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恐怖体験 Gの逆襲

ゴキブリという名前を聞いただけでも嫌悪感を抱く人は多いはずです。ゴキブリ(以下G)は漢字では「蜚蠊」と書くらしいのですが、ネットで検索して初めて知りました。Gは古くから日本人に認識されている昆虫で、台所などに出没することから御器噛ごきかぶりと呼ばれていて、”食器をカジる虫”だと考えられていました。Gは、”ゴキカブリ”が音韻変化したものです。ただし、平安時代の本草和名(百科事典のようなもの?)には阿久多牟之あくたむし都乃牟之つのむしという古名があり、最初からGと呼ばれていたのではないようです。

Gが人間に認識され始めたのは高々数千年程度前でしょうが、どっこいGの御先祖は、3億年以上も前に地球上に住んでいました。ただし現生のG目は約2億年前のペルム紀に出現し、その後の白亜紀に現在の科が出揃ったことが分かっています。Gは、とても古くからいる生物なので「生きた化石」と呼ばれることもあります。家に侵入して住み着くGには、チャバネG・クロG・ワモンG・ヤマトGなどがあります。日本のGの大きさは精々数センチですが、マダガスカル島にはマダガスカルGという7センチを超える巨大なGがいます。考えただけでも、おぞましいです。

まだ実家に住んでいた高校生の頃、Gに関する恐怖体験がありました。ある日、仏間でGを発見しました。生憎、殺虫剤がなかったので、新聞を丸めて叩き潰すことにしました。ゆっくり近づいてからの一撃目は、Gの端っこを掠めたため致命傷には至りませんでした。Gも必死で、逃げ出します。壁際に追い詰められたGは、柱を登っていき、柱の中間地点で場所で静止しました。「よーし、今度こそは!」と狙いを定めたその時、Gが私の顔に向かって飛んできました。「ウヮ~・・・」。

まさかGが逆襲してくるとは思いもせず、油断していました。窮鼠猫を噛むとは、まさにこのことです。顔面に迫るGに恐怖しました。思わず顔を背け、丸めた新聞して叩き落とそうとしましたが、Gを見失っていたので失敗しました。その後、Gは悠々と家具の隙間に逃げていきました。そのとき一瞬Gが、「若いの、まだまだ甘いぜ!」と言ったような気がしました。

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