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【小説】「なんでも相談志」ケース1:自分を取り戻す。

「なんでも相談志」
ケース1:自分を取り戻す。

主人公、オオク・キク・タケ
惑星同盟国家資格「なんでも相談志」 保持者。

相談者
サガシテ・セツコ

左遷された元製品開発者。


とある地球型惑星、

今の時代からさほど離れていない未来、

時代は宇宙開拓が始まり30年程経った。

人類は新天地を求め、

空間の歪みから「高速回廊」とよばれる。

ワープ空間を見つけ出し更に勢力圏を伸ばしていった。

今は8つの惑星に人類は移住し生存している。

この、8つの惑星が同盟を結び、惑星同盟政府を作った。

とはいえ、そこそこのストレス社会の中、

パワハラ、せくはら、イジメ、不倫、不正、等

巻き込まれる人間はそれなりに苦労する。

同盟政府はそれに対応する為の体系的な技術が必要になり、
世の中の天才たちを探し出しそしてストレスに強い人物たちを

10,000人追跡調査し、研究開発され運用されたのが、

惑星同盟国家資格「なんでも相談志」

彼らの目的はストレスに苛まれる
人々をただ聞く技術で助けること。

その職業はあらゆる組織や団体に配置され、

なんでも相談を受ける人のこと彼らには相談事を選ぶ権利はなく、

来たものは拒まず去る者は追わず。

聞いたことは全て他言無用!
約束事は色々あるがまたの機会にする。

なんでも相談志のカウンセリングを受けると、

人生が晴れやかになるので人気は絶えない。

収入額50倍になったとか、
恋愛相手が見つかったとか、
金鉱脈を見つけたとか、
眉唾な話もたまにある。

余計なことを考えなくて良くなったので、
仕事に集中できる様になった。
コレが一般論であるし筋も通っている。

もう一度、確認しておこう。

彼ら、「なんでも相談志」の目的は、

ストレスに苛まれる人々をただ聞く技術で助けること。

とあるOLの悩みを受ける。

仕事は楽しいし周りはちやほやしてくれるけど、
それはそれとして甘んじないでちゃんと成果をあげている。
ただ家に帰ると孤独感を感じたり、タバコ臭いし、足臭いし、
独身だし、人形と話しちゃうし、少し前は企画の仕事を効率化したり、
人の話を聞いたりして、クリエイティヴな感じだったのに、
何か夢を持っていたような気がするが枯れ果ててしまい。
このままの自分でいいのか見つめ直したい。
本当の自分を取り戻したい。

大手企業に配置されている「なんでも相談志」
専用オフィスには受付が設けてあり、
オオク・キク・タケはカウンセリングルームで
今日のプレイヤーである相談相手のサガシテ・セツコを待っていた。

なんでも相談志の用語の一つ「プレイヤー」
プレイヤーとはゲームを行う人のこと、
その人の人生をゲームと捉え、
その人により良いルールを見つけ出してもらい
最高の人生のプレイヤーに戻す。

カウンセリングルームは大きな窓が設置されていて
外はプレイヤーの希望の風景が表示される。

外は本物と寸分違わぬ風景にっている。

最高基準の環境ホログラムである。

移民団を長時間の宇宙航行に対して

人類のストレスを軽減するシステムとして

開発されたものが役立てられている。

開拓惑星のため住居は寺フォーミング(惑星改造)が、

完了するまではすべて地下に置かれ周りの風景は地球を再現している。

人型ロボット秘書システム「リアン」が、
相談相手のサガシテ・セツコに依頼内容の事前確認をしてくれていた。

オオク・キク・タケ様おはようございます。

サガシテ・セツコ様より依頼内容の返信が戻ってきました。

読み上げますか?

