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ペーパークラフト『kami-bonsai』

妄想工場の大杉です。
今回はデザイン事例として「kami-bonsai」をご紹介します。

「kami-bonsai」は”気軽に盆栽の雰囲気を楽しんでもらうこと”がコンセプトの「紙の盆栽」です。組み立てにハサミやノリなどの道具を必要とせず、葉を自由に配置できるので自分なりの盆栽が楽しめます。また、紙でできているので様々なアレンジができることも楽しみの一つです。



1. きっかけ

とある事業で「立川紙業」という企業と関わりができました。「立川紙業」は東京西部を中心に紙の専門卸として半世紀以上の歴史持つ企業です。自社製品の開発を熱望しており、こちらも紙を使った製品をデザインしたいというタイミングだったため提案する流れとなりました。

提案したのは2015年の1月。5年後に東京オリンピックを控えており、インバウンド需要を期待して、ヨーロッパを中心に人気となっていた「盆栽」をテーマにしました。


2. 開発

開発に際して拘った点は三つあります。

一つは「印刷を一切使わない」ことです。2000種類以上の豊富な在庫を常備している立川紙業の強みを存分に生かすため、印刷による表現を一切排除し、紙の風合いだけで葉や枝、苔や鉢を表現しました。

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もう一つは「アレンジができる」ことです。盆栽の魅力の一つに「自分なりに自然の風景を再現して楽しめる」というものがあります。既存のペーパークラフトは作ったらあとは飾るだけですが、kami-bonsaiは接着しないので枝や葉を自由に配置できます。紙ならではの楽しみとして、千切ったり、クレヨンで表現を加えたりと自分なりのアレンジができます。

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さらに一つは「売り場のことを考える」です。kami-bonsaiはプラモデルのようにペラペラの紙から部品を抜いて組み立てます。この紙が例えばA4サイズでは大きすぎてしまい、売り場に置くには敬遠されがちです。場所を取りすぎないよう、最終的なパッケージはA6サイズに収めるようにしました。

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これらのこだわりをもとに、葉と枝のバランス、色、組み立て方など何度も検討を繰り返し、その後は社内でモニタリングを行い、結果をもとに修正をするなどしてkami-bonsaiが完成しました。


3. 完成

最初は定番の「松」、「紅葉」と海外では意外と人気がある果実盆栽として「金豆」の3種を用意しましたが、発売ギリギリの段階で「桜」を追加しました。

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盆栽そのものは完成しましたが、販売するにはまだまだ必要なものがたくさんあります。まずは世界観を作るためのロゴ、パッケージ、そして組み立てのための説明書を作りました。

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さらに営業ツールとしてチラシとWEBを作成しました。

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4. 発売開始

製品と営業ツールを整えましたが、まだ用意するものがあります。

一つは「SNS」。Twitter、Facebook、Instagramのアカウントを用意しました。発売後にも継続的に情報を発信するツールとして現代では欠かせません。

そしてもう一つが「プレスリリース」です。発売情報などの記事を作成し、プレスリリース配信企業を介して様々な媒体の記者に情報を発信します。無料もありますが、有料ならだいたい1回で3万円です。情報を受け取った記者の興味を引ければ取材依頼につながったり、記事がそのまま掲載されたりします。逆に言えば記事に魅力がなければ見向きもされません。

これらの準備が終わって2016年5月26日、企画提案から1年半で発売開始です。WEB、SNSで発売開始を宣言し、同時にプレスリリースを配信しました。プレスリリースには発売開始とともに、1ヶ月後の展示会出展(ISOT)の情報を記載しました。


5. 反響

プレスリリースの効果は絶大でした。展示会までの1ヶ月、新聞への掲載が3社、ネットメディアでも多数。展示会はさまざまなバイヤーに声をかけていただき、中には「プレスリリースで気になって来た」という方も。結果としていくつかのお店で扱っていただくことになりました。

その後も大手航空会社の機内誌に掲載されたり、テレビで取り上げられたり、盆栽をテーマにした本「I LOVE BONSAI」にも取り上げられました。

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6. さいごに

現在「kami-bonsai」はオンライン販売のほか、東急ハンズ渋谷店(最初に声をかけていただいた)などでも店頭に並んでいます。

「kami-bonsai」は企画の持ち込みから製品デザイン(製品、ロゴ、パッケージ、説明書)、ツール制作(チラシ、WEB)、ブランディング、広告戦略(SNS、展示会)など、ほとんどのことに携わりました。子供のようなこの「kami-bonsai」がさらに飛躍することを切に願っております。


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妄想工場 https://www.delusion-factory.com

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