後悔はない。でも、苦しい。
#元彼の話 ①
もう別れて2年が経つのに
いまだに元カレを忘れられない。
優しくて、大きくて、男らしくて、
でもたまに乙女で。
話し上手で、楽しませようと頑張ってくれる人。
サプライズが好きで、でも不器用で格好はつかなくて。それがまた可愛かった。
努力を怠らず、目標に向かって頑張れる人。
みんなから尊敬されていて、私も尊敬していた。
それなのに自分に自信はなくて、繊細で。
こんなにカッコいい人なのに、ってずっと思っていた。
2年経ってもまだ、これだけ良いところが出てきてしまうくらいには忘れられていない。
じゃあなんで別れたのかっていう話だけど、
私はもう、「結婚」しか理由はなかった。
25歳の私はまだ、結婚に踏み出す勇気がなかった。
両親が一度離婚してることもあって、結婚に慎重になりすぎていたのだと思う。
今はこんなに優しくしてくれているけれど、ずっとそれを続けてくれるの?とも思ってしまった。
6年間ほぼ毎日会っていても、ずっと優しくしてくれていたのにね。
彼は彼で、私に男友達がいることが心配で仕方ない様子だった。
「俺と遊べば良いやん」と言われたこともある。
私は中高6年一貫の共学の学校に通っていたので、男友達もそれなりにいる。
でも異性とはいえ、小学校卒業したてでブカブカの制服に着られていた頃から、大きくなってオシャレを意識しだして腰パンしてみたり、ワックスで髪型を整え始めて最初は下手くそだったのがどんどん上手になっていく、そんな成長の過程をずっと見てきた人達のことを「そういう目」で見る方が難しかった。
大学の友人に関しても、私はそこまで深く関わっていたつもりはなかったし、十分距離を取っていたつもりだった。
でも、彼は男子校出身で、柔道ばかりの毎日で、女友達というものに縁がないまま大学に入学した人で、「異性の友達」というものの理解が難しかったのも頷ける。
学生の時は毎日会っていたのに、社会人になって簡単に会えなくなったら、余計に心配するのは想像に容易い。
結婚したら安心できると思ったのかもしれない。
あの時の私たちは、別れるというのが一番の選択肢だった。
そう思いたいだけかもしれないけど。
今思うと、安心させてあげられなかった私の力不足だし、結婚に踏み切れなかったのも私が幼すぎた。
でも、後悔とはまた違う。
あの時のあの判断は、私の精一杯だった。
彼もそうだったと思う。
2人で十分すぎるくらい話し合ったし、お互いに十分すぎるくらい悩んだ。
周りに呆れられるくらいには。
別れてから2年、彼氏ができたこともある。
でも、3ヶ月で別れてしまった。
「他の人だとこんなに会話ができないのか」
「こんなに何考えてるのかわからないのか」
「こんなに愛されてる実感を持てないのか」
「こんなに不安になるのか」
そう思う毎日で、彼は本当に優しい人だったのだと再認識するだけだった。
その新しい彼と別れてから、先日再会したのも大きい。
何も変わってなかった。
仕事を頑張っていて、結果も出していて、努力家は健在だった。
何気ない言葉の一つ一つが優しくて、心が暖かかった。
でも、あの頃のように満面の笑みをむけてくれることはなかった。
会話は普通だったけど、表情は堅かった。
あの幸せそうな可愛い笑顔は、彼女しかみられない特権だったのだと、その時知った。
後悔はないのに、ずっと苦しい。
彼を忘れられなくて苦しい。
彼を超える人に出会えなくて苦しい。
彼はもう、違う人のものなのに。
もうすぐその人と結婚するのに。
誰よりも彼の幸せを願っている。
私が幸せにできなかった分、新しい彼女に幸せにしてもらって欲しい。
私がつけてあげられなかった自信を、つけてもらって欲しい。
彼がしんどい思いをしませんように。
彼が心穏やかに毎日を過ごせますように。
彼の努力が、最高の形で報われますように。
私はもう何もできないけれど、
ただ幸せを願うことくらいはさせて欲しい。
そしていつの日か、この苦しさから解放される日を私は待っている。
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