キツい、痛い。 革靴は身につける物のなかでも、買い物で失敗しやすいアイテムだと感じてきました。 お店で試着したときは良かったはずのものが、いざ履いてみると… こんな経験、誰しもあるのではないでしょうか? このような失敗を避けるためにはどうすれば良いか? 靴に携わる仕事を始めてから12年間、ずっと考え続けていることです。 その一つの答えが、サンプルの靴を履いて、外を歩いてもらうことでした。 もし外を歩けない状況なら、10分くらいは靴を履いたままでいてもらいます。 この方法な
ポケットから取り出したとき、日が差し込むように気持ちが晴れやかになる。 誰かの目に触れたとき、鮮やかな色をきっかけに何か会話が生まれる。 そんなことが起これば、嬉しいです。 この革財布は、絵描きの田中紗樹さん、信頼する職人とともに作りました。 決して僕一人では形にすることができなかったものです。 ただ、製品として、まだ完全ではありません。 この先の変化を、少しずつ追って、確認していく必要があるのです。 「染料で着色した部分は、どのように色が変わっていくのか?」 「絵具で
本当に開かれた場とはこういうことか。そんな発見があった2日間でした。 昨年の11月に開催された『会話とオーダーメイド』 オーダーメイドを手がける作り手、伝え手が集うイベントに、delightful toolは出展しました。 オープンでフラットなイベントにしたい。 『会話とオーダーメイド』に込められた、主催者holo shirts.窪田さんの想い。 この想いに、僕はずっと共感しています。 買わなくても大丈夫買わなければいけないプレッシャーから解放され、遠慮せずに試せる、
靴磨きは簡単です。 本当に?靴磨きって難しそうで… 革靴は、磨けば長持ちするのは知っているけれど… キレイに磨かれた靴をいつも履いていたいけれど… 「けれど」の先にあるものはなんでしょうか? ・自分で磨いたってキレイにならない。 ・時間がない。 ・手が汚れるし、面倒。 ・磨くための道具が選べない。 ・磨き方がわからない。 わかります。 一応磨いてはいるけれど… ・正しく磨けているか不安。 ・結局プロに磨いてもらうのが一番。 これもわかります。 「お気に入り
14年前、僕は靴職人になることを諦めました。 10代から憧れていた靴作り。それなのに「自分に靴を作り続ける根気強さは無い」と、靴作りを学ぶわずか2年の間に気持ちは小さくしぼんでいってしまいました。 靴への好奇心だけでは向上心を持って靴を作り続けることはできない。 その現実をあっさり受け入れてしまった自分にガッカリしながら、選んだのは靴とは全く違う道。 それでも靴がずっと好きで、靴への好奇心は薄れなくて… 一度距離を置いた靴の近くに結局戻ってしまいました。 そこから11年
愛着を持って長く付き合えるものを探す人。 そんな人たちに寄り添って。確実に丁寧に、一足の革靴を届ける。 僕には結局これしかなさそうです。 昨年の今頃は、販売の効率を良くして利益を…。そんなことを考え。 外出や人と直接会うことが難しくなってきてからは、対面でなくてもできる方法は…。そんなことを考え。 しかしどれも良い未来はイメージできませんでした。 直接会って、靴を履いてもらう。素材を触ってもらう。 色々なアプローチのフィッティングを試してもらう。 そこから、お客様にとって
『会えない時のオーダーメイド/シャツと靴の場合』と題してholo shirts.窪田さんとのインスタライブを、一昨日の夜に配信しました。 本来、人と会うことで多くが成り立つオーダーメイド。直接会うことができない今、オンラインでできることは何なのか?できないことは何なのか? 二人が考えてきたことの流れは窪田さんがまとめてくれた通りです。 そこで、僕は一つの部分を掘り下げてみます。 オーダーメイドの二つの顔オーダーメイドで出来上がるモノのポイントは二つあると考えています。(シ
似合う服を着ていたい。 それはハレの日、大切な人に会う日はもちろん、仕事に追われる日、外に出る機会が少ない日であっても。 似合う服を着ている自分であれば、適度にリラックスしながら少し背筋が伸びる。自信と安心感を持って一日を過ごせる。 似合う服は僕にとって大きな価値があるものです。 一年の大半で袖を通しているholo shirts.のシャツ。 見た目にも、気持ちにも、今の僕にこれだけフィットするシャツは他にありません。自分で言うのもおかしな話ですが、本当に似合うシャツだ
少しでも穏やかに、静かに楽しみを見つけながら日々を過ごす。 目に見えない不安が押し寄せる状況のなか、そのために自分が大切にしたいことは何なのかを考えています。 僕の場合は革靴、音楽、本、写真、ラジオ。それに加えて、こうして文章を書くことも日々を過ごす大切な要素になっています。 実は最近、意外な一冊が「文章を書くってやっぱり良いな」と思わせてくれました。 お笑いコンビ“ハライチ”岩井勇気さんのエッセイ集です。 25のエピソードが収められており、岩井さんの日常を見つめる角度
売ることは、伝えて届けること。 10年前、モノを売る仕事についたときから心に刻んでいます。 delightful toolとしてオーダーシューズを手がけるようになった今も、この考えは変わりません。 靴の作りを伝える。素材を伝える。機能を伝える。履き方を伝える。 伝えなければいけないこと、伝えたいと思うことは次から次に出てきます。ただ、正しく伝えることは難しい。 そんな考えを巡らせ続けながら、読み返している本があります。 山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる!文章を書
他に良いネーミングもなく「アトリエ」なんて呼んでいる、普通の戸建て住宅の一部屋。こんな場所に靴を見に来てくださる方が増えています。 かろうじてお客様をお招きできる程度のスペースです。駅から遠くはありませんが、決して利便性が良い地域でもありません。それでもdelightful toolの靴に興味を持って、足を運んでいただける。本当に嬉しく、ありがたいことです。 きっかけはwebやSNSという方がほとんど。delightful toolのウェブサイトにたどり着いた方は、その内
「この靴、サイズを出してもらえますか?」 「普段お履きのサイズはどのくらいですか?」 「25です。」 25の靴を出してもらい、試着して購入。 革靴を購入するときのやりとり。最短だとこのくらいで終わってしまうこともあると思います。 身に着けるもののなかで、靴は合わなかったときに痛い思いをしてしまうもの。 「あのとき、あの革靴で痛い思いをしたから」 そんな理由で革靴から遠ざかっている方も多いのではないでしょうか? ・試着専用の靴があればどうだろう? ・せめて足の長さだけでも測
11月、恵比寿で開催された『会話とオーダーメイド』 ニット帽、刺繍、家具、什器、絵画、シャツなど、様々なオーダーメイドを手がける方々が集う、初開催のイベントでした。 このようなイベントに参加するのは初めての経験。上手くできるだろうかと不安を抱きながら臨みましたが、純粋に楽しく充実したイベントになりました。 そしてこの歳(40歳目前です)になって、こんなに心動く体験ができるとは…。イベント後、主催者のholo shirts.窪田さんと「今まで生きてきて良かったと思えるくら
僕は革靴屋です。靴を作る職人ではありません。 製作は神戸の信頼する作り手にお願いしています。靴の注文を承ること、靴に調整を施すこと、完成した靴をお渡しすること、その後のサポートをすることが僕の役割です。delightful toolはこのスタイルでセミオーダーの革靴をお届けしています。 分業だから難しいこと。分業だからできること。delightful toolとして活動を続けるなか、自分の目で見えてきたこと。周囲の人々の声をきっかけに見えてきたこと。色々な発見がありました