ジーンズやカバーオールのウォッチポケットは今でも使われている!?
ジーンズやカバーオールにある
「ウォッチポケット」もはや当たり前の
ディテールですが、
時代を考えると
ジーンズのウォッチポケットは腕時計の普及から
20世紀初頭には用をなさなくなっていました。
一方でカバーオールが普及していくのは20世紀に
入ってから。
普通に考えればカバーオールにウォッチ
ポケットが付いているのはいささかおかしい
気がします。
しかしここに時計に対しての使い勝手が
カバーオールを着る労働者とジーンズを履く
労働者に大きな違いがあることが分かります。
ジーンズの原点である19世紀、
ジーンズは炭鉱夫の労働着として欠かせない
ものでした。
彼らは当然ながら時間で働いていたわけですから
時計が必要でした。
当時はまた腕時計のない時代。
高価な懐中時計を壊さずに持って山に
入る必要があります。
そこでリーバイス社は当初から労働に邪魔に
ならない位置にポケットを作り、そこに
懐中時計が入れられるようにしたんです。
今よりも股上が深い上に、
ウォッチポケットはウエストベルトにかかる
ような位置で、しかも今よりひと回り大きい
ポケットでした。
これは間違いなく懐中時計を入れていた
証拠です。
おそらく今のウォッチポケットの位置と違い
しゃがんでも、ウォッチポケットの位置は
お腹の上くらいに配置されるような
イメージだったんだと思います。
20世紀に入り、腕時計の普及とゴールド
ラッシュの終焉に伴い、ウォッチポケット
それ自体は有名無実化しますが、
リーバイス社は初期のディテールを
アイデンティティとして残すことにします。
位置も少し変更になり
ウエストベルトよりも下の位置になります。
しかしジーンズの着用者はこのポケットを
コインケース代わりに使うようになり、
いつしか「コインポケット」と呼ばれるように。
これがジーンズでの「ウォッチポケット」の
役割。
一方でカバーオールの「ウォッチポケット」は
鉄道運行における時間厳守の重要性が大きく
関わっています。
懐中時計のメリットは
○視認性が高い
○耐磁処理がしやすい
○時間を合わせやすい
ということでした。
このメリットを鑑みた上で鉄道員は
腕時計普及後も懐中時計を携帯することを
鉄道会社から定められていました。
そこで時計を懐中し、出し入れしやすいよう
カバーオールにはウォッチポケットが
付いているというわけです。
鉄道員は懐中時計を待機場で取り出して
標準時を示す時計を見て時刻を合わせ、
ダイヤを遵守していたようです。
そしてそれは現代も変わらず。
鉄道員は今でも懐中時計を使用しています。
それは日本でも同じ。
今度車掌室や運転室を覗いてみてください。
必ず懐中時計を置ける場所があるはずです^_^
今日は「ウォッチポケット」の話でした^_^
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