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【電気工事のリアル】専門家が解説する改修工事の怖さ

こんにちわ、でんちゃんです。

今回は「改修工事の怖さ」についてお話していこうと思います

「電気工事で気をつけるポイントを知りたい」
「電気関連の事故を起こすとどの様な影響があるの?」
こういった疑問をもつ電気工事士の方へ参考になる内容でお届けします。

私は現役の電気工事士として日々現場で働く、いわゆる「職人」と呼ばれる立場でお仕事をしています。

▼このテーマを取り上げるきっかけのツイート

上記ツイートの通り改修工事には危険が多く、安全意識を持っていないと大きな事故に繋がる場合があります。今回この改修工事について深く掘り下げていこうと思います。

▼本記事の内容

①改修工事は手術と同じ
②改修と新築はまったく別の生き物
③これらを踏まえて何をすべきか?

上記をお話していきますが、結論として「改修工事の事故対策は検電の徹底」ということです。

電気工事の基本である検電、基礎の基礎が大切なのに事故がなくならないのは安全意識がどこかで薄れたり注意散漫になってしまう事が原因です。


①改修工事は手術と同じ


電気工事は色んな場所で行われます。その中で改修工事というのはすでに客先に引き渡したあと、つまり建物として稼働している状態で作業を進めることです。

これは例えるなら、生きている人間にメスを入れる「手術」と同じ行為です。
ブレーカーを切ることは麻酔をかけるのと同じで、工事の種類によってはいわゆる局部麻酔しか出来ない場合が多くあります。つまり、一本のケーブルの電源を落としても周りのケーブルは全て電気が流れている状態です。

天井裏などは無数のケーブルが縦横無尽に張り巡らされていて、一歩間違えて切断すればたちまち大事故に繋がります。


このまちがって切断したケーブルがフロア全体をまかなうオフィスビルの通信線だった場合どうでしょうか。

多くの取引先への影響が出て、被害額も相当な金額になるでしょう。

もしかしたらその会社の存続まで影響が出るかもしれませんし、請け負った工事会社への多額の損害賠償や、実際に事故を起こした人の職人生命にも関わってくるかもしれません。

それほどに改修工事は人の生命を左右するような「手術」と同じくらい、責任の重い工事だということです。


とはいえ「いちいちそんな怯えていたら作業なんかできないよ」という声もありそうですが、そういった人には厳しいですが職人としての心構えがかけていると思います。

・改修工事の事故が起こした影響の例

歴15年のベテラン職人で今まで事故経験の無かった人が、一回の検電をしなかったせいで、活きているケーブルを切りテナント事務所の照明を全て落としてしまった方がいます。

被害は相当な大きさになり、2ヶ月以上も事情聴取を受け、会社の信頼を落としてしまった大事件になりました。

その影響は協力会社全てにまで広がり、実際には関係のない会社にまで作業制限がかかったり、周知会が開かれたりと多くの人を舞い込む結果になってしまいました。


改修工事で作業する事は一人の作業の責任の重さがあります。もっと言えばその握るニッパー1つにも大きな責任が伴う、くらいの意識でいることが大切です。

②改修と新築は全く別の生き物


改修工事が「手術」だとすれば、新築工事は建物に命を吹き込む行為です。新築工事には受電前と受電後で大きく意識が変わります。

受電前は建物に電気が送られていない状態で、検電を必要とする作業がほぼありません。一方、受電後は建物に電気が送られた状態で、検電作業が必須となってきます。


受電後に短絡事故を起こしてしまった場合、それ自体は問題になるのですが、実際の所客先に引き渡す前の段階なので改修工事が及ぼす影響に比べればまだ小さいほうだと言えます。

(※前提として注意として新築だから電気の事故を起こしてもイイという話ではありません)

新築工事の経験しかない新人さんが改修工事に入って事故を起こす。というのは割とよく聞く話です。新築と改修では気をつけるポイントが段違いなんです。

ケーブルの扱い方、電気室内での動き方、脚立等の足場の立て方、仕上げ物や備品に対する意識、全てにおいて難易度が高いのが改修工事です。

電気工事で働く場合は色んな現場を掛け持ちする場合もありますが、新築工事は新築の動き方、改修工事は改修ならでは動き方があります。

新築で慣れている人は動きも激しくガンガン進めるイメージですが、改修はあくまで慎重に進めていく必要があります。

場面で動きを切り替えていく、この考えがとても重要になってきます。

③これらを踏まえて何をするべきなのか?


「で、どうすればいいの?」
といった方のために結論「検電の徹底」です

結局の所、電気工事の大前提である検電が事故を起こさない為に一番大切なことです。

現場で働く人なら分かると思いますが、検電器と呼ばれるケーブルに電気が流れているかどうかをチェックする道具があります。

それを使って無電圧、つまり電気が流れていない状態を確認した上でケーブルを切るなど作業を行います。

そこで検電器には使い方の2つポイントがあります。

・検電器の当て方

1つ目は、検電器の当て方。

検電器は電気が通っている部分に反応して音と光を出します。しかし、ケーブルの被覆の中には電気が流れない線も混じっています。接地線と呼ばれる線です。

当然ですがこの部分だけに検電器を当てても例えそれが活きているケーブルであったとしても反応はしません。

そうならないためには、検電器をケーブルに当てる際、ケーブルをグルっと一周回すようにあてて確認することが基本になります。


・誘導電圧への対応

検電器は誘導電圧に反応してしまう場合があります。すごく簡単に言うと、対象のケーブルに電気が流れていなくても近くの活きているケーブルが影響してしまうことです。

誘導電圧を拾ってしまうと、ブレーカーを切っていても検電器が反応する状態が起きてしまいます。その場合、テスター等で電圧を測定し無電圧を確認することで解決できます。

検電器の反応だけでは判別が付かない場合があるので注意が必要です。ただしい検電方法と対処法、何よりも検電を忘れない意識が本当に大切です。

まとめ


・改修工事は人で例えるなら「手術」と同じ
・客先がいる状態での事故は大損害に繋がる
・改修工事と新築工事は全く別の生き物
・現場ごとの動きや意識を切り替えることが大事
・事故を起こさない一番の方法は検電
・正しい検電方法と対処法、検電を忘れない意識が大切

新人さんからベテランさんまで安全意識を常に持ってほしいというメッセージも込め、今回は以上となります。

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