営ができるわけではなく、学生の心に響くように、記憶に残るように伝えていくのがすごく難しいというのを実感しました。自分で言うのもなんですが、もともと学生時代からバイタリティのあるタイプで、常にリーダーをやっていたので教員も得意かなって思っていたのですが、それだけではできない奥の深い仕事だなと思いました。
だから最初は『教員でいよう』『先生らしくしなきゃ』と思っていたのですが、途中から『私にはそれは無理!』と気づきました。学生のリーダーみたいに、学生と何でも一緒にやって、同じチームメイトとしてひとつのものを創り上げていかないと本当の信頼関係は生まれないし、学生もついてきてくれないと考えるようになりました」

カレッジフェスティバル(学校祭)のTシャツパフォーマンスを終えて♪

理想の先生になり切るためにモノマネをしたことも。

先生の中で理想の先生像は?
「こういう風に教えたい、こういう風に学生を導けるようになりたいと思う理想の先生はいます。最初の頃は、授業の経験もなかったので、とにかく全てにおいてその先生のモノマネをして、その先生になり切るところからスタートしました(笑)。でも『伝えたいことのゴールや、学科・学校として大切にしている信念さえ皆が同じであれば、それをどうアプローチしていくかは、それぞれの先生のキャラクターや指導の方針で良いんだよ』とアドバイスをいただいてから、だんだん自分らしく学生に伝えられるようになってきたかな、って思います。ただ、今でもその先生の授業後の学生のすっきりした達成感のある表情を見ると、自分はまだまだだなと思います」

好きな行動指針の言葉は Develop , Enjoy , Passion!

一日中、学生の話でもちきり。いろんなタイプで学生にアプローチ。

国際エアライン科では、授業などでいろんなことにチャレンジすると思うが。今の子達はすんなり入っていけるのか?
「ペースはそれぞれです。最初のスタートダッシュから早い子もいれば、『どうした』っていうぐらい気配を消して様子をうかがっている子、後になってすごく大切なことに気づいて頑張り始める子もいます。こちらからは、その学生のタイプに合わせて動き出せるまで同じことを様々なアプローチで伝え続けます。そして、『この子は今だ!』と感じる時が来たら、背中を思いっきり押してチャレンジさせます。そうするとプレッシャーに感じるよりも、逆に『ちゃんと見ていてくれた』と安心する子が多いです。もちろん、注意するだけじゃなく、開花してきたら『良くなったね』とか、『最近、エンジンかかってきたじゃん』というのを、顔を見た少しの時間にでも伝えるなど、さりげない声掛けをできるだけするようにしています」
普段から学生の方を向いていないとできない行動だと思うが?
「私は今、子育てのため時短勤務をさせていただき、副担任をしていますが、他の2人の同僚の先生とは一日中、学生の話をしています(笑)。『今日こんなことがあって、こういう事を言っていたけど、どうアプローチしようか』みたいなことを。チームで学生を指導しているという感じでしょうか。私はぐいぐい勢いとパワーで学生を引っ張っていくタイプですが、ある先生はクールに見えるけど学生想いで根気強く寄り添っていくタイプ。もう一人は、超ハイコミュニケーションスキルの先生で、学生と仲良くなってその立場からアプローチができるタイプ。着任当時の校長に『クラス運営は、3割の学生は先生が好き、3割はどっちでもない、3割は担任が苦手だと思いなさい』と教わったのですが、本当にそうだと思います。この学生は私には言いやすいけど、あの学生は私ではなく別の先生の方が相談しやすいとか、いろんな性格の教員がいる方が学生にとっても良いバランスだから、3人のチームでちょうど良いと思っています」

学生の心に響く授業や指導を心掛けたい。

泣きながら机に向かってでも、信じ続けてくれた学生を尊敬。

国際エアライン科では、23年連続で客室乗務員を輩出しているが、学生の夢を叶えるのに苦労したエピソードがあれば?
「毎年ドラマがあります(笑)。客室乗務員もグランドスタッフも人気のある職業ですので、うちの学生たちが戦うのは国公立や有名私立大学の学生さんです。実質、1年ちょっとの間で就職活動で勝ち抜けるまでに育て上げるのに、毎年ものすごく苦労しています。英語力は航空会社の応募条件なのですが、以前なかなか伸びない学生がいました。周りのクラスメイトが書類選考を通過して、どんどん面接に進んでいくのに、その子だけが英語の応募条件を満たしていないので、書類すら通過しなかったんです。でも、彼女は客室乗務員になれるという確信があったので、心を鬼にして『毎日、家に帰って何しているの?机に何時間向かっているの?家に帰ったらご飯を食べる時以外は、ひたすら机に向かいなさい。この英語力で客室乗務員になりたいというのは、幼稚園児がケーキ屋さんに“なりたい、なりたい”と言っているのと同じだよ!』と厳しく叱咤しました。もちろん、すぐにお母様に連絡を入れ『今日、こんな厳しい事を娘さんに言いました。ご家庭では、“あなたならなれるよ”、と励ましてあげてください』と伝えました。お母様も『先生、どんどん言ってください。私もやれることはやりますので』と、言ってくださって。ご家庭と日々連絡を取り見守っていましたが、その頃から彼女は毎日帰宅するなり泣きながら机に向かい続けていたと聞きました。結局、2年生の夏にやっとTOEICのスコアも英検2級も一気に取得することができ、応募条件を満たして、秋には客室乗務員に内定することができました。その子の凄かったところは、根性もそうですが、客室乗務員になるために私が厳しいことを言っているのをちゃんと分かってくれていたところだと感じました。だから、彼女が内定をいただいた時は、自分のことのようにうれしかったし、私のことを信じ続けてくれた彼女をとても尊敬しました」

この学校を選んで良かったと卒業生が言ってくれると本当にうれしい。

人生最後の学校になるから、学生の卒業後まで想像してサポートしてあげたい。

実際に先生がアプローチした学生で、心が折れてダメになった学生はいる?
「諦めそうになる学生はもちろんいますが、学生が諦めそうになっても、私たちが諦めないので(笑)。根本では、『絶対になれる』って信じています。もちろん学生によってその時に指導するレベルは変えますが、基本的に厳しいことを言うときは『絶対になれる』と学生に分かってもらうよう心掛けています。それは、私だけではなく他の2人の先生もそうです。学生は可能性のかたまりですので、最後は何とかしてあげなきゃ、と思って指導しています。ここが人生最後の学校になるからこそ、この後、長い社会人生活をどうやって生きていくのかというところまで想像してサポートしてあげたいと思っています」

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