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科学エッセイ分冊 考古学編

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考古学関連の記事をまとめました。
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#本の紹介

邪馬台国はどこ? #2 邪馬台国・沖縄説

 邪馬台国はどこにあるのか?。この疑問は未だに謎で、明治時代から九州説と畿内説が争っています。中々決定的な証拠が無いため、邪馬台国の所在地については今なお決着がつかない状態です。答えがわからないのを良いことに(?)、考古学の専門家から素人研究者まで、多くの人が邪馬台国について自説を開帳してきました。  前回の記事では、邪馬台国・エジプト説について書きましたが、今回は少し日本に戻って邪馬台国・沖縄説です。邪馬台国のことを記したのは、魏志倭人伝という中国の歴史書です。この中には

邪馬台国はどこ? #1 邪馬台国・埃及説

 1910(明治43)、ある奇妙な論文が読売新聞に掲載されました。論文題名は『東西両大学及び修史局の考証を駁す─倭女王卑弥呼地理に就いて』でした。著者は、当時、詩人バイロンの紹介や『プラトン全集』の翻訳などで知られていた、哲学者・翻訳家の木村鷹太郎です。しかし、その論文内容は、邪馬台国研究史上、最も奇妙な学説”邪馬台国=埃及(エジプト)説”でした。  現在でも、邪馬台国論争の決着はついていませんが、主なものとしては、京都帝国大学の内藤虎次郎(内藤湖南)教授が『卑弥呼考』のな