オオク・キク・タケはリアンに依頼内容を読み上げてさせて、
相談の準備をするように指示を出した。

【依頼内容】通常オーダーと言われている。

どのような環境がお好みですか。
・大草原の大きな家、(小さくはない)

欲しい飲み物は何ですか。
・ローズヒップティー

椅子の形をソファ、オフィスチェアー、
姿勢矯正座椅子の三種類から選べます。
・ソファ

相談内容は送って頂いた内容で変わりはありませんか。
ない。

なんでも相談志の服装でご希望はありますか。
スーツ、執事、カジュアルからお選びいただけます。
・執事のような服装でお願いします。


リアンはすべての指示をこなした事を告げると
オオク・キク・タケは時間と場所をサガシテ・セツコに連絡した。

18時30分にカウンセリングルーム35にお越しください。
なんでも相談志は準備を整える為のチェックシートを持っている。
理念等が書いてありそれを読見上げ実践する。

・傾聴の準備が出来ている。
・依頼内容がすべて満たされている。
・悩みの内容がクリップボードに挟んである。
・依頼者を受け入れる。


        以下省略


18時30分丁度にサガシテ・セツコさんはやってきた。
見た目はキャリアウーマン眼光が強いが少しさびしげである。


執事の姿で迎える。

サガシテ・セツコ様、ようこそいらっしゃいました。

と話しかけると、

本日はよろしくお願いします。

と丁寧に彼女が答える。
カウンセリングルームの中にはいるとそこは草原である少し離れたところに
大草原の大きな家は見えている、建物の外観を楽しんでいただく。

丸太作りロッジ風といえばよいだろうか、
そのまま、入り口に案内する。

女性型に変形し執事姿のリアンがドアを開け、
丁寧に向い入れる。
サガシテ・セツコは、オオク・キク・タケに促されて部屋に入る。

建物内部も寸分だがわぬ木造の風景をホログラフィー映像で表現している。

彼女をソファーに案内し座らせる。

目の前の窓には大草原が広がっている。

そして、しばらく風景を眺めるように進めると、

彼女は喜んだ様子で映像を見始める。

草原やロッジの木のお香がほのかに香り、

安心感を引き出し徐々に準備ができてくる。

空間を堪能して貰っている間に、

ローズヒップティーの準備をして、

それが入ったポットを下から上、

上から下へと動かし注いでいく、

演出は絶対的に必要な要素である。

多分。。

彼女の前にあるテーブルにそれを出して薦める。

ソファーの座りごごちを確認する。
彼女はとても良いですと答えた。

いま、気分はどうですかと話しかけると、
彼女は緊張しているけど、
お話しできそうですと答えた。

準備ができた様子だ。

リアンがオオク・キク・タケの専用椅子を持って定位置に設置された。

準備はよろしいですか?と聞くと
彼女は、はいと答える。

ソファーが専用椅子と向かい合わせになるように動かす事を告げ、リアンが彼女を乗せたままゆっくりと向かい合わせになるように右に90°回した。
ありがとうと彼女はリアンにお礼を言って向き直した。

リアンが別室に下がった事を確認すると、

相談の時間です。と

オオク・キク・タケはゲームの宣言をした。

お願いします。
サガシテ・セツコは答えた。

相談内容の確認を行ないます。とオオク・キク・タケは話をする。

仕事は楽しいし周りはちやほやしてくれるけど、
それはそれとして甘んじないでちゃんと成果をあげている。
ただ家に帰ると孤独感を感じたり、タバコ臭いし、足臭いし、
少し前は仕事を効率化したり、人の話を聞いたりして、
クリエイティヴな感じだったのに、
何か夢を持っていたような気がするが枯れ果ててしまい。
このままの自分でいいのか見つめ直したい。

本当の自分を取り戻したい。

彼女は話し始めた。

以前は企画をやっていました。

企画ですか、良いですね。

それななりに物の形が出来上がったり、

サービスが売れたりするのが楽しかったです。

興味を引きます。オオク・キク・タケは同意をする。

困ったら助けてくれる人もいたり、

彼女の顔が曇り暗くなった。

暗くなったら明るくなるまで、その話題を深掘りする。
そうなんですね。どんな人だったんですか?

