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PENTAX SPのミラーアップを修理

修理というほどでもないですが、備忘録も兼ねて。

PENTAX SPやSPFはミラーアップが多くの個体に現れる問題です。フィルムのEOSがシャッターに爆弾を抱えているというのと同じ様なものでしょうか。

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これが通常です。シャッターを切るとシャッタースピードの秒数だけ、このミラーが上がってまた戻ります。

ミラーアップした状態は

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こうなります。

ミラーが上がりっぱなし。

私のSPも御多分に漏れず、ミラーアップし別個体を購入しました。通常ではカシャンと響き、ミラーの反動があるのですが、段々特に低速側でキィンと鳴く様になり、ついにチュンと申し訳程度になるだけになりました。このチュンの時はミラーが上がったままになっていて、反動が手に伝わってきません。

一度ミラーアップが発生した直後は次のシャッターで戻っていたのですが、直ぐ急激に悪化して、10回に1回戻ったら良いぐらいに。

レンズから入った光をミラーに反射させてファインダーから見ることで、パララックスが無い状態で写せるのが、一眼レフの特徴であるのに、ミラーが上がったままだと投影が出来ませんから、覗いても真っ暗な状態になります。フレーミングとピント合わせが不可では、ノーファインダー且つ目測でないと撮れません。

ちなみにシャッターは開きますので、ノーファインダーでピントが目盛りの目測で良いのであれば使えます。でも実質的ではないですね。

そこで別個体を購入した訳ですが、ミラーアップは冒頭の通り、SPの特徴的な問題であるわけですから、新しく買ったSPもいずれは同じ事に見舞われるでしょう。その度に買い直すわけにはいきません。使える個体を手放すのも気が引ける。

そこで思ったのは、修理を依頼するといくら掛かるのかと、自分で出来るものなのか、ということ。カメラに関して、ふんだんに予算があるわけではないので、安上がりで済むに越したことはありません。

ただ、気を付けて欲しいのは、プロが直せば修理ですが、素人が行えば破壊ということ。どういう事かと言うと、整備された修理品になるか、直ったところでジャンクになるかの違いです。

使える様になりさえすれば良いのであれば、気にすることもないかもしれませんが。

私は自分で使うのと、最悪の場合でも購入した別個体の部品取りにするので、自分で行いました。

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使ったのは、家庭用万能オイルとコスメ用シリンジ(両方100均で計220円)と精密ドライバー(ホームセンターで450円くらい)だけです。100均のドライバーでは回りませんでした。

PENTAX SPのミラーアップについてネットを見ると、注油で治る事が多い様です。

PENTAX SPは1964年から1974年まで生産されました。1974年の最後期の個体としても2020年現在から50年弱。1度も再注油されていないということも無いでしょうが、オイル切れも頷けますね。

作業内容ですが、

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底蓋にある両サイドと三脚ネジ穴の両サイドにある合計4つのマイナスネジを外すと底蓋が外れます。

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この状態で巻き上げレバーを押してシャッターを切ると、それぞれで関連する部分が動きます。

それとネットで見た内容も鑑みて注油していきます。プロはさらに細かく分解して洗浄するんでしょうね。一応ベンジンも購入したのですが、今回は注油だけにします。

三脚ネジ穴の左にあるL字の黒い丸とその下側・L字の下にある黒いギアとL字の間・巻き戻しボタンの上にあるマイナスネジ様の針金が巻き付けられた部分、にまず注油します。

そして三脚ネジ穴とL字の間に見える、各部品ではなくカメラ底に付いている2つの黒いマイナスネジ(私が参考にしたネットの写真ではプラスネジでした)の内、下のネジを外してそこに注油します。この奥がスローガバナーらしいです。

私は各部分数滴注油しました。力加減を注意しないと、ドバッと漏れるので注意してくださいね。

後はスローガバナー外側の外したネジを戻して、底蓋を合わせてネジを戻すだけです。

時間にして10分掛からず、金額700円弱で直りました。精密ドライバーが家にあるのであればもっと安く上がりますね。スローの高い異音も消えています。

私の様に、安値の本体(世界で400万台以上売れており、中古市場に数が溢れているから?)に高い修理代はちょっと、、。でも使えるものなら使いたい。という人には合ってるかもしれません。

あくまでも私はこれで直ったという話で、必ず直る保証はありません。試す時は自己責任でお願いします。


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