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目は口ほどにものを言う?

 昨今、感染対策のマスク姿は、室内でも屋外でも当り前になりました。通常は、鼻を隠すようにマスクをしているので、顔半分の目の部分しか見えません。この前、NHKの番組を見ていたら、どこかの小学校の校長先生が出ていました。マスク姿だと校長先生の年齢にしては若々しい印象だったのですが、給食を検食するためにマスクを外すと、年齢相応の印象に戻りました。

 口の周辺には、ほうれい線がありますから、この部分だけでも印象が大きく変わります。このように、マスクは顔の大部分を覆ってしまうので、マスク姿の印象は素顔の時の印象とはまったく違って見えてしまいます。これには、人間の顔の認知の仕組みが大きくかかわっています。

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 顔の認知(印象)に関する次のような基礎実験がありました。マスクを使った実験ではありませんが、20代の女性の真顔と笑顔の顔写真を用いて、目、鼻、口の部分を隠し、見た人の印象がどう変わるかの実験をしたのです。それぞれの写真について”美しい”か”好き”かを、『全くそう思わない(0点)』~『確かにそう思う(3点)』で評価すると、予想に反した結果が得られました。結果は、どこも隠していない時と比べて、隠した部分があるときの方が評価が高かったのです。

 つまり、どこかを隠していた方が評価が上がる傾向があったのでした。私たちの脳は、隠された部分に”理想的な形態を想像して”当てはめているらしいのです。ようするに、見えない部分は”自分の理想的な形”を勝手に想像/推測して、補っているのです。私たちは減点法ではなく加点法で評価しているのだろうという解釈でした。

 マスクをしていた時に、”美人”や”イケメン”と感じても、マスクを外せば少しがっかり・・・という経験は多分あるはずです。何でもかんでも、見えていれば良いというものではありません。隠れていたほうが想像力をかきたてられる場合もあるのです。

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