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音楽の神様からのメッセージ

17歳で手の調子が悪くなって、ピアノを見るのも聴くのも嫌で逃げること32年。やっぱり音楽が好き、ピアノが好きと再開して4年。よくなることを期待してた手術で、残念ながら悪化。とことん落ち込んだ。それでもめげずにリハビリに励む私を見て、友人からは「ほかの趣味を探したら!」とよく言われていた。私を思っての言葉だし、私も友人の言うことが真っ当だなと思うものの、ピアノに代わるものはどこにも見つけられなかった。

そんな中で参加した左手のピアノ国際コンクール、たくさんの良い出会いがあった。友人に言われたように、ピアノに執着してしまう自分がおかしいのではと思ったことも何度もあった。しかし、このコンクールで出会った方々と話すうちに、皆、同じように長く苦しい時間を過ごしていたことが、言葉の端々からわかった。

「あっ、私だけじゃないんだ!」そう思えただけで心がスーッと軽くなった。やっぱりみんなピアノが大好きで、心の中には溢れるばかりの音楽があるのに、それを思うように表現する手段を奪われたことに苦しんでいたのだ。それがわかっただけでも、コンクールに参加した価値があったと思った。この出会いは大切にしたいと思う。

あれから3週間、私はハンディのないほうの右手首を骨折した。手首の可動域や柔軟性が100%元に戻る保証はどこにもない。明日にはプレートを入れる手術のために入院する。せっかく前向きになりかけていたのに、私は音楽の神様に、よほど嫌われているのだろうと自分の片思いっぷりに悲しく笑うしかなかった。

そんな時に、審査員の先生からの講評が届いた。

「いろいろと降りかかる困難に負けずに音楽を続けていくAkkoさんが音楽を愛する以上に、音楽の神様はAkkoさんを愛してくれるはずです。」

審査員の先生がこのメッセージを書いた時には、片手演奏をしたその右手首を3週間後に骨折するとは想像すらしていなかっただろう。このタイミングで私の手元に届いたメッセージが、ほんとうに音楽の神様からのものだと思えた。

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