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ネイトー(NATO)とケイオス(chaos)

 最近よく耳にするNATO(North Atlantic Treaty Organization)は、日本語では北大西洋条約機構といい、ヨーロッパおよび北米の30カ国による軍事同盟です。NATOは、日本語ではローマ字そのままの発音で”トー”と呼ばれますが、実際には”ネイトー/ネイトウ[néɪṭoʊ]”に近い発音です。似たような綴りで、国や部族を表わすnationも、発音はネイション[néɪʃən/ ˈneɪʃʌn]です。

 混沌を表わすオス(chaos)も発音は、本当はケイオス/ケイアス[kéɪɑs/kéɪɔs]です。英単語のローマ字読みをしている多くの外来語で、aの母音を持つ単語の発音は、実は”アではなくエイ”と発音する場合が多いのです。すべてに例外なくあてはまる法則はありませんが、mate, date, make, take, cane, shape, same, game, mage, face のように-at-, -ak-, -an-, -ap-, -am-, -ag-, -ac- となる綴りの多くはエイと発音されます。

 その一方で、fast, hamming, magazine, machine のように、-as-, -am-,-ag-, -ac- となる綴りの中にはエイと発音しないものもあります。このように例外もたくさんあるので、 個別に覚えないといけない単語があるのが厄介です。これは英語が多くの外来語を受け入れたことに由来します。つまり、由来言語の発音が英語の中に残っているので、綴りと発音の齟齬が生じたようです。

 英語の綴りと発音の間には密接な関係がありますが、例外が多いのも特徴です。しかし、ドイツ語では単語の綴りと発音の間には例外はありません。したがって、意味が分からなくても、綴りが判れば発音はわかります。ドイツ語は質実剛健な国民性を反映して、ドイツ語自体も合理的な文法になっています。

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