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vol.1:ビートの直播栽培”元北海道の農業普及指導員が気になる農業の話題や疑問・質問を取り上げる”デンカの宝答”

このところ、ビートの直播栽培が急速に増加している。
令和2年の北海道農政部の統計ではビートの全道作付面積56,749haのうち、直播面積は実に17,725ha(31.2%)にも及んでいる (図1) 。

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そもそも、ビートは開拓使による導入以来ずっと直播栽培されてきた。それが1960年代になり、ペーパーポットによる育苗を伴う移植栽培技術が開発され、飛躍的な増収を遂げた。


このため移植栽培が主流となり直播栽培は1990年代には数%までに減少した。それなのにスマート農業が叫ばれる21世紀になって不思議と昔の栽培方法に回帰しているのである。何故だろう。


そこで調べてみるとその理由は大きく分けて二つあることが分かった。
一つは農家戸数減少による1戸あたりの作付面積が増加し、農家経営において省力化が喫緊の課題となっていること(図2)。

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ビートは北海道畑作において輪作体系や所得確保を考えると必要不可欠な作物であるものの、移植栽培では育苗や移植作業で春先の労働時間が他の作業と競合することがネックとなる。したがって、作付拡大をする際、省力技術として直播栽培が見直されてきたわけである。

二つ目の理由は栽培技術の進歩により直播栽培でも多収が望めるようになったことである。

今や直播収量で10a当り7tを上回る農家は少なくない。かつて、移植との収量差は1t以上と言われていたが、もはや所得が同等となる500kgにかなり近づいてきたのではなかろうか。


多収となった要因としては温暖化により気候が直播に適してきたこともあるが、それ以外にも、品種の向上、播種技術の向上、ソイルクラスト対策、風害対策等の多くの技術が進歩してきたことがあげられる。
とは言え、直播は出芽や初期生育で風害や霜、干ばつなどの自然災害のリスクを常に抱えていることに変わりはない。今後そのリスクを減少させる技術が農家に求められている。



その一つとしてデンカの腐植酸液肥(アヅ・リキッド413)をお勧めしたい。


昨年の上川地方の事例では、出芽後の干ばつで株が全面枯死し、1か月遅れのまき直しを余儀なくされた農家がアヅ・リキッド413を生育中に3回施用したところ、生育が旺盛となり最終的には糖量でほぼ同等となった。
おそらく腐植酸の持つ根の促進作用が効果を発揮し、8月の干ばつにおいても養水分をしっかり吸収できたものと思われる。
周りのビートが萎れている時も「シャキッ」と立っている姿は何とも頼もしかった(写真参照)。

ううう


関係者の話よると今年の直播比率40%に達する可能性があるとのこと。直播面積が移植面積を上回る日も遠くないかもしれない。
アヅ・リキッド413はそんな直播栽培農家の頼れる助っ人となるに違いない。


■プロフィール

江川厚志(えがわあつし)

江川顔写真

〇昭和52年~

北海道農業改良普及センター職員として37年間7か所の普及センターで農業指導に従事

〇平成26年~

土づくり肥料メーカーのデンカの技術顧問として在職し現在に至る


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