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本物の”偽薬” プラセプラス

病院で処方される薬は、科学的に効果が実証された”本当の薬”ですが、効き目がある成分が何も入っていない”偽の薬”を服用しても、患者本人が効き目があると思い込んで、病気の症状が改善することがあります。このような現象を、プラセボ効果と呼んでいます。プラセボというのは偽薬ぎやくという意味です。偽薬の対義語として、本当の薬は”実薬じつやく/真薬”と呼ばれることもあります。

昔から”やまいは気から”という諺があるように、治ると信じることで免疫力が高まるのかもしれません。また、患者さん本人の自然治癒力が高い場合、クスリの力を借りなくても病気が治ってしまいます。このようなプラセボ効果や自然治癒の効果を、本当の薬効から取り除くため、薬の治験では①試験薬を飲む、②プラセボ(偽薬)を飲む、③薬を飲まない、という3つのグループに分けて実験が行われます。ここで統計的に優位な差があれば薬効アリと判断されますし、統計的に優位な差が無ければ薬効ナシと判断されます。

プラセボは本物の薬とそっくりな見た目に作られていますが、その主成分はデンプンや糖のようなものです。このようなプラセボを、真面目に作っている会社がありました。それが、その名もズバリ『プラセボ製薬』です。この会社では、”本物の偽薬”を作っています。商品名は『プラセプラス』です。もちろん、薬効成分は全く含まれていないので、正式には食品扱いだそうです。

プラセボも、正しく使えば役に立ちます。最も効果的な使い方は、”プラセボと実薬の区別がつかない人”、つまり子供や認知症の高齢者などに使うという方法です。認知症の高齢者には、頭痛が治らない、眠れない、痛みがとれないなどと言った理由で薬に異常に執着するようになり、家族や介護者を困らせてしまう高齢者がいるそうです。そのような時に活躍するのが、このプラセボです。嘘も方便ほうべんです。この会社のモットー(社是)が振るっています。

『人の為 ニセモノだから できること』・・・奥が深いです。


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