ヒト・ユーリさんと言って相談受けてくれたり、

一緒に食事に行ったり、あれなんだろ、

涙が止まらない。

さっとテッシュを渡す。

話に詰まる彼女を見ながら、

どうぞ続けて続けてください。と促す。

なんでも相談志は「喜怒哀楽チェッカー」を

実装しているそれで感情の動きがわかる。

彼女は新しい考え方や、人々が喜ぶアイディアを

ヒト・ユーリさんと形にし製品を作り続けていた、

彼女達が開発した製品は少しづつ世の中に広まり

主任開発者のヒト・ユーリの名はこの星に轟くまでになった。

開発者の欄にはサガシテ・セツコの名前で

世の中に出る製品もあった。

2人は仲の良い姉妹のようだった。

そしてついに、主任開発者として、

サガシテ・セツコの名が乗ることになった。

乗るはずだったが乗らなかった。

サガシテ・セツコはその時のことを話し始めた。

ヒト・ユーリはサガシテ・セツコに

おめでとうもう少しで、世の中にあなたの名前が、

主任開発者として出るよ。

その製品は、抱擁型抱き枕

「ナヤミ・マ・セン」

宇宙移民である彼らはその空間に適応するため、
優しさが多少欠如している。

悩みの一つである。

泣いている子供を放置したり、念なために言っておくが、

育児放棄ではない。

人間性を緩やかに回復させる為に開発した。

デモテストでは非常に良い結果を出して、

デモテスト参加者の追跡調査では、愛情が感じられた。

相手とのリアリティーが増した。などなど順調に思えていた。

暫く彼女は話をしを続けてくれた、そのうち涙は枯れはてたようで、

少し明るくなってきた。突然、彼女は閃いた!

あ、あの時、開発者の名簿データだけが消えたことがあった。

間違えて消してしまったと

ヒト・ユーリはサガシテ・セツコに伝えてきたが、

バックアップデータを入れて難を逃れた。とも言っていてた。

そして、製品が出た時に初めて、主任開発者の名前が

ヒト・ユーリになっていることに気が付いた。

会社側はそれを変えることはしなかった。

サガシテ・セツコはヒト・ユーリに

結果的に騙されたのである。

そして、サガシテ・セツコは左遷させられた。

サガシテ・セツコはこれを思い出しながら、

ブチ切れ始めた。

あのアマふざけやがって!

◯◯して、◯◯してやろうか!

ここからは激しくマシンガントークが続いた。

美しい、角度によっては可愛く見える女子が夜叉の様に怒り狂う。

トレーニングされていない人からすれば、恐怖でしか無い。

オオク・キク・タケはプロである。

事前に指示をしておいた八つ当たり人形4019ちゃんを

さりげなくリアンが準備し素早く去る。

オオク・キク・タケは

今の思いを表現してください!!

サガシテ・セツコが襲いかかる。

これは、過去の映像記録で見たことがると

オオク・キク・タケと思った。

女子が彼氏を奪われた時のガチ喧嘩である。

勿論、彼女が落ち着くまで、

彼女が繰り出すパンチやキック

八つ当たり人形4019ちゃんの腕が空に舞う。

すぐさま、オオク・キク・タケは

GOOD!もう一発!!

合いの手を入れるのは忘れない。

蝶の様に舞、蜂の様に刺す!

たまに、流れキックが、オオク・キク・タケに襲い掛かる。

間一髪避けたいところだが

なんでも相談志に避けることは許されない!

全てを受け止める。

訳にもいかない。

サガシテ・セツコのキックは

八つ当たり人形4019ちゃんの腕を吹っ飛ばす。

まともに受けた場合確実に死ぬ!

