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世界人口は思ったより早く減る

世界人口はどのような推移を辿るのか?

様々な判断基準に繋がるこの大きな問いに対して、今世界には、2つの答えがある。

答え① 『2100年、110億人ピーク』説

2019年9月、国連が世界人口統計を発表した。そのレポートの結論は、「世界人口が今世紀末頃、ほぼ110億人でピークに達する可能性がある」という内容だった。

2019年時点の人口は約77億人。さらに30億人以上の生活者が増加する試算であり、地球環境に様々な悪い影響を及ぼすとされている。

それもそのはずだ、地球の長い歴史の中で、人類は明らかに異常な成長率を遂げてきた。下記は紀元前10,000年から、現在に至る12,000年の人口推移だ。

人口

直近100年で約70億人も増加している。

この急激な人口増は様々な地球への影響が懸念されて久しい。

・地球温暖化
・食料不足
・生物大量絶滅 などなど

そんな中、火星への移住計画まで画策されるようになり、イーロン・マスクは今でもその旗を降ろしていない。

「人口動態はもっともあてになる統計」とも言われているし、それが国連から発表された数字であればなおさら、その数値をベースに様々な議論が世界でなされるのも当然だ。

答え② 『2050年、90億人ピーク』説

国連の統計に待ったをかけた書籍がある。

それが、「2050年、人類史上はじめて人口が減少する」という衝撃的なメッセージを打ち出した『2050年 世界人口大減少(原作タイトル:Empty Planet)』だ。

書籍の中で、最も記憶に残るページは下図かもしれない。

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1950年にすでに人口成長率は頭打ちになっており、人口のピークも2050年頃に90億人を超えたあたりでピークアウトする。

国連の予測と比して、ピークの時期が50年早い、しかもピーク人口も約20億人多い。

この差分は何か?

この問いには、著者ダリル・ブリッカー氏自身がWIREDの取材に答えている。

国連の人口予測モデルは以下の3つのデータに基づいています。出生率、移動率、死亡率です。女子教育の普及や、都市化の速度は考慮されていません。両者はある程度相関します。国連は、これらのデータは織り込み済みだとしています。わたしたちは調査の手始めに、ウィーンで(人口統計学者の)ウォルフガング・ルッツにインタヴューをしました。ルッツに予測の骨子を説明してもらったわたしは、唖然とした状態で帰路につきました。彼は女子教育率の改善という、たったひとつの新たな変数を予測に導入しました。それだけで、2100年の世界人口の数字は劇的に小さくなり、80億から90億の間になったのです。
(中略)
国連はアフリカについて、出生率は2025年までほとんど変わらないだろうという悲観的な予測をしています。しかし、アフリカの多くの国々で、世界平均の2倍のスピードで都市人口率が増加しています。現在のケニアでは、女性の初等教育率は男性と変わりません。男女同数の生徒たちが卒業試験を受けるのです。ですから、今世紀の間ずっとアフリカが農村部の貧困によって停滞するという予測は理不尽だと、わたしたちは考えています。

つまり、国連の統計には「女性教育の普及」が含まれておらず、アフリカを中心としたいくつかの国における出生率を高く見積もっているから、という理由だ。Empty Planetではアフリカなどで「女性教育率の改善」、それに伴う出生率の低下を織り込むことで新しい人口予測を算出した。

しかし、「女性教育」が進むと出生率が低くなるのはなぜだろうか?

それは下記のような理由がある。

新興国において出生率を抑制するのに最も効果的な手段は女性教育である。より高い教育を受けた女性は子どもの数は少なくして、その分、健康や教育といった側面で、ひとりひとりがより良い人生を送れるようにしてやりたいと考える傾向がある
(The Demographic and Health Surveysより)

この「女性教育」と人口増加の関係は意外と知られていない部分かもしれないが、米ワシントン大学の研究でも明らかにされている。

つまるところ、この人口動態のカギを握るとされる一つの変数を加味するだけで、大きく世界人口のピークの説が分かれるということだ。

答えはないけど、妄想は楽しい。

どちらの予測が正しいのか、そこに答えはない。

ただ、どちらの予測を信じてものごとを判断するかが、今世紀の人生に大きな影響を及ぼすだろう。

なぜなら、今の世の中の多くの仕組みが、基本的には半永久的に人口が増え続けることを前提にしているからだ。

人口が増え続けるのであれば、人類を満足させるための商品やサービスも増え続ける。つまるところ、世界経済は成長し続ける。企業は、基本的には世界経済の成長率よりも高い利益率を上げる商品・サービスを世の中に提供するために頑張る。それが、すごく雑にいうと、資本主義の基本的な仕組みだ。

しかし、今後世界中で人口が減る。

しかも、それが30年後に起こるかもしれない。

人口減少は、人類が誕生して初めて体験するものごとであり、これまでと全く次元の違うパラダイムシフトが起きる。

だから、自分なりに、この人口動態について答えを持ち、一つ一つを判断することが重要と思う。特に日本は世界に先駆けて、人口減少を体験する国だからなおさらだ。

例えば家選び。

『2100年、110億人ピーク』説を信じるならまだ買いかもしれない。日本人口が減ったとしても、世界人口が増え続けていれば、(特に都市部は)アジアからの人口流入が考えられる。今の低水準な住宅ローンで物件を購入しておけば、たとえ40年ローンを組んでいたとしても、途中で購入物件を売却又は賃貸することで収益をだすことも現実的かもしれない。

しかし『2050年、90億人ピーク』説だとどうか。今からフラット35で住宅ローンを組んだ場合、ローン支払いの途中で世界的なデフレを迎えているだろう。これは地球全体にとって悪いことではないかもしれない。でも不動産価格にとっては大きなネガティブインパクトだ。

僕は『2050年、90億人ピーク』説だ。なので、まず国内外からの都心部の人口流入はそれほど進まないと考えているため、地方に物件を購入した。かつ、すぐに手放して田舎の実家にいつでも移り住めるように、駅徒歩2分で人気の間取りの物件、つまり将来的な売却のしやすさに焦点を絞った家選びをした。

結局この判断が良かったのか分からないし、この事例自体は、不動産のプロからしたらきっと稚拙な判断だろう。笑

でも自分なりには一定の納得感がある。

いずれにしても、どちらの人口動態予測を信じ、どんな未来を描くかで、様々な判断に影響が及ぶ。

家を買うか?借りるか?

起業するか?会社勤めか?

結婚すべきか?しないべきか?

もちろん、答えはないのだけど、「この統計だけは信じられる」とまで言われてきた人口統計にここまでの不確実性があると、これはこれで結構楽しい。それに、少し妄想しながら、一つ一つ判断しておくことで、後々後悔しない気もする。

そんな気持ちで二つの統計を共有しました。
(知っている人も多いと思うけど・・・)



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