「みんなが本を読んだなら」

家を出ると、隣の家の婆さんが、DHロレンスを批判していた。なに。婆さんがDHロレンス?珍しいこともあるもんだ。
駅に向かっていると小学生たちがカントの善意志について口論していた。小学生とカント?最近のガキはませてるね。
電車の中ではギャルたちがミケランジェロについて話していた。禿げ頭の親父がヘーゲルを読み漁り、主婦がナポコフのロリータを読んでいた。
金髪やら茶髪の大学生たちは西洋のオリエンタリズムに憤慨し、中学生の女の子が金瓶梅の7巻目を読んでいた。

ふん、やれやれ…みんな真面目になっちまった。これじゃあ俺が本を読む意味がないじゃないか。

じゃあ俺は山田悠介を読むことにしよう。リアル鬼ごっこ。いいよねこれ。

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