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子供の名前 『ピーナッツちゃん』

 子供の名前には、昔は時代背景が大きく関係したりしましたが、現在は親の個人的な思いが込められる傾向が強いようです。その昔、日本が戦争をしていた時には、”勝”の字を使った”勝男かつお”や”勝子かつこ”、または戦勝祈願そのものの”勝利かつとし”などが増えました。今時のキラキラネームなら、”勝利ビクトリー”となるかもしれません。

 結婚して妻が妊娠した時に、どんな名前にしようか悩みました。かなり昔のことなので、まだキラキラネームは一般的ではありませんでしたが、”〇男”や”〇子”などの昔風の名前も殆どいませんでした。記憶が定かではありませんが、その当時は男の子なら翔・樹・海・翼などの字を使った名前が流行っていたと思います。女の子なら『美咲』ちゃんが断トツの一番人気でした。

 いい名前が思いつかないので、大学生の頃に漠然と考えていた回文式の名前が頭に浮かびました。例えば『田中奏多たなかかなた』や『山田摩耶やまだまや』みたいな名前です。このアイディアを妻に提案してみましたが、速攻で否決されました。「もっとまじめに考えて!」と怒られてしまいました。

 出産のその日まで性別は知らされなかったので、男女二通りの名前を考える必要がありました。生まれるまでは、親しみを込めて『ピーナッツちゃん』と呼んでいました。この呼び名なら、男女を意識する必要がありません。この呼び方は、定期検診時に初めてエコー画像を取った際に、その画像に映っていた姿が”ピーナッツ”のように見えたからでした。

 我が家の『ピーナッツちゃん』は、最後まで逆子が治らずに、結局帝王切開による出産になりました。逆子が治らなかった理由は、ヘソの緒が赤ちゃんの首に二重に巻き付いていたためでした。もし通常分娩だったら、出産時に大きな障碍が残ったかもしれません。幸運なことに、問題なく生まれてきました。やはり、日本の医療は素晴しいと、その時も強く感じました。

 ピーナッツほどの大きさしかなかった我が子も、今では成人して社会人として真面目に働いています。「ピーナッツに幸あれ!」

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