見出し画像

劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を観て備忘録(ネタバレ有り)

タングが動いている!!

 劇団四季の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を見て、何より感動したのは、タングが3次元の空間で動いていることだった。
 首や腕が関節を意識して動かされたり、ぐにょーんと伸びるのには、くすっと笑ってしまうような可愛らしさがあった。
 特に、目の動きが印象に残っている。瞬きをしたり、目で会話をしたりする様子には、まさに、タングがその場に生きていることを感じさせられた。

美しい舞台

 さすが劇団四季。舞台が美しい。

照明

 東京の雨のシーンは特に印象深い。傘のフィルムに反射する様子が最高に美しかった。 
 星のシーンも美しかった。舞台全体にそのかがやきが感じられる照明は、自分たちもそこにいるかのような錯覚に陥る。
 加えて、ボリンジャー宅での、過去と現在の交錯するシーンの赤い照明は、舞台の使い方として分かりやすく、美しく、実用的だった。

美術

 馬の魅せ方が、個人的には感動した。原作の本を読んだ時、馬はリアルにそこにいるように書かれているのだが、どちらかというとタングとの出会いを印象付ける幻想的な存在として認識していた私にとって、ぴったりな表現だった。
 ラストのキャストの集合した時の絵も美しい。まさしくシャッターチャンス、物語の最後という感じのする配置だった。特に、舞台の前方に花が置かれていくのが最高だった。まさに、ガーデンをそこに作り上げていた。

衣装

 大勢の人が出てくるシーンでは、色の統一感が良かった。ホテルのシーンでは赤、反アンドロイドの人たちは茶色、アンドロイドは白…となっているのが見てすぐにわかるポイントだった。

映画とのタングの描写の違い

 映画では、タングの視点からのカットがあったことが印象に残っているが、舞台では当たり前だが観客は外側からタングを認識することしかできない。これは、個人的には逆に良かった。映画版で、タング視点のカットが入ったことで、個人的には、タングがロボットという人間とは異なるものである、という感じが強まってしまったように感じたからである。

原作と舞台の違い

 個人的にはベンがタングに対する愛情を獲得するまでに、自分を散々見つめなおさざるを得ない部分が好きだったので、舞台でそこが減るのは少し残念だった。けど、それは仕方がないし、文句という次元にはない。
 むしろ、エイミーとベンとの関係をしっかり丁寧に描いたことに好感をもてた。さらに、ベンが出ていった後のエイミーとブライオニーの2人にもフォーカスされて、歌まであったのも好きでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?