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『祈り欲』について考えた。

人間には色々な欲があって、大きく分けると低次な『生理的・本能的な欲求』と高次な『心理・社会的な欲求』に分けられます。生理的・本能的な欲求は、生物が生命を維持し子孫を残すために必要な欲求であり、外界からの刺激や体内の状態に直接結びついた短期的な欲求です。また、人間は群居性の動物であり、高度な思考力を持つために、”社会的に認められたい”、”知識を満足させたい”、”他者を満足させたい”という欲求があり、これが心理・社会的な欲求と呼ばれています。具体的には、獲得・保存・秩序・保持・構成・優越・達成・承認・顕示・保身・劣等感の回避・防衛・反発・支配・恭順・模倣・自律・対立・攻撃・屈従・非難の回避・親和・拒絶・養護・救援・遊戯・求知・解明などに関する欲です。

生理的・本能的な欲求は、より細分化されて、主に身体内部の情報に基づいた欲求である、呼吸欲・食欲・飲水欲・排泄欲・睡眠欲・体温調整欲・性欲や、主に身体の外部からの情報に基づいた欲求である、逃避欲・逃走欲などがあります。これらの欲は、無自覚で現れる欲になります。

生理的・本能的な欲の中で、あまり認知されず、研究されてもいない欲として、『祈り欲』という欲が提唱されています。我々は困難な状況になると、「神様、助けて~!」とついつい神頼みをしてしまいます。これは、宗教に帰依していなくても祈りや念仏等を唱えてしまう行為や、対象が明確でなくても助けを求め、すがりたくなる感情を、本能的な”生存欲”の一部として捉えた考え方です。

安倍元首相の殺害事件を受けてクローズアップされた某宗教団体の関連ニュースが毎日のように報道されています。いまだに、カルトな宗教団体に取り込まれる”信者”が後を絶ちません。信者を一文字にすると”儲”という字になります。つまり、”信者”は儲かるビジネスモデルなのです。人間の『祈り欲』が科学的に解明できれば、怪しげな宗教団体に対抗することができるかもしれませんが、悪用されれば”信者”を増やすことにも成り兼ねません。『祈り欲』の研究は、そう簡単ではなさそうです。

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