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№351 ポジティブに考え過ぎるとドツボにハマるよ。

幸福に必要なものは
「いい人間関係」であり、
そのためにはポジティブな態度が欠かせません。

それでは、ポジティブな態度とは
いったいどういうことなのでしょうか?

アメリカからの自己啓発ブームもあってか、世の中では一般的に
「ポジティブシンキング」が重要だと考えられています。

もちろん、ものごとを
ネガティブに考えるよりも
ポジティブに捉えられたほうが
都合のいいことは多いのですが、
必ずしも「ボジティブシンキングがいい」と
は言えません。

ミシガン州立大学の准教授である
ジェイソン・モーザーらは、
「ネガティブな人に前向きなことを言うと逆効果になる」という研究を発表しています。

この実験ではまず、
参加者に自分が「ポジティブ思考」か
「ネガティブ思考」か自己申告をしてから
行ってもらいます。

そのうえで、
「男が女性の喉にナイフを突きつけている」などのショッキングな映像を見せるのですが、
これらをできるだけポジティブに解釈するように指示します。

このときの参加者の脳の血流の反応を調べたのですが
まず、ポジティブ思考だと
自己申告した人たちの血流には特に大きな変化はありませんでした。

一方、ネガティブ思考だと
自己申告した人たちの血流は大きく反応し、非常に早くなったのです。

血流が早いとは、あれこれ考えて、
脳が高速回転しているような状況で、
この速度が早くなるほどパニック状態になります。

つまり、反応が少なく、
血流がゆるやかなほうが
精神は落ち着いているということです。

この結果を受け、血流の早くなった人たちに「もっと前向きに考えて!」と指示をします。

するとどうなったかというと……
血流がゆるやかになるどころか、
より早くなってしまったのです。

これは
「バックファイア効果」と呼ばれるもので、ある情報を修正しようとすることで、
かえって、もともとの情報の
ネガティブさを強めてしまうというもので
一度わいてしまった不安や
ネガティブな感情を
ムリにポジティブに捉えようとしたことで
脳が混乱し、
オーバーヒートのような状態になったのでした。

なので、
そもそもネガティブな状態になっている人がムリにポジティブになろうというのは
自己矛盾を引き起こし、
かえって自分のネガティブさに気づかされてしまいます。

そして、
よりネガティブ思考を深めてしまう原因になるのです。

落ち込んでダメージの大きい人に
「がんばろう!」とか
「元気出して!」と声をかけるのが
かえって逆効果なのは、
このようなメカニズムが働くからです。

ネガティブな状態のときは、
思考を変えようとはせず、
まずは「ああ、今ネガティブだなあ」
と認識するところから始めてみてください。

このとき、その状態について
「いい」「悪い」の評価はしないでください。

何故なら自分を三人称に置き換えて、
「ああ、彼は今ネガティブだな」
という状態をそのまま描写して、
思考をさっと別のほうに持っていく習慣をつけていきます。

三人称で心の中を語ったときには、
感情に関する脳の部位の活動が
急激に低下することをモーザーらは別の研究で観察しています。

例えば、ボクが最近恋人に振られてしまい、気持ちが動揺しているとします。

ここでボクが自分の感情に向き合い、
「ボクは何で動揺しているんだ?」
と一人称で自問するよりも、
「タマちゃんは何で動揺しているんだ?」
というように、
三人称に変換して自分に語りかける、
という具合です。


ネガティブな感情を気にしたり、
「これはよくない!」
と否定したりしてしまうと、
余計に強調されます。

そうではなく、
「状態を客観的に認識して、意識をそらす」ことが本当のボジティブシンキングの第一歩なのです。

その意味では、
態度をポジティブにするというのは、
「思考から行動をポジティブにしていく」のではありません。

行動をポジティブにすることで、
結果的に思考がポジティブになるのです。

いったいどういうことか?

つまり、
思考で行動を変えるよりも
行動で思考を変えるほうが、割りとカンタンなんです。


もし良かったら試して見て下さい。

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