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クリスマスの思い出 不二家のデコレーションアイスクリーム

今日は12月25日、クリスマスの本番です。私が子供だった半世紀ほど前は、日本でもようやくクリスマスが定着し始めた頃でした。宗教に無頓着な日本では、キリスト教の背景があるクリスマスも、ケーキを食べて子供がプレゼントをもらう”西洋式のお正月”のような行事として根付き始めました。

当時子供だった私は、クリスマスの宗教的な意味は全く理解していませんでしたが、普段滅多に食べないケーキが食べられたり、プレゼントがもらえるクリスマスは嬉しいイベントでした。当時のケーキは、今のような生クリーム主体の作りではなく、どっしりしたバタークリームが主体のケーキでした。種類も、普通の白いケーキと、チョコレートが主体の黒いケーキの二種類くらいしかありませんでした。

実家は裕福ではありませんでしたが、クリスマスにケーキを買うくらいの金銭的な余裕はありました。でも、ひょっとすると子供のために両親が無理していたのかもしれません。実家は4人家族でしたが、ホール(丸ごと1個)のデコレーションケーキが定番でした。そのため、一回では完食できずに、必ず次の日にも残りのケーキを食べました。

デコレーションケーキが世間に定着して少し経ったある年のクリスマス前、テレビでは『デコレーションアイス』という新しい食べ物を宣伝していました。いまでも探せばあるようですが、当時ではとても珍しいアイスクリームのケーキでした。その当時、実物はもちろん見たことが無いし、テレビのCMでしか情報がありません。CMでわかったのは、”アイスクリームで出来たデコレーションケーキ”らしいということでした。今でこそ、冬場にアイスクリームを食べるのは当り前ですが、当時は”冬にアイスクリームを食べること”は、とても贅沢なことだったのです。ましてや、クリスマスケーキがアイスクリームなんて・・・。

夢のような”デコレーションアイスクリーム”は、テレビの中だけのことだと思っていました。値段も、通常のデコレーションケーキよりも高価だったので、我家で食べられるとは思っていませんでした。しかし、その年のクリスマス前、「今年はデコレーションアイスを予約した」と母親が言ったので、とても驚いた記憶があります。その年は、家族ぐるみで仲の良かった家族との合同のクリスマスパーティでした。

いつもより少し贅沢な料理や飲み物で、食事は大満足でした。また、デコレーションアイスが食後に控えていると思うと、ワクワクが止まりませんでした。いよいよデコレーションアイス実食の時、円筒型の発泡スチロールに入ったケーキが姿を現しました。そのアイスケーキは、少し小ぶりなサイズでしたが、かわいらしく飾りつけされていました。サイズが小さいので、結局子供達だけで食べることになりました。

ストーブで温められた部屋の中で食べる冷たいアイスは、少し解けかけていて、思ったほどは美味しくありませんでした。しかし、親のことを考えて「冷たくて美味しい!」と言って食べました。後にも先にも、デコレーションアイスクリームを食べたのは、この一回だけです。

なお、タイトル画はデコレーションアイスのイメージで、当時食べたものではありません。

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