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帰省中の電車にて

 久しぶりに、電車で実家に帰省しました。今日は一般的には仕事納めの日で、週末ではないので電車は空いているだろうと思っていましたが、意外と乗客が乗っていました。これまでに、何度も帰省のために電車に乗りましたが、いくつか思い出深いエピソードがあります。今回はそのエピソードを紹介します。

 大学生の夏休み、アルバイトが一区切りついたので、実家に帰省することにしました。そのアルバイトは、山奥での出張アルバイトだったので、そのアルバイト期間中、新聞やテレビはほとんど見ていませんでした。バイト先から下宿に戻り、帰省準備をして実家に向かう頃には夜になっていました。指定席を取っていたので、その座席に向かうと、その席の隣には私と同世代位の若い女性が座っていました。少しだけ「ラッキー」と思いましたが、こちらから話しかけることはできませんでした。

 隣が少しだけ気になるのですが、気にならないふりをして文庫本を読んでいました。20分ぐらい沈黙の時間が過ぎましたが、何かのきっかけで女性の方から声をかけてきました。たぶん「どこまでですか?」のような他愛もない質問だったと思います。それから、少しづつ話をするようになって、その時に出た話題が「飛行機が墜落したのを知っていますか?」でした。そうです。この日が1985年(昭和60年)8月12日、日本航空123便が群馬県多野郡上野村の山中に墜落した日でした。

 もう一つのエピソードは、(当時の)有名人との接近遭遇です。帰省の列車で尿意を催し、停車駅に着く手前でトイレに向かいました。トイレを済ませて、自分の指定席に戻ると、きれいな女性が座っていました。「さっきの停車で乗り込んで来たんだろう。号車を間違えたのかな?」とよく見ると、テレビや新聞などで見たことのある顔でした。なんと驚くことに、私の席に『林葉直子』さんが座っていました。

 林葉直子さんは、当時は最強の女流棋士で、女性初のプロ棋士の可能性が高いと言われた人でした。”林葉直子だ!”と思いながら平静を装って、指定席のチケットを見せて「ここは私の席なんですが・・・」というと、隣の若い男性棋士に「○○君・・・」と声をかけて、ゴメンナサイも言わずにその席からソソクサと離れていきました。これは想像ですが、”将棋祭り”みたいなイベントの帰りだったのかもしれません。同席していた○○君の顔も名前も覚えていませんが、ひょっとすると今ではとても有名な棋士になっているかもしれません。よく顔を見とけばよかったなぁと、少し後悔しています。

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