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際どい同音のオノマトペ

オノマトペとは、”わんわん”、”ワクワク”などのように、様々な状態や動きなどを音で表現した言葉です。犬の鳴き声の”わんわん”は実際に聞こえる音ですが、”ワクワク”は実際には音は聞こえない感覚的な表現です。日本語は特にオノマトペが多い言語といわれています。このカタカナ語のオノマトペは、フランス語の” onomatopée ”に由来します。

文化が違うと、音の感じ方も違います。日本語での豚の鳴き声は”ブー ブー”ですが、英語では全く違う音の”オインク オインク”です。また、ある文化圏では普通の言葉なのに、別の文化圏ではちょっと恥ずかしい言葉になったりもします。

最もわかりやすい例が『チンチン』です。 イタリアでは乾杯の時に、「チンチン (Cin cin! )」と発声します。このオノマトペは、グラスの当たる音だといわれています。またイタリアの子供の歌に『チンチンポンポン (Cin cin, Pon pon)』という歌があって、日本でも半世紀前に少しだけ話題になりました。元々は列車の歌で、”しゅっしゅぽっぽ”の意味だと説明されていたのを読んだことがあります。しかし、チンチンがグラスが当たる乾いた音なら、日本語では「カンカンポンポン」に近い音だと思います。おそらく、列車のベルと汽笛のオノマトペだと思われます。

日本で歌われた『チンチンポンポン』は、歌詞が”お風呂に入る様子”を歌っているので、どうしても裸を想像させます。そのため、”チンチン”のオノマトペの意味が紛らわしくなりました。ひょっとすると、確信犯なのかもしれません。

日本語にも、オノマトペとはちょっと違いますが、別の”ちんちん”があります。それは犬の芸でもある”前足を上げて座る”ポーズです。後ろ足で立った場合も、”ちんちん”と表現されます。”ちんちん”の語源は諸説ありますが、一番有力なのは、鎮座ちんざするという言葉に由来しているという説です。

鎮座とはどっかりと座るという意味で、バランスをとるためにどっかりと座り前足を挙げるためポーズが”鎮座”と似ています。そのため、この言葉が幼児言葉のワンワンと同じように、ちんちんと繰り返すように変化したらしいのです。

オノマトペでなくても、海外では普通の言葉なのに日本ではエロイ言葉になる単語は結構ありそうです。

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