656の意味

昔ながらの雀荘や、サイふりして配牌を取り出すような雀荘に出入りしていた人はみたことあるかもしれません

自分の山を前に出すときに右と左を6枚ずつきり656の形を作る人を

上の画像の山のだしかたのことですが、昔は手積みでしたから各々が上下17枚を積むことで全牌136枚が揃ってる状態が確認できました

もちろんこれがなぜ行われたのかは、俗にいうバイニンに釣り込み(盗んで手配で使用する)をされないためです。釣り込みは山へ不要牌をおくり必要数抜くようなぶっこ抜きと違い強力な技です。だって余分に握り込みしていますから、直撃したい相手から単騎待ちをジカドリしやすくなるのですから
ちなみに余談ですがバイニンという呼び方のほうは私個人としては好きでもないし、あまり馴染みがない呼び方となります。まあ漫画の影響ですが、今で言うバイニンは当時は別の呼び方がありました。

その名は「ケンシ」、つまり賭け事で己の技を使い力でねじ伏せる真剣勝負師のことをさします

補足すると賭け将棋をする裏プロもケンシといいます
今はなくなっていますが、将棋界の未来を背負うと期待され羽生名人も目を見張ったほどのプロをも負かす異才のケンシといえば小池重明さんです。興味ある方は本を探せばあると思います、凄まじく儚いケンシの人生を団鬼六先生が執筆しています

さて本題へもどりますが、釣り込みをされないための確認としてまず17枚揃っているか確認したいですが、これをそれぞれ1枚づつ数えるのは面倒。

ゆえに昔の人は不正防止としてわかりやすく17枚を目視できるよう656で切って17枚を確認していたのです

いまは全自動で自動配牌が主流ですが、全自動出始めにもバイニンは時代においてかれないようあの手この手でがんばっていました

十万点確認のチェックランプ機能がつく前は十万点以上握り込むとんでもないやつも実はいたぐらいです
まあこれはいくらチェックがつかないとはいえ、徹マンなどで頭フラフラしてるような人間にしか通用しませんけどw

戦後、麻雀が出始めた頃はバイニンが横行しており今みたいに一般客がくればカモにされるのが当たり前な時期があったと聞きます

だから麻雀店は試行錯誤してバイニンを排除しようとした結果の集大成がイカサマ防止機能満載の現代の全自動卓やフリーのルールにはもりこまれています

ただ便利さだけを追求したわけではないということです

麻雀の古い歴史は私はその道30年以上と古いフリー雀荘を経営されてた方から、開店初期はバイニンと麻雀店との闘いの日々と聞かされていました

マンガではかっこいいギャンブラーでも一般人を食いつぶすろくでもない連中というのが古い麻雀店からのイメージでしたね(笑)

亡くなった小島武夫さんもケンシであり唯一の表舞台で戦ったプロでしたが、元裏プロの小島さんの立場からしたら文明の利器の前にやがて生計をたてられなくなると見越したのでしょう、だからこそ裏ワザをテレビで披露したりパフォーマンスすることで注目をあび生き延びて表舞台へうって出たのでしょうね

身を削り腕のみで生計をたてるギャンブラーのゆくみちはまさに河にきった配をもどせないように後戻りができません、余った小遣いで楽しむ程度にしときましょう(完)


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