続 MLBにおける球速の防御率への意外な影響 〜直近のトレンドに関する示唆〜
前回の続きです。
前回は、球速のばらつきが大きいチームほどチーム防御率が良いという不思議なデータを紹介しました。
今回は、これについてもう少し掘り下げてみたいと思います。
もともとの興味
自分はもともと、「有機体としてのチーム」という興味を持っており、チーム全体として、個人には還元できないような要素が存在するのではないかと考えています(だから全体の分散という指標に注目した)。以下ではチームをボールを放る一つの有機体のようなものとイメージして解析をしたいと思います。また、球種のネーミングについてはいろいろな立ち場がある以上あまりラベル付けをして分析するのも好きではないので、全球種をまとめてぶっこむというスタンスで行きます。
球速とチーム防御率
早速みていただきたのは、以下のグラフです。
2018年以降、「チーム防御率」とチーム内の「球速のばらつき」の相関係数が非常に大きくなっている(N=30の5%有意ラインは±0.36で、この水準で有意なのは2018, 2019の分散だけ)。これは、ここ2年は何か緩急の使用という点において何かしらの変化が起きていることを示していると言えます。
考察(アイデア)
私自身も解釈に困っているところなのですが、ここ数年というとフライボールレボリューションに起因するHR数の増加や三振数の増加という変化が特徴的だと思います。また、「スラッター」のような小さく曲がる変化球の有効性が周知されるようになった時期とも被る。この辺の変化が、なにか決定的な影響を与えているということなのでしょうか。
このまえTJさんとお話したときには、ツーシーム系の、投手自身の最高球速とほぼ変わらないような変化球から、カッター系の4,5mph程度は遅い変化球へとトレンドがシフトしたことが影響しているのではという話になりました。
このあたり、個人の場合の分析と比較をすすめることでもう少し洞察が得られると期待しています。
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