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リビングラボにおける「助演俳優」の役割 と意味のデザインから見る新しい視点

ライフケア(健康・くらし・介護)領域におけるリビングラボとは、社会の現場である病院、診療所、薬局、ドラッグストア、介護施設、シニアマンション、街中などを活動のフィールドとするものです。リビングラボの推進主体は企業や研究機関でありますが、彼らだけではプロジェクトを完遂することは困難です。映画で言うところの「助演俳優」のような役割を果たす、裏方的存在が必要となります。

この裏方的存在、つまり重要なサポート役は3つの重要な役割を担います。第一に、ELSI(倫理、法律、社会、および個々の意識)的視点からの支援が挙げられます。これは、倫理委員会の意見に基づく倫理的な問題解決や、個人情報保護法に基づく情報の適切な取り扱い、同意取得のプロセスなどをサポートする役割を果たします。

第二に、データ管理の視点からの支援があります。収集するべきデータの種類やその取得方法、さらにはそのデータをどのように分析し、科学的に信頼性のある結果を導き出すためのモデル設計等を支援します。

第三に、インストラクター的な支援が必要です。特に新しい製品やサービスを高齢者に体験してもらう場合、それを理解し、使いこなせるように説明する人、つまりコミュニケーション能力に優れた人が求められます。

さらに、ライフケア分野では、人々の暮らしにおける課題充足感が高まってきている現在、昭和時代のマーケティングポイントである「便利さ」や「高性能」だけではなく、モノやコトが持つ「意味」に焦点を当てたアプローチが必要になっています。

対象者にとっての製品やサービスの「意味」を考え、どのようなストーリー(ナラティブ)を持つべきなのかを設計する「意味のデザイン」は、対象者の課題解決に寄与し、満足感を高めるための重要な要素となっています。

この視点から考えることで、ただ新しく便利なものを提供するだけでなく、それが対象者にとってどのように意味を持ち、どのようにその人の生活を豊かにするのかという観点が重要となります。


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