なんでも相談志ガーディアンシステム

守るくん110が起動する。

薄い幕が、なんで相談志の周りに展開される。

サガシテ・セツコのキックを優しく吸収する。

惑星開発当初は爆発事故などが多発する為、

作業員や惑星の移民たちを守るために開発された。

開発者の1人は、サガシテ・セツコである。

攻撃者にも攻撃を受ける人にも優しい道具である。

人を助けたいと言う思いが、形になった製品になったのだろう。

そんなこんなで、8時間程格闘した。

かなりタフである。

サガシテ・セツコはかなり、汗を流していたが、

定期的にゴングを鳴らし、

水分補給とビタミン補給はリアンが絶妙のタイミングで

行なっているため不足は無い。

補給が終わったら、再度ゴングを鳴らす。

当然、この行為も相談の一つである。

相談者からの要求が上がる。

私は認められたいのよ!

興味深い、いつそう思ったんですか?

彼女はそのことを話す、なんども話す。

その場はリングの映像に変わり、

彼女を承認する声がこだまする。

承認サポーター「コダマ」が起動する。

「セツコ!セツコ!セツコ!セツコ!」

凄まじキックが決まる。

歓声が上がる!

彼女がこころのつまりを開放しやすいように、話しやすいように

効果音やキックが光ったりなどの演出も追加。

最後の方は特殊効果は不要になった。

実際に光っているからである。

彼女は話し続ける。

絶妙のタイミングでオオク・キク・タケは

話を受け止め続けさせる。


サガシテ・セツコも流石に息は上がってはいたが、

バイタルチェックはすると絶好調である。

着替えとシャワーを浴びに15分程の休憩を取ることになった。

戻ってきたサガシテ・セツコは、晴れ晴れとした表情をしている。

オオク・キク・タケは 続けますかと確認したところ、

もう十分よ、と彼女はソファーに座り、

突然、笑い出した!

オオク・キク・タケさんよく考えたら馬鹿馬鹿し話をよね。

ふむ、興味深い、是非お聞きしたい。

そこからは、あまり時間がかからなかった。

ヒト・ユーリに対してのことだが、

そもそも、頼りすぎていたこと、

彼女は会社の令嬢で更に実力もある。

よく考えれば自分が立場的に

主任開発者になれる訳がないことに

気が付きサッパリしたと告げてきた。

素晴らしい。ほかに何か気が付きましたか?

悔しかったからヒト・ユーリの彼氏を奪ったこと。

それがなんて言うか後ろ髪を引いていたのよね。

色々あったけど、やったことは無駄ではなかったこと。

話したらスッキリしちゃった^_^

「喜怒哀楽チェッカー」は

幸福レベルを95%を占めている。

「私の自分の人生は自分で作る。」

素晴らしい。

あと「本当の自分を取り戻しました。」

良いですね!素晴らしい!

宣言をどうぞ!とオオク・キク・タケは促す

サガシテ・セツコは

新しいルールが見つかりました!と宣言し、

「喜怒哀楽チェッカー」は幸福レベルを120%を占めている。

オオク・キク・タケは

ありがとう、

あなたの人生に新たなルールの誕生を承りました!

相談を終わります!

彼女は何度もお礼を伝えながら部屋を出て行った。

後日談
サガシテ・セツコはヒト・ユーリ会って、
思っていたことを伝えたところ、
新しい、企画の主任開発者として、
開発部に招かれたそうな。

彼女は自ら新しいルールに従って行動した。

彼女からメールと荷物が届いた、
感謝の内容とローズヒップの茶葉
彼女が育てたものだった。
大草原の大きな家を建てます。
できたらパティーをするのて来てください。

と書いてあった。

オオク・キク・タケは

「なんでも相談志」である。
彼ら、「なんでも相談志」の目的は、
ストレスに苛まれる

人々をただ聞く技術で助けること。

相談者自身が自分のルールを

手にすることを助ける人々のことである。

そして、彼らはその仕事を誇りに実行している。

【おしまい】

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ずうずうしいとは思いますが、
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