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漢字使用の謎ルール

 小学校には、”漢字使用の謎ルール”があるのだそうです。それは、”習っていない漢字は使ってはいけない”というルールです。この謎ルールの理由の正当性を主張する、主なものは以下の通りです。

・誤った書き順・留めはねを覚えてしまう
・漢字を知らない他の児童に劣等感を抱かせる
・習っていない漢字を知っていることをほめられた児童は、ゆがんだ優越感を育んで授業に無関心になる
・他の児童を見下すようになる

 かなり譲歩して、最初の理由はまだ納得できるにしても、後の理由はコジツケとしか思えません。すべて可能性の話であって、誰もがこんな風に思うとは考えられません。どうして、もっと自分の生徒を信じられないのでしょうか?。”悪の芽は事前に摘み取ろう”的な発想が、堪らなく貧困です。

 私の本名には、割と画数の多い字が使われているので、この謎ルールが本当だとしたら、小学校の間は自分の名前を漢字で書けなかったはずでした。しかし、小1の時を除けば、普通に書いていたような気がします。これって、どこかのローカルルールなのでしょうか?。

 ちょっと前に、タレントの『つるの剛士』さんの本名に、普段お目にかかれない難しい漢字が使われていて、話題になっていました。本名は『靍野つるの剛士』さんと書くらしいです。この字は常用漢字でも習わないので、謎ルールが適用されれば、一生ひらがなで書かなければなりません。そんなことはないと思いますが、”つるの”さんは律儀に、この謎ルールを守っているのかもしれません。

 もう一つ引っ掛かる漢字のルールに、漢字の”とめ・はね・はらい”問題があります。高校生の時に、毎朝10問の漢字のミニテストがありました。漢字は得意ではありませんが、ある時に全部わかった時がありました。採点は隣同士でやるので、隣の同級生に自信満々で渡したら、全て×で零点と採点されて戻ってきました。「そんな馬鹿な!」と抗議したら、「”とめ・はね・はらい”が全部間違っている」と言われました。・・・。一瞬言葉を失いました。

 それでは、”とめ・はね・はらい”には、どこまで気を付けるべきなのでしょうか?。実はこれには、答えがあります。正解は、”字体が合っていればOK!”なのです。つまり、漢字の”とめ・はね・はらい”で減点するのはNGです。このことは、文化庁の国語施策「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」に、次のように明確に書かれています。

『文字の形の整い方が十分でなく、丁寧に書かれていない場合にも、また、美しさに欠け稚拙ちせつに書かれている場合にも、その文字が備えておくべき骨組みを過不足なく持っていると読み取れるように書かれていれば、それを誤った文字であると判断することはできない。』

 書道の場合は、”とめ・はね・はらい”が重要ですが、漢字テストでは重要ではないのです。長年の恨み(?)が、これでスッキリしました。

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