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金の斧と銀の斧の違和感

金の斧と銀の斧の話は、よく知られた寓話です。あらすじは、こんな感じです。ある日、きこりが木を切っている時に、誤って鉄の斧を泉へ落としてしまいます。すると泉の女神が現れて、樵が落としたのは金の斧か銀の斧かを訪ねます。樵がどちらでもないと正直に答えると、女神は金・銀・鉄のすべての斧を樵に渡しました。それを見ていた欲張りな男が自分も金の斧をもらおうとしますが、男の嘘は女神に見抜かれて何ももらえませんでした。

この話で言いたいことは”正直が一番ですよ”という事らしいです。でも、この話には少し違和感を覚えます。最初の樵が鉄の斧を落とした時に、女神さまはどうして金・銀の斧だけを持って現れたのでしょうか。金・銀・鉄の斧を持って現れれば、「鉄の斧です」と言えますが、金・銀の二択だと思わずどちらかを言ってしまう人は少なくないでしょう。もちろんこれが神の試練な訳ですが・・・。女神さまにしては、ちょっと意地悪な気がします。

私は正直者ですが、金と銀の二択を迫られたら「金だったかなぁ」と思わず言ってしまうかもしれません。もう一つの違和感は、”一部始終を見ていた”男がヘマをしていることです。舌切り雀の話のように、大きな葛籠つづらと小さな葛籠の選択なら、中身がわからないので仕方のない面はあります。しかし、女神さまとのやりとりを見ていたのに、「私の斧は金の斧です」と言ってしまう男の智謀の低さには呆れます。女神さまとのやりとりを聞いていたのなら、「鉄の斧です」と正直に言えたはずです。

私が衝撃を受けた新説『金の斧と銀の斧』のストーリーは次の通りです。ある日、森で木を切っていた樵が、手を滑らせて斧を湖に落としてしまいました。すると、湖から頭に鉄の斧が刺さった女神さまが現れました。かなりホラーなお話ですが、インパクトがあります。この話は、湖には斧を落としてはいけません、という寓話なのかもしれません。

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