2-2.心得~心配り~
~『配る』ということ~
気配り、目配り、そして心配り
配るという行為は人間社会を生きる中で、他者の立場や心情を思いやるという、古くから大変重んじられ今に至るコミュニケーションの姿です。
相手の方を大切に想い、相手の方を幸せにしたいと真に願うこと、そこから『配慮』の気持ちがが生まれます。
配慮の受け手は、配慮を日々している方であればあるほど、その配慮の価値を認めてくれるでしょう。
配慮の伝達が成立する瞬間、数秒のやり取りだとしても、双方に信頼関係が出来、存在の承認がなされます。
そこでやっと、会話の土台『聴く体勢』が出来上がるのです。
~理不尽はこちらが作り出している~
電話営業の世界では、ガチャ切りや無視という辛い反応を受けることが日常茶飯事です。
哀しい気持ちになるでしょうし、腹が立つこともあるでしょう。感じてしまう理不尽に冷めた気持ちになることもあるかもしれません。
ただ、そのすべては相手の方が作り出したものではありません。
配慮が届いていないのです。
もし仮に、会ったことのない見ず知らずの他人が、急に自室に土足で上がってきたら、どんな気持ちでしょう。
すぐに出て行ってほしいですし、どんなに利益のある話をされようとも、聴く体勢にはならないはずですし、親切な対応をしようとも思えないはずです。
お話の内容以前の問題です。
土足で上がりこんでおきながら、『シッシッ』とされて、腹を立てるとしたら、どれだけこちらが理不尽を作ってしまっているのかということです。
~相手の方に想いを巡らせる~
まず、第一に、急な電話をする事で『相手の方の時間を強制的に奪っているのだ』という自覚を持つことです。
もしかしたら、業務のための書類を作成している時かもしれないですし、一息ついてお茶を飲んでいる時かもしれないですし、自身にもあり得る全てが相手の方にも当てはまります。
誰もが、今何かをしていて、その手を止めて電話に出てくださっているのです。
電話に出るということは、待っている電話もあるのかもしれません。
取引先や関係先からなど、業務上大事な連絡を待つ中で、もしかして関係があるかもしれないと思って出てくださった可能性もあります。
それか、ふたを開ければ、見ず知らずの他人からの新規の営業と判った途端、それに対応する時間が一秒でももったいないと思われてしまうことは想像が出来ることです。
決断の速い方はガチャ切りをします。
苛立ちをそのまま表す方もいます。
声を荒げる方もいます。
黙って終わるのを待つ方もいます。
不快感や負の感情を表したくない方は、丁重な言葉や口調を選び、真綿で締めるように会話を終わらせます。
様々な表現はありますが、共通しているのは『向き合いたくない』という根本です。
まずはここに想像を巡らせて、自覚することです。
~配慮の在り方を~
この自覚を念頭に置いた在り方をもってコミュニケーションを始めると、自然と声色やテンポやブレスなどの伝達表現に顕著に反映されていきます。
相手の方の時間を奪っているという自覚を持ち、新規の営業という立場で上がらせて頂いていて、提案の機会を頂きたいと願う時、
電話を取ってくださった事への感謝を表現せずには居られません。
スクリプトにある『ありがとうございます』を楽譜にしたら音符も記号も色とりどりになるでしょう。
そして、名乗った直後にとっさに挟む『手短かにっ』の一言が、スピーディーでコンパクトでややすまなそうな絶妙な一節となり、相手の方の鼓膜に届けば、その自覚と配慮を認め共鳴して頂けるケースも出てくるはずです。
この心配り、配慮のある向き合い方を心得ておくことが、未知の機会創出の土台を創っていく重要な要素なのです。
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