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ウルトラセブンの驚愕ナレーション 『狙われた街』

私は小学生の時に、ウルトラマンやウルトラセブンをリアルタイムで見ていた世代ですが、”怪獣がカッコイイ”という単純な興味で見ていました。特にストーリーには注目していませんでしたし、”悪者の”怪獣を”正義の”ウルトラマンがやっつける勧善懲悪の物語としてみていました。

しかし、どうやらそうではないみたいです。大学生の時に同じ学科の同級生が、「ウルトラマンは子供向けだが、ウルトラセブンは大人向けだ」と自論を吐露してくれました。私は「どちらも子供向けでしょ」と思っていたので、その意見はとても新鮮でした。

そういう目で思い返すと、確かにそうかもしれない、と思うようになりました。ウルトラマンの科学特捜隊(科特隊)は派手なオレンジ色の制服でしたが、ウルトラセブンのウルトラ警備隊はグレーのシックな制服でした。また、科特隊の主力機が丸っこいビートル号に対して、ウルトラ警備隊のウルトラホーク号は直線が基本のシャープな形状です。

番組中のBGMも全然違いました。ビートル号の時のBGMは、子供にわかり易い勇ましいマーチですが、ウルトラホーク号のBGMは交響音楽のような作りになっています。また、挿入歌『ULTRA SEVEN』は「ONE, TWO, THREE, FOUR…」で始まる英語の歌で、ジ・エコーズという渋い男性コーラスが歌っていました。特に、ウルトラホーク号の発進シークエンスが今見てもカッコいいです。さらに、機体が分離したり合体したりするメカニズムが斬新でした。

しかし、最も凄いのはそのストーリーです。ウルトラマンは地球ネイティブの怪獣がメインでしたが、ウルトラセブンは地球外生命体である○○星人による地球侵略がメインです。最も衝撃的なのは『狙われた街』という回で、メトロン星人というのが出てくるのですが、問題が無事に解決された後のラストのナレーターの言葉が衝撃的なのです。そのナレーションというのは、次の通りです。

『人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。でも、ご安心ください。このお話は、遠い遠い未来の物語なのです。‥‥ え? ‥‥ なぜですって? 我々人類は ‥‥ 今。宇宙人に狙われるほどお互いを信頼してませんから。

この未来を想定したストーリーが作られたのは1967年ですが、50年以上たった今でも、未だに人類にはお互いの信頼関係が構築されていません。

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